「プラド美術館、行ったことありますよね？」試写のあと宣伝担当の人に聞かれた。「ええ、3回ほど」。3回も？ と確認され、自分としては3回しか行ってないなぁ、大好きなのに、とあらためて思った。ルーヴルやメトロポリタンはそれぞれ20回以上行ってるけれど。ともかく、ベラスケス、ゴヤ、エル・グレコ、ボス…。思い出せばまた行きたくなる美術館がスクリーンに現れる。王立絵画館として開館してから昨年で200年だそうである。15世紀から17世紀、「太陽の沈まぬ国」と言われたスペイン王国が圧倒的な経済力と芸術への傾倒を背景に育んだ美術品を収集する伝統。国の面影は変わってしまったけれども、遺された美術品の輝きが失せることはない。いや、むしろそれは時が磨き上げていくのである。