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SNSで人気のアマビエ、『地獄先生ぬ~べ~NEO』ではどう描かれた? 子供たちを恐れさせた“トラウマ漫画”の現在

リアルサウンド

20/4/23(木) 10:00

 SNSに突如現れた江戸時代の妖怪「アマビエ」。一瞬「アマエビ」と見間違える人も多い「アマビエ」だが長い髪にクチバシを持ち、体を鱗で覆われたこの妖怪は日本に伝わる半人半魚の妖怪で、疫病を予言すると伝えられている。その姿を絵に描くと除災効果があるという言い伝えから、コロナ禍の日本で瞬く間に広がった。

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 漫画家・水木しげるや、画家・ヒグチユウコなどその姿を描いたアーティストは多岐にわたる。さらには「みんなのアマビエ」として扶桑社から書籍化も決まっているという。新型コロナウイルスの影響で目に見えないウイルスに不安を持つ人々が、アマチュアからプロまで様々な人の描くアマビエに癒され、力をもらっている現在だが、妖怪を主題に扱った漫画『地獄先生ぬ~べ~』(原作:真倉翔・作画:岡野剛)の続編、『地獄先生ぬ~べ~NEO』は一足先にアマビエをテーマにした物語を収録している。

 『週刊少年ジャンプ』で1990年代に連載された『地獄先生ぬ~べ~』は当時、大ヒットを記録し、今の20代から30代にとってある種、強烈な“思い出”を植え付けられた作品と言っても過言ではないだろう。「鬼の手」を持つ主人公・鵺野鳴介が妖怪や悪霊と戦う様を描いたホラー要素の他に、美少女キャラのお色気要素、ラブコメディ、ジャンプならではの友情や努力などを盛り込んだ物語は多くの漫画ファンを惹きつけ、特に幼少期の読者に忘れられない衝撃をもたらした。

 当時の『地獄先生ぬ~べ~』は妖怪を見開き2ページに渡り詳細に、おぞましく描くかと思えば、時にコメディタッチの回もあり、怖いのに読み飛ばすことができない。しかしそうこうしているうちに、トラウマになるほど怖い回に当たって心が砕けるという経験をした少年・少女は多かっただろう。

 そんな本作は、2014年に15年ぶりとなる続編『地獄先生ぬ~べ~NEO』をスタートした。『地獄先生ぬ~べ~』の頃に活躍した鵺野を始め、元教え子の郷子が教師となり登場。前作から12年後の童守小学校での生活が描かれる。他の元教え子たちや、鵺野の恋人である雪女・ゆきめも前作に引き続き登場しており、当時の人気キャラクターが大人になった姿には感動すら覚える。さらに新しく童守小学校の生徒として登場するキャラクターも、どこか今までの童守小学校の生徒たちを彷彿とさせるような個性的な面々が揃う。新規の読者はもちろんのこと、当時『地獄先生ぬ~べ~』に夢中になった世代が読んでも楽しめる作品となっているのだ。

 実は『地獄先生ぬ~べ~NEO』に収録されているアマビエは、新型コロナウイルスの蔓延とそれに対する厄除けとしてのブームがまだなかった頃に描かれており、従来の『地獄先生ぬ~べ~』シリーズと同様、子供たちに悪さをする妖怪を退散させる物語として描かれている。

 しかし鵺野が妖怪を退治するという本作の定番のパターンではなく、今回は不在の鵺野に変わって郷子が妖怪と戦う。アマビエの逸話である「描くこと」にフォーカスし、霊力のない郷子が「絵がとてつもなく下手」であることを武器にアマビエを退治する。登場するアマビエのルックスは、現在SNSで多く知れ渡っている姿と長い髪こそ似ているが、より恐怖を煽る姿になり直視するのも憚られる容貌だ。水木しげる原作の『ゲゲゲの鬼太郎』のアニメ版を中心に、SNS上でも愛らしくキャッチーに描かれるアマビエが多い中、本作では妖怪としての恐ろしさを打ち出した描き方で取り扱われている。

 現在『地獄先生ぬ~べ~』、『地獄先生ぬ~べ~NEO』は共にヤンジャン!アプリで在宅支援として無料公開されている。本記事で扱ったアマビエを扱った回も「#36 アマビエvs. 郷子画伯」として公開されているので、ぜひこれを機会にSNSで目にするアマビエの新たな一面を覗いてみてはいかがだろうか。

(文=Nana Numoto)

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