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学生たちも白熱議論を展開 『わたしは光をにぎっている』中川龍太郎監督、銭湯店主らと特別講義

リアルサウンド

19/11/12(火) 11:00

 松本穂香主演映画『わたしは光をにぎっている』の中川龍太郎監督登壇による特別講義が11月11日に青山学院大学にて行われ、中川監督、小杉湯店主・平松雄介氏、小杉湯番頭・塩谷歩波氏が登壇した。

参考:講義風景はこちらから

 両親を早くに亡くした20歳の宮川澪が、長野・野尻湖のほとりから上京し、銭湯の仕事をしながら成長していく姿を描いた本作。今回の特別講義は、失われてゆく銭湯や商店街といった街を、映画に残すことで未来へ繋げるというテーマにちなんで行われた。

 学生を対象にした本講義。なくなっていく場所を描いた本作の原点について、中川監督は「前作まで、大学時代の自殺した自分の親友をテーマに描いてきたが、その彼との思い出も一緒に過ごした場所自体に詰まっていた。場所がなくなるというのは人とのつながりもなくなること」とコメント。銭湯の店主として場所を守り続ける平松氏は、「映画を観て、自分自身が銭湯を経営している意味がわかった気がする。銭湯の経営は過去と未来ではなく、今の積み重ねが銭湯なんだなと思った。この映画はまさに今を撮っていると思いました」と感想を述べ、中川監督は「銭湯が減っていっていることは間違いない。今現在進行形で起きているということを撮らないといけないという気持ちで撮影した」とその気持ちを語った。

 中川監督はさらに「そもそも人間よりも場所の寿命のほうが長かったけれど、今はそうではない。例えば、おじいちゃんといった銭湯が潰れてしまうと、自分の息子とおじいちゃんがつながるということがなくなってしまう。場所があって、僕らがいる。僕らがあって、場所があるのではない。ということですね」と続けた。それに対し平松氏は、「86年続く、高円寺で変わらない場所の中で僕は生きていて、大学生ぐらいの若い人たちが今すごく集まっている。まさにそういうことなのだなと」と回答。中川監督も「単なるノスタルジーではなくて、古い場所の中で新しいこともやっていかないと。小杉湯の塩谷さんのような若い人がやっていかないとなくなってしまう」と続けた。

 銭湯で番頭として働く塩谷氏は、自身が銭湯に辿り着いた経緯について「大学院で建築を勉強していて、大学出てから教会の設計をやっていた。でも、体を壊してしまって。その時に銭湯で他の世代の人たちに会って、おばあちゃんと天気の話をしたりするだけで涙が出てきた。そんな銭湯の魅力を発信したいという気持ちで銭湯の絵を描いてたら、平松さんにスカウトされたんです」と振り返る。この話に中川監督は、「わたしも辛い時期があって、銭湯にいくとおじいさんとかが話しかけてくれる。仕事以外の場で誰かと話すということが人生の幸福度を上げる。そういうことが起きるのが銭湯なんですよ!」と強く述べた。

 また、学生からの質疑応答が行われた後で、平松氏が「今、この場がまさに銭湯のようになっていると思う! ここで隣の人と一度感想を話あってみるのはどうでしょう?」と提案し、学生たちがそれぞれの経験をもとに本作の感想を熱く語る場面もあった。

 最後に、中川監督は「若い皆さんと今日この場で一緒に観れたことがとても嬉しい。周りの人にシェアしていください。辛辣な意見があったら会社のHPから直接にぼくに連絡をください(笑)! 今日はありがとうございました」と感謝の気持ちを述べ、イベントは終了した。 (文=リアルサウンド編集部)

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