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AOA、MAMAMOO、(G)I-DLEら現役アイドルがバトル サバイバル番組『Queendom』の斬新さ

リアルサウンド

19/11/2(土) 8:00

 今のK-POPアイドルを語るにはオーディション番組のことは欠かせない。日本でも大人気のガールズグループであるTWICEやIZ*ONEもそれぞれ『SIXTEEN』『PRODUCE 48』というサバイバル形式のオーディション番組出身だということはよく知られている話だ。その2つの番組を含めて数々のサバイバル番組を制作してきたMnetにて『Queendom』という新しいK-POPサバイバル番組を放送。10月31日に最終回を迎えた。アイドルの卵がデビューを賭けて競い合うオーディション番組とは違って、『Queendom』にはすでにデビューして活動している、トップクラスのK-POPガールズグループが多数出演して話題になっている。出演するのはパク・ボム(元2NE1)、AOA、MAMAMOO、LOVELYZ、OH MY GIRL、(G)I-DLEといった異なる魅力の6組だ。

(関連:TWICE、BLACKPINKに続く韓国ガールズグループは? Red Velvet、MOMOLANDらに注目

 ここ数年間、韓国では様々なサバイバル形式の音楽番組が流行ってきた。その中には“アイドルの登竜門”とされる番組も多くあった。大手事務所の代表が審査員として参加し、歌手志望者から新人を発掘するという最も伝統的なオーディション形式の『K-POP STAR』から、それぞれTWICE、WINNER、SF9を誕生させた事務所単位のサバイバル番組『SIXTEEN』(JYP)『WIN: Who Is Next?』(YG)『d.o.b』(FNC)などもあった。また、それぞれの事務所でトレーニングを受けた練習生が大勢参加して、最後まで勝ち抜いたメンバーがデビューを果たす『PRODUCE 101』シリーズ、すでにデビューは果たしたもののまだ見逃されているメンバーたちを再発見して、一つのグループに集めて再デビューさせるというリブートプロジェクトの『The Unit』などと、サバイバル番組の中でも多様なスタイルの番組が作られてきた。

 それらの番組と『Queendom』には根本的な相違点がある。一見現役アイドルが出演するという点から『The Unit』との類似点を感じる人もいるかもしれないが、『Queendom』は既存のグループや事務所の移籍、あるいは再デビューなどを全く検討していない。盛大な単独のカムバックショーケースというリワードがかかっているだけだ。無名の卵が新たなチャンスをつかんで夢を叶おうとするオーディション番組とは出発点が違う。出演グループはどれもが音楽番組の1位を獲得した経験があるぐらい人気と実力を持っているが、それぞれカムバック(新作のリリース)の日にちが被ることがあまりないため、真正面からぶつかり合う場合は極少ない。ここで、『カムバック戦争・クイーンダム』という原題の肩書からも分かるように、K-POPトップクラスのガールズグループが同時にカムバックすることで真剣勝負をする。サバイバルと言っても、脱落よりはプライドをかけて競うと言っていいだろう。

 もちろんシングルを同時にリリースするだけの競争だけではない。参加者は最終放送の競演及び新曲のリリースに先駆けて、2カ月間3回の事前競演を行う。各競演は観客と特別審査団、そして参加グループの間の評価で順位と点数が定まる。もしその3回中2回連続で最下位を獲得する場合は、中途脱落という重大なペナルティーを受ける。各事前競演は現役グループにふさわしいテーマを持っている。まず1次競演は各グループを代表するヒット曲のステージ、2次競演は相手チームのカバーステージを披露した。また、3次競演は各チームの代表ボーカルとダンサーを一人ずつ選抜し、ボーカルユニット、パフォーマンスユニットを組んでコラボステージを披露する1ラウンド、ファンのリクエストを反映したステージを披露する2ラウンドで行われた。最終競演は、同時にリリースされるシングルを披露するステージとなり、MAMAMOOが1位を獲得した。

 番組が始まる前には、これまでのサバイバル番組とは違う何かが実際にあるだろうか、と否定的な意見もあった。乱立するサバイバル番組に疲労感を感じる人も少なくなかったためだ。ファンの間でもそれぞれ安定的に活動を広げてきたグループが番組のせいで批判されたり、無理な競争を強要されたりするかもしれないという懸念があった。しかし、番組が始まってからは好評が続いている。番組に参加しているグループの魅力とステージの完成度が何よりも大きな好評の理由だ。

 各グループはこれまで表に出せるチャンスをあまり与えられなかった、主導的でクリエイティブな一面を存分にアピールした。番組はアイドルグループに関する偏見を打破し、また各グループがそれぞれ持っていたイメージを破り、新たな魅力を披露する場にもなった。例えば、OH MY GIRLとLOVELYZは両方とも“清純派アイドル”の肩書から抜け出し、韓国の伝統楽器や東洋風の衣装を取り入れた神秘な「Destiny」のステージと、セクシーカリスマのイメージに挑戦した「Sixth Sense」のカバーステージを披露した。メンバーたちの強い意志とアイディアの結果だった。

 AOAは「Egotistic」(原曲はMAMAMOO)のステージで、これまでのセクシーコンセプトとは全く違うオールスーツのクールな姿でヴォーギングダンサーを出演させたフィナーレまで、自らのプロデュースでステージを作り上げて絶賛を受けた。パフォーマンスユニットのステージでも、コンテンポラリーダンスからヒップホップダンスまで普段のグループ活動では披露できなかった特技を存分に披露。各競演ごとに自ら全く新しいコンセプトをプロデュースした(G)I-DLEは言うまでもない。自らアイディアを出してプロデュースや振付、アレンジに関わるプロセスは視聴者にアイドルグループのクリエイティブな一面をアピールし、他の番組では見られなかった新しい魅力を見せた。この番組は過酷なサバイバルの戦場である前に、現役アイドルが実力を発揮し、存分に挑戦できる場として評価されるのだ。

 また、この番組はそれぞれのグループにとっても大きなターニングポイントとなっている。例えば、パク・ボムはガールズグループ・2NE1の一員として2009年にデビューし、世界的な人気を集めたが、3年前にグループが解散し、ソロとして新たなキャリアを開いている。AOAはセクシーコンセプトで人気を集めたデビュー8年目のグループであるが、2人のメンバーがチームから抜けた危機を経て、新たな5人態勢でチームの第2幕を迎えている。他のグループもそれぞれ次のステップを目の前にしている。厳しい競争が前提にあるサバイバル番組だが、今番組は結果と関係なく各グループがネクストステージに至るためのいいきっかけとなってくれるだろう。もしかするとアイドル事務所、サバイバル番組の流れ、アイドルに関する視聴者の認識もネクストステージに運んでくれるかもしれない。(soulitude)

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