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【インタビュー】ベールに包まれた話題のシンガーAnonymouz(アノニムーズ)。明るいエネルギーを伝えたいと願う音楽への想い

ぴあ

Anonymouz Photographer:Viola Kam (V'z Twinkle)

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J-POPの英語カバー動画などでYouTubeの総再生回数が1,500万回を突破している二十歳の女性アーティスト、Anonymouz(アノニムーズ)。昨年5月21日に恵比寿LIQUID ROOMで行った初のワンマンライブを大成功に収めた彼女が、今年1月28日(金) に日本橋三井ホールにて、自身二度目のワンマンにして、初のホールライブ『Anonymouz Live 2022 〜Forward〜』を開催する。ジャケットやミュージックビデオだけでなく、ライブでも顔を出さずに匿名性を湛えたアーティスト活動を続けている彼女に、ライブに向けた意気込みを伺うとともに、これまでの歩みを振り返ってもらった。

――2021年はご自身にとってどんな1年になりましたか。

はじめてAnonymouzとしてのライブができて。ファンの皆さんとちゃんと関わっていく中で準備の過程がより濃くなりましたし、私自身がAnonymouzというアーティストとも向き合えた1年だったと思います。

――恵比寿LIQUID ROOMでの初ワンマンはどうでしたか。ご自身の二十歳の誕生日でもあったんですよね。

はい。家族が海外で暮らしているので。久しぶりにあんなにたくさんの人に祝ってもらえてすごく幸せでした。ただ、ライブは結構、緊張してしまって(笑)。それを踏まえて、次のライブでもっともっと念入りに準備しようという勉強になりましたし、いい経験でした。

――目元はレースで隠されていましたが、紗幕が落ちた瞬間のことは覚えてますか。

覚えてます。私が思っていた想像以上にたくさんの人がいらして。あれだけ多くの人の前で長い時間をひとりで歌ったことはなかったので、結構、びっくりして。震えたりはしていたんですけど(笑)、たくさんの人の前でライブができることが嬉しかった記憶がありますし、半分くらい顔を隠していたので、皆さんをどれだけ楽しませられるかというところに集中できたと思います。

Anonymouz「Thrill」(Live from "Daybreak" at Ebisu Liquidroom on 2021.05.21)

――先ほど、「Anonymouzというアーティストと向き合った」と仰っていました。ご自身ではどんなアーティストだと思いましたか。

皆さんにお会いするまでは、少しふわふわしていたところがあったんですね。皆さんにも謎に思われているところがあるので、どうやって皆さんと距離を縮めていくか。そこが、ふわふわしていて。でも、歌や歌詞でちゃんとメッセージを伝えつつ、自分の人間味も見せながらも、Anonymouzのカッコよさを維持しながら活動していけたらいいなって。少し進む方向が見えた気がします。

――人間味を見せることには抵抗はないんですよね。では、匿名性は続けていきますか。

歌を歌うときくらいは、見た目とかは関係なく、ちゃんと声だけ聴いてほしいという思いがあって。偏見なく、私の声が好きだとか、私の音楽を愛してくれる方を増やせたらと思ってます。

――音楽に目覚めたのは?

母親がピアノの先生だったので、小さい頃から音楽が身の回りにあったんですけど、私が最初に憧れたのはディズニーチャンネルで見た『ハイスクール・ミュージカル』でした。ピアノは一時期習っていたんですけど、ピアノの先生=母親なので、母親に押し付けられると、どうしてもやりたくなくなっちゃって、全然上達しなくて(笑)。そのあと、13歳の時に引っ越しをして、学校が好きではなくなってしまった時に、お母さんがアコースティックギタ−をくれたんですね。

――どうしてギターだったんですか。

私が大原櫻子さんの映画『カノジョは嘘を愛しすぎている』が好きで、「ちっぽけな愛のうた」をずっと歌ってて。それを見たお母さんが誕生日に買ってくれたんですね。そこからYUIさんやRADWIMPSさんにどっぷりハマって。歌で嫌なことを全部、忘れられるみたいなところがあったので、ずっと歌い続けてきた気がします。

――オリジナルの曲作りをするようになったのは?

10歳くらいの時から、母親の誕生日に曲を作ってみたりしてたんですけど、ちゃんと録音して、歌詞を書き起こしたのは、ギターをもらった時だったと思います。

――最初に書いた曲を覚えてますか。

はい。「ヒットソングになりたくて」という曲でした(笑)。習いたてのコードで作って。声とギターの組み合わせが好きだったので、テンションが上がって、いろんな人に聴かせてましたね。みんな、本当かどうかはわからないですけど、「めっちゃいいね〜」って言ってくれて。小さい頃から歌手になりたいという大きな夢はあったんですけど、その頃に曲を書いて、自分で歌うシンガーソングライターになりたいと思うようになって。

――そして、2019年3月、17歳の時にAnonumouzとして、YouTubeでの活動を始めてます。J-POPをご自身で英語に翻訳したカバー動画には、オリジナルのアーティストである野田洋次郎や藤井風も好反応をみせてました。

ご本人がツイートしてくれたことはとてもうれしかったですし、あんなにたくさんのコメントをいただいたのも初めてだったので、モチベーションにも繋がりました。何より、自分の歌を聴いてもらえている人がいるんだということだけでも、もっと歌が好きになりましたね。

――英語カバーで注目を浴びたことはどう感じてましたか。

英語翻訳のJ-POPカバーはたくさんの人に聴いてもらうために始めたんですけど、今は英語翻訳や英語歌詞というのが私の強みのひとつになっていて。私は英語がペラペラなわけではないんですね。でも、感覚的に身についた言語が今の活動につながってると思っています。

――独自の言語感覚がアノニらしさの1つになってますよね。少し駆け足になってしまって申し訳ないですが、現在、4枚のEPがリリースされています。それぞれはご自身にとってどんな作品になってますか。

1枚目の『No NAME』(2020年4月発売)は、Anonymouz=名前のない女の子というアーティスト名を紹介する、自己紹介的なEPになればいいなと思ってました。素性を明かしていない、名前を隠すという意味が入っていて。全体的に尖っていて、暗くて、悲しみや痛みといった感情を表現してますね。2枚目の『Addiction』(2020年11月発売)はもっと自分のいろんな色を見せたいなと思ったので、前作よりも優しさを取り入れてて。

――『Addiction』に収録された英語歌詞のバラード「Eyes」はXperiaのTVCMソングに起用されました。

初めてテレビから自分の歌が流れてきたのを聴いた時は、やってきてよかった! という気持ちが大きかったですね。この曲は、離れて海外で暮らしている家族のことを思い浮かべて書いていて。自分の大切な人の目に優しさしか映らなければいいのにっていう、愛するひとへの自分が願う優しさを込めた曲です。最初はピアノだけで作っていたんですけど、オーケストラが入って、膨らんでいく愛が表現されているので、より大好きな曲になりました。

Anonymouz「Eyes」MV

――続く、2021年5月には3rdEP『Greedy』がリリースされました。グリード=貪欲というタイトルにも驚きました。

グリーディーっていうテーマで作ったわけではなくて。もっと愛されたいと歌う「足りないよ」も欲張りな曲ですし、全部出来上がった時に、欲張りな曲が集まってるなと思って付けたタイトルだったんですね。『No NAME』が暗さ、『Addiction』が優しさだったら、『Greedy』は強さや明るさ。どんどん明るくなってるイメージで、3枚とも違う面を見せられたらなという考えはありました。私は、皆さんの日常のいろんな場面にも自分の曲があって欲しいなと願っていて。だから、いろんな曲調で、いろんなジャンルで、皆さんのいろんな場面に入っていけたらなと思ってます。

――2021年8月にリリースされたカバーEP『Essence』にはYouTubeで話題となった英語カバー「そっけない」(RADWIMPS)や「夜に駆ける」(YOASOBI)が収録されてます。

自分の英語カバーのまとめ的な気持ちで出したEPですね。カバーだとピアノのイメージが強いんですけど、ちょっと違ったアレンジのカバーが出せたらなと思って作りました。

Anonymouz「夜に駆ける」(英語カバー)

Anonymouz「そっけない」(英語カバー)

――オリジナル楽曲「Lips」がまたびっくりしたんですよね。神秘的で壮大な英語歌詞のバラードのイメージだったですけど、ガールクラッシュ的なダンストラックで歌詞も……。

割と攻撃的な歌ですよね(笑)。コロナ禍でいろんな情報が飛び交っているけど、ネット社会で飛び交う嘘を信じずに、自分が信じられる人だけを信じて進んでいこうという曲になってます。

――ラップも挑戦してますよね。

初めて書いたんですけど、あまりラップを聴いたことがなかったので、いろんな楽曲を聴いて、韻の踏み方やタイミングを勉強して。すごく難しかったんですけど、楽しかったので、これからも入れていけたらなと思ってます。

Anonymouz「Lips」MV

――英語歌詞と日本語の歌詞の混ぜ方はどう考えてますか?

最初の方の曲は、日本語が一言二言しか入っていなかったんですけど、徐々に増やしていこうと思っていたんですね。ゆくゆくは、日本語の方がちょっと多いくらいにしていきたいなと思っています。英語も日本語も感覚的にできるんですけど、ずっと日本語で暮らしてきたので、日本語の方は感覚よりも、考えるように書いてしまうところがあって。もう少し感覚的に描きたいし、英語と日本語で、私にしかできないような溶け合い方が見つけられたらと思っています。

――ヴォーカルとしては、日本語の方が等身大に聴こえますよね。

私もそう思ってます(笑)。発声の仕方も英語は自然と深くなるんですけど、日本語は話し声に近くなるんですよね。そこもどんどん対等になっていくようにしていきたいですね。

――そして、いよいよこれが本題なんですが、ホールライブが控えてます。

ワンマンライブが二回目なので、すでに緊張感はあるんですけど(笑)、前回はあまりにも緊張しすぎていて。みんなに会えたことはうれしかったけど、私はダメダメだったって思ってしまっていたんですね。でも、その後、Twitterで感想を見てみると、「よかった」っていうコメントを書いてくださってる方がたくさんいて。味方でいてくれたことに、すごい幸せを感じたんですよね。みんなは敵じゃなく、味方なので、今度は私自身が楽しんで、みんなも楽しんでもらうっていう気持ちでいこうと思ってます。

――ライブタイトル「Forward」にはどんな思いを込めましたか。

前進というイメージです。コロナがあってもなくても、誰もが辛いことや苦しいことがあると思ってて。そんな心のモヤモヤが、ライブの瞬間だけでもふわっと軽くなるようにしたい。帰り道にはお互いの背中を押し合えているようなライブがしたいなと思って付けたタイトルです。

――どんな内容になりそうですか。

みんなを優しくて明るい光で照らせるような内容になってます。私と皆さんと最初に繋がれた英語カバーのメドレーも考えているし、新曲も初披露しようと思っているので楽しみに待っててくれたらうれしいです。

――新曲の一部をYouTubeのオリジナルチャンネルにアップしてますね。

最初に2曲あげたんですけど、「赤」は、好きだった人の夢を見て、連絡しちゃおうかなっていう曲ですね。きっと、多くの人が体験してるんじゃないかなと思って。でも、相手の人生にはもう自分はいないし、相手には相手の世界があって、私は全然違う未来にいる。だから、連絡はやめようという切ない曲になってますね。「03」は、上京した友達がアルバイトを始めたときに書いた曲です。満員電車はキツいし、東京の人は冷たいとも言ってて。上司の人がみんなの前でも怒ってきて辛いっていうのを聞いて、もううんざりだから、03から始まる電話にかけてやめるんだっていう気持ちを書いてますね。

――『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』の展覧会テーマソングに起用された新曲「Unbreak」もあります。

いなくなった瞬間に全部崩れちゃうっていうくらい大好きな人がいなくなったっていう曲で、《先週、私の世界は終わった》という歌詞から始まってて。崩れちゃった中でも、その人が残していった思い出で世界が優しくなってるっていう終わり方にしてます。タイトルは、崩れた世界を元に戻してという願いを込めているんですけど、きっと壊れたままでも生きていけるという、その人が置いていった優しさをテーマにした曲ですね。

――どの新曲が聴けるのかが楽しみです。ライブに足を運ぶお客さんにメッセージをお願いします。

皆さんに明るいエネルギーをたくさん出して伝えたいと思っています。皆さんがライブに来る前よりも絶対に幸せにして帰してあげたいと思っているので、ぜひ来てほしいです。

――最後に2022年の目標を聞かせてください。

もっとたくさんの人に聴いていただきたいですし、もっとたくさんのライブをしたいですし、もっとたくさんの曲をリリースしたいですし、もっともっと前に進んでいきたいと思います。Zeppツアーとか、中野サンプラザとか、武道館のステージとか。たくさんの夢があるのでどんどん叶えていきたいです。

取材・文:永堀アツオ / Photographer:Viola Kam (V'z Twinkle)

<ライブ情報>
Anonymouz Live 2022 〜Forward〜

1月28日(木) 日本橋三井ホール
開場 18:15 / 開演 19:00
チケット料金:前売4,900円(税込・全席指定)
※1月15日より一般発売開始:
https://w.pia.jp/t/anonymouz-t

※『Anonymouz Live 2022 〜Forward〜』に向けた企画『1 MINUTE ORIGINAL』をYoutubeにて展開中

Anonymouz「赤」

Anonymouz「03」

Anonymouz「Hide & Seek」

プロフィール

2019年3月より、YouTubeでJ-POPの英語カバーをスタート。歌詞の翻訳は全て本人によるもので、その抜群な翻訳センスと歌唱力が瞬く間に評価され、2021年12月現在、登録者数は14.5万人に到達している。世界に向けた活動や、透き通るような声質が評価され、2020年11月より、メジャーデビュー前にSONYのXperia 5 Ⅱの全世界CMタイアップに楽曲「Eyes」が大抜擢される。これまで配信リリースした3枚のEPはどちらもiTunesオルタナティブチャート1位を獲得。最新EP『Greedy』はiTunes総合アルバムチャート2位を獲得し、同EPに収録されている「In Our Hearts」は香港ネスカフェCMソングに大抜擢された。2022年1月22日(土) から東京都美術館で開催される『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』の展覧会テーマソングに新曲「Unbreak」が起用された。


『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』公式サイト:
https://www.dresden-vermeer.jp/

関連リンク

公式サイト:
https://anonymouz.jp/s/n109/?ima=4300

Instagram:
https://www.instagram.com/anonymouz_official/

Twitter:
https://twitter.com/Anonymouz_music

YouTube:
https://www.youtube.com/channel/UCe0h32Y4Po84iLubCviKRug

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