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ヤン・イクチュンをつくる映画~国境を越える映画人~

ヤン・イクチュン、カサベテスを語る

月1回

第4回

19/2/24(日)

ヤン・イクチュンさんの映画的バックボーンを語ってもらう本連載、今回のテーマは、「どちらも甲乙つけがたいほど好き」だという、ジョン・カサベテス監督の『こわれゆく女』(1975)と、『オープニング・ナイト』(1977)。

この2作品についてはもちろん、自らの撮影・演出方法までたっぷり語っていただきました!

入れるのではなく追いかける
そんなカメラの使い方に惹かれた

ジョン・カサベテス

───ジョン・カサベテス監督の『こわれゆく女』、『オープニング・ナイト』を選んでいらっしゃいますね。こちらは、ヤン・イクチュンさんの映画監督としての視点からのセレクトでもあるのではないですか。

私は監督として多くの映画から影響を受けていると思うんですが、カサベテス監督の作品では人物に集中してカメラが追いかけていく。こうしたカメラの活用の仕方に惹かれました。カサベテス監督は俳優出身ですよね。だからなのでしょうね。カメラで俳優を追っていく。その手法はとてもいいと感じました。カメラがあって、そのアングルの中に俳優を“入れる”のではなく、カメラが俳優を追いかけていく。その動きがとても良かった。ケン・ローチ監督もそういうやり方をされていると思います。人物を追っていくときのカメラのアングルに、私は大きな影響を受けています。

私自身、演出より演技を先に経験しています。監督になる前に俳優としてスタートしていますので、カメラの動線がすごく気になってしまいます。俳優として“自分がカメラの中に閉じ込められている”と感じると息苦しくなってしまいます。俳優は“カメラの中で生きる人間”です。ただ、カメラのフレームを決めて、その中で固定されてしまうと、まるで刑務所の中に閉じ込められているような気持ちになってしまうんですね。演技をしているときに何度もそうした息苦しさ、もどかしさを感じてきましたので、監督になって演出する側になったときには、できるだけ手持ちカメラを多用したんです。

実はそれは、これらの作品を観て、無意識に、この監督たちのやり方を借用していると思い込んでいたのですが……実は、それらは手持ちカメラで撮影されていたわけではなかった。しっかりとカメラは据えておいて、カメラを上下左右に動かして撮っていたのに、私はそれを知らなかったので、「これはきっと手持ちで撮っているのだ」と思い込んでしまっていた。つまり錯覚から、手持ちカメラを多用するようになったんです。

Photo:AFLO

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