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アカデミー賞直前!ノミネート作品の配給・宣伝担当は今、何を思う? 第1回 「ファーザー」「Judas and the Black Messiah」

ナタリー

21/4/14(水) 21:00

「ファーザー」 (c)NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINE-@ ORANGE STUDIO 2020

第93回アカデミー賞授賞式が、アメリカ現地時間4月25日に開催される。コロナ禍で苦境を強いられた映画界にとって、例年に増して大きな意味を持つアカデミー賞。作品制作に携わった本国のスタッフ・キャストはもちろん、日本にもオスカー像の行方を固唾をのんで見守っている人々がいる──作品の日本配給に関わる、配給・宣伝担当者たちだ。

実際、アカデミー賞の結果が日本での興行成績にもたらす影響は大きい。2020年、すでに公開6週目を迎えていた「パラサイト 半地下の家族」も、第92回アカデミー賞作品賞を受賞した週末の動員ランキングでは、前週の4位から首位に浮上。今年の作品賞ノミネート映画を担当している日本のスタッフも、自分たちの作品が受賞するよう祈っていることだろう。

映画ナタリーでは、作品賞にノミネートされた全8作品の配給・宣伝担当者にアンケートへの回答を依頼。授賞式までの日々をどんな思いで過ごしているのか、その胸のうちと作品への愛を明かしてもらった。他作品には負けないアピールポイントや、個人的に気になるライバル作品なども答えてくれている。

連載第1回では、「ファーザー」「Judas and the Black Messiah(原題)」担当者の回答を紹介する。

文 / 浅見みなほ

「ファーザー」

フランス人劇作家フロリアン・ゼレールが、自身の戯曲を映画化したヒューマンドラマ。アンソニー・ホプキンスが認知症の父親を演じ、オリヴィア・コールマンがその娘に扮した。5月14日に東京・TOHOシネマズ シャンテほかで公開。

回答者(ペンネーム可)

ロングライド宣伝部 レクター博士

作品の見どころ、推しポイント

オスカー俳優の圧倒的な演技と究極の映画体験に心震えること間違いなし!
認知症の父親を演じるのは30年前、「羊たちの沈黙」で世界に衝撃を与え、アカデミー賞を受賞した現在83歳の名優アンソニー・ホプキンス。本作で、主演男優賞“史上最高齢”ノミネートを果たしています。
愛する父の変化に戸惑い悩む娘を演じるのは「女王陛下のお気に入り」のオスカー女優、オリヴィア・コールマン。認知症の目線で描くというこれまでにない視点で、私たちを現実と幻想の迷宮へと誘うスリリングな映画体験。そして、不安と困惑に揺れる親子がたどりついた答えに心が震えます。

作品賞受賞への自信度 / ここだけは他作品に負けない!というポイント

「羊たちの沈黙」から30年。83歳、主演男優賞史上最高齢ノミネート! 名優アンソニー・ホプキンスの最高傑作。
今回、監督の当て書きで自身と同名、同生年月日の主人公の父を演じたアンソニー。「(自身の)父を演じた」と語るその演技は、本当に認知症なのでは……?と錯覚させるほど。半世紀を超える役者人生の最高傑作にして集大成とも言える神業演技に震えて、涙すること間違いなし!
父の世話と自身の人生の間で揺れる娘を演じ、助演女優賞ノミネートされたオスカー女優オリヴィア・コールマンのリアルで繊細な演技にも注目。

これはホラー?? 怖いのに感動で涙が溢れる。これまでにない全く新しい映画体験。
これまでも認知症を題材に家族を中心に描く映画はあったが、今作はなんと、記憶や時間が混迷していく父の視点で描くという、これまでにない画期的な手法を採用し見事作品賞にノミネートを果たした。迷宮に足を踏み入れていくような戸惑いと、愛する家族が自分を忘れてしまう切なさ、人間味から滲み出るユーモアなど、様々な感情を重層的に呼び起こしながら、最後には観客を思わぬ感動の境地へと連れていく。

ライバル視している作品 / 個人的に気になるノミネート作品

本作と通じる点で「聴力」を失う主人公を描いた「サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~」。アンソニーと同じく主演男優賞にノミネートされたリズ・アーメッドの渾身の演技。主人公の喪失と再生に涙。

作品賞以外のノミネート部門へのコメント

共同脚本は「危険な関係」(1988年)でアカデミー賞脚色賞受賞のクリストファー・ハンプトン。美術は「タイタニック」(1997年)など数々の名作を手がけてきたピーター・フランシス。そしてフランス演劇界の最高峰のモリエール賞受賞経験を持ち、本作で長編初監督デビューを飾ったフロリアン・ゼレール。豪華キャストと新旧の実力派スタッフのアンサンブルが、これまでになくチャレンジングで画期的な表現による唯一無二の映画体験を生み出した。

今年のアカデミー賞に期待していること

コロナウイルスの影響で、映画業界はまだまだ厳しい状況。アカデミー賞で映画業界全体が盛り上がることを願います!

「Judas and the Black Messiah(原題)」

ブラックパンサー党イリノイ州支部長フレッド・ハンプトンと、同党に潜入した青年ウィリアム・オニールの実録映画。ダニエル・カルーヤやラキース・スタンフィールドが出演し、シャカ・キングが監督を務めた。日本では2021年夏にレンタルリリース予定。

回答者

ワーナー・ブラザース ジャパン合同会社
マーケティング本部 テレビジョン&ホームエンターテイメント
フィルムマーケティング
チーフプランナー
富永裕未

作品の見どころ、推しポイント

ブラックパンサー党の指導者フレッド・ハンプトンが何故惨殺されなければならなかったのか、近年BLM等人種・人権について注目が集まっていますが、今の時代だからこそ描けた物語です。衝撃的な実話に基づき真相に迫る、圧巻のストーリーテリングが一番の見どころです。

作品賞受賞への自信度 / ここだけは他作品に負けない!というポイント

今年はオスカーらしい重厚な物語の作品が多く、正直全く予想がつきませんが、“力強い”ストーリーを描いているというポイントは他作品に負けないと思っております。

ライバル視している作品 / 個人的に気になるノミネート作品

個人的に気になるノミネート作品は「ノマドランド」と「Mank/マンク」です。
「ノマドランド」は美しい映像美と音楽で、アメリカのリアルを描いた素晴らしい作品でしたし、「Mank/マンク」はオーソン・ウェルズが好きでして、気になっています。

作品賞以外のノミネート部門へのコメント

アカデミー賞の前哨戦と言われている全米映画俳優組合賞(SAG)、放送映画批評家協会賞、そしてゴールデングローブ賞でダニエル・カルーヤが見事助演男優賞を受賞いたしましたので、きっとオスカーも獲ってくれると期待しております。

今年のアカデミー賞に期待していること

世界中で大変な状況が続いておりますが、エンターテイメントは必ず人々に“力”を与えてくれると信じておりますので、今年のアカデミー賞も盛り上がってくれることを期待しております。

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