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『ハケンの品格』で描かれた吉谷彩子と山本舞香のセクハラ問題 攻めた時事ネタも

リアルサウンド

20/6/18(木) 6:00

 『ハケンの品格』(日本テレビ系)の初回放送がスタートした。本作は2007年に放送された同名ドラマの続編。13年ぶりに大前春子(篠原涼子)が食品会社S&Fに帰ってくる。

 篠原演じる主演の大前春子をはじめ、里中(小泉孝太郎)、東海林(大泉洋)、浅野(勝地涼)、近(上地雄輔)など前作を彩る面々が再集結。さらに新入社員として井手裕太郎(杉野遥亮)、三田貴士(中村海人)、派遣社員に福岡亜紀(吉谷彩子)、千葉小夏(山本舞香)が加わり、フレッシュなパワーを見せた。

 第1話では、春子と同じ派遣社員である亜紀と小夏が、S&Fの中でセクハラ問題に直面する姿が描かれた。かつては高度成長期の波に乗り、業績も上り調子、活気のあったS&F。しかし、今や勢いは衰え経営も振るわない会社に。時を経て課長となった里中はハケンライフから春子を呼び寄せ、協力を仰ぐのだった。

【写真】13年後の東海林(大泉洋)

 春子が来てみると、内部ではセクハラやサービス残業が横行、問題をもみ消そうとする人事部の体質も浮き彫りになる。前作同様に派遣と正社員の対立構図を取りつつも、「同一労働同一賃金」や「消費税8%は(店内に)座る資格なし」、果ては「桜を見る会、まだそんなことやってるバカがいるんですね」など攻めた時事ネタも飛び出し、2020年の現代社会ならではのセリフが盛り込まれる。

 春子は、様々な資格や知見、業務スキルの高さで周りを圧倒し、営業企画課をリードする。ロシア語での商談を綺麗にまとめ、クルーザーを運転し、保養所に監禁された小夏、亜紀らの元まで向かうなど活躍を見せた。

 セクハラ被害を受け、派遣という立場ゆえに泣き寝入りしようとしていた亜紀は、春子にアドバイスを乞うなど自身の在り方を考え直すきっかけにもなる。これは前作での森美雪(加藤あい)との関係を彷彿とさせた。一方、小夏は就職活動に失敗し、派遣社員になったという背景がある。亜紀が受けていたセクハラを本人が望んでいないのに匿名で告発してしまう、会話が終わっても電話を切らないなど社会経験不足が垣間見えるキャラクターでもある。

 どんなに苦しんでも契約更新を続けて派遣として会社に残りたい亜紀と対照的に、曲がったことが嫌いで常識も足りない小夏。特に吉谷が演じる亜紀は、小夏や新入社員の裕太郎、貴士らと違い派遣社員として5年目になる。派遣の世界の苦労を知った上でなかなか這い上がれない社会の構造の中でもがく様子をリアルに表現した。

 また、春子のクセの強いキャラクターに対して新鮮なリアクションを見せる宇野(塚地武雅)の存在も、本作を盛り上げる要素となっている。初期の頃の東海林を思わせる反応に懐かしさを覚えつつ、里中や浅野が春子の扱いに慣れている様子との対比が強調され、つい笑いを誘う。

 さっそく、セクハラ事件の顛末を社長の宮部(伊東四朗)に報告した里中だが、宮部は早くも春子の存在を快く思っていない様子。今後、春子は無事にS&Fで活躍できるのだろうか。しっかり見届けたい。

(Nana Numoto)

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