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映画『山の焚火』に蓮實重彦、是枝裕和、横浜聡子、椹木野衣らがコメント

CINRA.NET

20/2/14(金) 13:00

フレディ・M・ムーラー監督の映画『山の焚火 デジタルリマスター版』に寄せた著名人のコメントが到着した。

1985年に発表され、『ロカルノ国際映画祭』でグランプリを獲得した『山の焚火』。アルプスの山腹でほぼ自給自足の生活を送る4人家族の姿を描いた作品で、草刈り機が故障したことに腹を立て、山小屋に隠れて生活をしようとする弟と、弟に食料を届ける姉が山頂で焚火を囲み楽しい時間を過ごすが、やがて姉の妊娠が発覚するというあらすじだ。キャストはトーマス・ノック、ヨハンナ・リーア、ロルフ・イリック、ドロテア・モリッツら。デジタルリマスター版として約35年ぶりに上映される。2月22日から東京・渋谷のユーロスペースほか全国で順次公開。

今回コメントを寄せたのは、蓮實重彦、是枝裕和、赤坂憲雄、椹木野衣、横浜聡子、高山なおみ。

蓮實重彦のコメント

フレディ・M・ムーラーの映画作家としての資質は、主題を選択しただけでは映画はいささかも始まらず、それが具体的なイメージとしてフィルムの表層に定着されないかぎり、何事も起りはしないだろうという聡明な認識に属している。

是枝裕和のコメント

聖書に描かれているような原初の人の営みを、サイレントという映画の原初の形を想起しながら観る。そんな稀有な体験を、この『山の焚火』は恩寵のように私たちに与えてくれる。
貧しい家族の営みを目にしながら、私たちがそこに感じるのは祈りにも似た畏怖である。残酷な暴力も、不幸さえも含めて、映画が描く時間のなんと豊かであることか。

赤坂憲雄のコメント

斜面の映画が描きだしていたのは、創世神話のひと齣のごとき物語であったか。山の民によって紡がれてきた山中他界観に根ざしながら、世界が垂直方向に聖/俗へと分節化される瞬間に、われわれは立ち会うことになる。

椹木野衣のコメント

山ではどのようなことでも起こる。海はすべてを帳消しにしてしまう雄大さがあるけれども、山は違う。山はいつもなにかを隠している。もしくはそのことを知った者を世間から遠ざける。だから誰も山について詳しいことは知らない。フレディ・M・ムーラーの『山の焚火』はそのことを思い起こさせる。これは神隠しについての映画だ。

横浜聡子のコメント

大学の映画のVHSが大量にある映画ルームで初めて観て震えた!学業も半端で毎日構内うろつくだけで映画も大して好きじゃなかった若造の魂になぜかムーラーが響いた!

高山なおみのコメント

自然が豊かなら豊かなほど、厳しければ厳しいほど、人間がこしらえた決まりごとなど遠のいて、神話に近づく。
どこまでも清らかな、雪解け水のような映画だと思う。

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