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ラストアイドル「バンドワゴン」が表現する信念とアイデンティティ デビューまでの歩みを振り返る

リアルサウンド

17/12/30(土) 18:00

 2018年、ラストアイドルはアイドルシーンの台風の目になる。今年、下半期で徐々に熱を帯びていったラストアイドルの人気は、12月のメジャーデビューイベント時に“本物”なのだと確信させられた。2017年の終わりに、改めてラストアイドルのこれまでの歩みを振り返りたい。

(関連:ラストアイドルが語る、デビューにかける思い 「覚悟とか受け入れる強さが全然違う」

 ラストアイドルは、2017年8月よりスタートした秋元康総合プロデュースによるアイドルオーディション番組『ラストアイドル』(テレビ朝日系)から生まれたユニット。「プロアマ問わず、兼任可能」という常識を打ち破るルールのもと、暫定メンバーに対して毎週新たな挑戦者が指名制で勝負を挑み、1対1のパフォーマンスバトルを繰り広げた。

 21人の挑戦者とのバトルの末に、確定メンバーとして勝ち残ったのが阿部菜々実、吉崎綾、大石夏摘、安田愛里、長月翠、鈴木遥夏、古賀哉子の7名。番組初回時からの暫定メンバーは吉崎、安田、長月の3名だ。サバイバルバトルという番組形式上、時にメンバーの入れ替わりが発生する。まさに下克上だ。メンバー交代の度に、Twitterを中心に話題をさらっていたが、最も物議を醸したのが10月21日放送回だった。長月翠と蒲原令奈の対決に選ばれた審査員は、吉田豪。指名された審査員の独断で勝者が決定するが、他3名の審査員のジャッジは長月であるのに対して、吉田が下した判定は蒲原というものであった。

 世論とは真逆とも言える審査に、ネットは大炎上。後に、蒲原はメンバーを辞退し、長月がグループに戻ることになるのだが、結果、この一波乱が大きな渦となり、視聴者の注目を集めていくきっかけとなった。その証拠に、この回を機にTwitterのトレンドには、放送時常に「ラストアイドル」のワードが入るようになった。さらに、ツイートを追っていくと普段アイドルに関心を持たないような層をも虜にしていることが分かる。12月19日に開催されたデビューシングル発売記念イベントでは、会場となった池袋サンシャインシティ噴水広場の4階までびっしりとファンが集結。騒然とした会場、熱狂的なコールなど、ラストアイドルの人気が可視化された瞬間だった。

 また、ラストアイドルには、敗退していった暫定メンバー、挑戦者への救済処置としてセカンドユニットが存在する。それが、Good Tears、シュークリームロケッツ、Someday Somewhere、Love Cocchiの4組。長月は、一度敗退していることからシュークリームロケッツとラストアイドルを兼任することに。Someday Somewhereのセンター間島和奏は、番組放送初期にラストアイドルのセンターの座を守り続けていたメンバーだ。セカンドユニットを含め、「ラストアイドルファミリー」と呼ばれているが、5組全メンバーに戦いを経た物語が存在している。

 オンエアの度に、放送回での暫定メンバーにて披露された、ラストアイドルのデビュー曲「バンドワゴン」。正式メンバーが確定した12月16日の放送が、初のフルサイズでのパフォーマンスとなった。作詞を務めるのは番組プロデューサーの秋元康、作曲は欅坂46「世界には愛しかない」などの作曲を担当している白戸佑輔だ。白戸は、Twitterで「元々自分の中にぶっとんだアイデアがあってそれを元に作った曲で、更にTV番組にも絡めて頂き、凄く思い入れが深い曲になりました」とコメントしている。

 「バンドワゴン」は、アイドルのデビュー曲としては珍しいマイナー調の楽曲。イントロで印象的に使われるピアノの旋律やギターのカッティング、コーラスなど、「世界には愛しかない」にも通ずる部分が多くある。キャッチーなメロのサビから、Dメロを経て、転調する大サビへ。振付を担当するのは、NMB48「ワロタピーポー」でも知られるCRE8BOY。7人が向かい合いながら円を描くその様は、曲展開も相まってカタルシスさえ覚える。そして「バンドワゴン」には、時流に乗る・多勢に与するという意味がある。サビ終わりの<バンドワゴンに振り回されない>という歌詞は、夢を追い続けるメンバーの確固たる信念とラストアイドルのアイデンティティを表したものにもなっている。

 メンバーが確定し、メジャーデビューした後の放送はどうなるのか。かねてより、その展開が注目されていたが、1月13日の放送から2ndシーズンに突入することが発表された。ラストアイドルの2ndシングル表題曲を賭けて行われるユニット対抗の総当たり戦となり、織田哲郎、小室哲哉、指原莉乃(HKT48)、つんく♂、秋元康の5人が各ユニットのプロデューサーを務める。さらに、2月14日にはZepp Tokyoにてラストアイドルファミリーによるワンマンライブも決定している。

 長月はインタビューの中で「今アイドルといったらAKB48さんや乃木坂46さんとかだと思うんですけど、そこにラストアイドルファミリーって言葉が入っていけたら」と話しているが、デビューイベントで感じた勢いは、彼女たちが新たな波を起こすことを予感させるものであった。2018年、ラストアイドルファミリーは2ndシーズンで更に人気を加速させていくと確信している。(渡辺彰浩)

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