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The Winking Owlはラウド×ポップスでさらに大きなフィールドへ Ranmalu復帰で届けた4人の音

リアルサウンド

19/12/17(火) 16:00

 アンコールに入り、観客に煽られる形で「ただいま!」と照れ臭そうな表情で挨拶するRanmalu(Ba)。The Winking Owlは、一度脱退した彼が今年バンドに復帰し、再度4人体制となった。以前から感じていたことだが、この日もRanmaluは明るい笑顔を振り撒き、ステージを躍動的に動き回り、Luiza(Vo)、Yoma(Gt)に寄り添ってプレイしたりと、バンドのムードメーカー的な役割をしっかり担っていた。活気づくステージを眺めていると、本来のThe Winking Owlが帰って来た! という印象を強く持った。

 今年6月に2ndアルバム『ThanksラブレターTOUR2019 <FINAL SERIES>』を発表、それに伴うレコ発ツアー〈FINAL SERIES〉は初となる東名阪ワンマンライブを開催。最終日の11月8日、渋谷WWW-Xには幅広い層の観客が押し寄せた。

 SEが流れると、KenT(Dr)のビートを合図に、Yoma、Ranmalu、最後にLuizaが姿を見せ、「Flame Of Life」で本編スタート。ド頭から壮大なスケールを描くアリーナ・ロック風の曲調で観客を魅了。間髪入れずに「Open Up My Heart」、「Try」、「This Is How We Riot」と明るいポップな楽曲が続き、場内は次第に熱気を帯びていく。

 そこから大人っぽいダークな雰囲気を放つ「Confession」を挟み、中盤にはアコースティックセットで3曲披露。ステージにメンバー4人が横並び状態になると、「When Rainy Days Are Gone」からLuizaの生々しい声色に惹き付けられた。その後の2曲はゲストに鍵盤奏者を招き、最新作の初回限定盤付属CD(アコースティックカバー)からスピッツの「楓」、さらに「The Tears Turn To A Rainbow」をプレイして楽しませてくれた。

 そして、KenTによる豪快なドラムソロを挟んで、ライブは後半戦に突入する。そのブロックで聴いた最新作収録の「片想い」と「君のままで」の2曲は特に素晴しかった。前者においてLuizaはステージをゆっくりと動きながら、観客1人ひとりに語りかけるように歌う。曲名通り、歌詞は異性に思いを馳せる女性の気持ちをストレートに綴った内容だ。背伸びもギミックもない、シンプルな歌詞に乗せた甘酸っぱいエモーションに心は激しく揺り動かされた。曲調は決してアッパーではないのに観客は楽しそうに手を上げ、曲の世界観に浸り切っている。ああ、曲に込めたピュアな心情が多くの人の心を捉えているんだなと痛感。

 後者はMVになった曲だが、こちらも等身大の歌詞が素直に胸を打つ。曲に入る前に「自分らしさを忘れてた。かっこ悪くても、その過程でかっこ良くなれば……」とLuizaは語っていた。ありのままの自分を受け入れ、その覚悟から滲み出た強さが歌に宿っている。ラストの〈不安の雨で育っていくものよ 小さな胸で眠る勇気は〉の歌詞には彼女のリアルな心情が刻まれているようでグッと来た。

 もともとラウド/エモをルーツに持ちながら、それと同時にポップスもこよなく愛するメンバーたち。作品を経るごとに元来持っていたポップ性を衒いなく解き放つようになったけれど、この2曲はその魅力が遺憾なく発揮されている。その意味で最新作はバンドが自分たち本来の姿を捉えた作品であり、それが伝播力に優れたライブパフォーマンスにも直結していた。

 「Bloom」で本編を締め括り、アンコールに応えると、「新しい自分を探しに行こう!」と言い放ち、「NEW」、「Stars」の2曲を演奏。ここに集まった人たちからたくさんの笑顔を引き出し、盛大なフィナーレを迎えて終了した。

 The Winking Owlは万人のツボを押す魅惑のポップセンスを持って、さらに大きなフィールドへと突き進んでいくことだろう。ここから階段を一段一段と駆け上がっていく姿を、心の底から楽しみにしている。

(取材・文=荒金良介/写真=かわどう(@kawado_photo))

The Winking Owl 公式サイト

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