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ちゃんみなが挑戦した“新感覚”のライブ表現 音楽をひとつの映像作品に昇華したYouTube配信を観て

リアルサウンド

20/10/1(木) 18:00

 日本語、韓国語、英語を操るトリリンガルラッパー/シンガーとしてティーンエイジャーを中心に大きな注目を集めるちゃんみなが、配信ライブとなる『THE PRINCESS PROJECT – In The Screen』を9月27日12時よりYouTubeにて配信した。

 これまでも彼女のワンマンライブには『THE PRINCESS PROJECT』という名前が冠されていたが、今回はその言葉に続くタイトル通り「In The Screen」、つまり観客を入れた会場でのライブではなく、自宅などで鑑賞するオンラインでの配信となった。しかし、ライブハウスやホールで収録されたライブ映像をただ単に生配信するのではない。

 「Screen」という言葉が指し示すように、9月9日にリリースされたシングル『Angel』で表現された曲世界と過去曲をリアルタイムでパフォーマンスし、一発撮りで押さえていくのは「ライブ配信」と同じでも、その映像は長編のMVのようにシネマティックに形作られる。つまり「ライブ」という「生の表現」と、曲世界を丁寧に表現する映像という「構造物としての表現」を同時に形にするのが、今回の『THE PRINCESS PROJECT – In The Screen』である。

 準備中の映像から切り替わり、バスタブに座るちゃんみなの姿が映し出され、一曲目の「As Hell」を歌い出すちゃんみな。彼女の動きに合わせるように移動するカメラと、それにソロで対峙するちゃんみなというシークエンスから、ライブは進行をスタートし、ここからはノンストップで撮影と中継、パフォーマンスは続いていく。また口元にヘッドセットのマイクが見えることからも、このパフォーマンスがライブであることが伺える。

 室内から屋外に移動し、プールサイドに設えられた赤い椅子にちゃんみなが座ると、「Picky」をダンサー二人と共にパフォーマンス。ダンサブルなビートとパフォーマンスで、「As Hell」から一気にカラフルな表現へと切り替わった。

 ビーチベッドに座るダンサーたちとの共演も印象的な「ルーシー」での、被写界深度の浅い(手前にピントが合い、後ろがボケる)映像や、テンポよく切り替わるカメラワークには、一発撮りとは思えない映像の構築性があり、映像チームのこだわりと、ちゃんみなやパフォーマーたちがいかにこの企画を成功させるためにリハーサルを重ねてきたのかが伺い知れる。

 続く「Rainy Friday」は、テンポよく映像が切り替わる表現から一転し、バーカウンターに座るちゃんみなと、その対面に立つバーテンダーだけを写す固定カメラで前半の映像は進み、動きという部分はちゃんみなとバーテンの二人の掛け合いが重視されるというパフォーマンス性の落差も興味深く、視聴者に刺激を与える表現となっていただろう。

 「Very Nice To Meet You」も、ちゃんみなが主役となっていたこれまでの映像とは違い、男女のダンサーが中心となりパフォーマンスが進む。その意味でも、自分の恋人にちょっかいを掛ける相手に対して「Very Nice To Meet You」と皮肉たっぷりに挨拶をするこの曲の内容を丁寧になぞっていくような、物語性の強い構成が印象的。映像でも男女が踊るシーンに続いて、間女を表現する女性ダンサーとちゃんみなが出会い、その相手をちゃんみなが画面の外に押し出すという展開で楽曲と映像は終わる。

 今回の『THE PRINCESS PROJECT – In The Screen』の中で、通常のライブパフォーマンスに一番近い感触があったのは「Never Grow Up」だろう。4人のダンサーを従えて中心でパフォーマンスするちゃんみなの姿を、カメラも正面からの画を基本に押さえ、ライブを見るかのような視点や画角で楽曲は展開。途中で挟まれた「今日は観てくれてありがとう。スクリーン越しのあなたもとても綺麗です。今日も一緒に歌ってね。singing!」というメッセージもライブを感じさせる。

 自撮り棒とカメラを持ってプールに飛び込み、自身が映像を撮るセルフィー的な映像を中心に展開した「ボイスメモ No.5」は、「偽りと願望」を歌う楽曲性と刹那的なパーティ感の交差が映像に芯を与える。

 そして今回の映像で最もMV的な構成を感じさせた「Angel」をパフォーマンスし、曲が終わると笑顔でカメラに向かって投げキッスを放ち、画面の外に消えていくちゃんみな。ここで本編は終了した。

 シングル『Angel』自体が分化できないものを表現し、本人もさまざまなインタビューで「自分でも掴みどころがない作品」と話しているように、その作品を映像として形作るには、今回の『THE PRINCESS PROJECT – In The Screen』のように、曲ごとに、シーンごとに、シーケンスごとに様々な表情を見せ、表現そのものもパラフレーズしていくかのごとく構成する必要があったのだろう。その意味での、今回のプロジェクトは「新しい表現」であるのと同時に、「正しい表現」だったと感じさせられた。

 今回の映像は10月4日までアーカイブされているということなので、ぜひちゃんみなの生み出した新感覚ライブをその目で確かめていただきたい。

オンラインライブ映像はこちら
※10月4日 23:59まで期間限定公開

ちゃんみな公式サイト

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