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若手女優戦国時代!? 個性で頭角を現わす、白石聖、山本舞香、小芝風花

リアルサウンド

20/10/1(木) 6:00

 2010年代、「アイドル戦国時代」と呼ばれたこの時期には、AKB48グループやハロプロを筆頭に数多くのアイドルグループが誕生しては消えていった。現在、あの時と同じように注目の若手女優が数多く輩出され、まさに「若手女優戦国時代」と言っても過言ではない状況が起きている。20代前半の女優たちはそれぞれが強みになる個性を武器に、なんとか埋もれないようにしのぎを削る。

 出演作品からみた場合に、NHK連続テレビ小説「朝ドラ」は、ほぼ毎日放送される上に視聴率20%前後と多くの人が観ていることから、「朝ドラ出身女優」として顔を覚えてもらいやすい。また、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)などの学園ドラマは特定のクラスの中でストーリーが展開するため、「3年A組出身」など、クラスの名前にちなんで覚えてもらうことも可能だろう。かつての『3年B組金八先生』シリーズ(TBS系)からくる「金八出身」のようなものだ。

 だが、これが通用するのはドラマが話題になってせいぜい数年だろう。日々新しいドラマが放送され時が経つうちに、視聴者の記憶はどんどん塗り替えられていってしまう。そんな中で生き残るための手段のひとつとして、より強烈な個性を確立した女優もいる。

ホラーで頭角を現す “悲劇のヒロイン系女優”白石聖

 2019年に「オトナの土ドラ」枠で放送された『絶対正義』(東海テレビ・フジテレビ系)は、主人公の高規範子(山口紗弥加)が正義モンスターとでもいうべき強烈なキャラクターで世の中の規範を振りかざし、親友を追い詰め人生を狂わせていく心理サスペンスである。この作品で白石聖は、主人公の範子の高校時代と娘の律子の二役を演じた。整った顔立ちであり、どこか大人しそうな雰囲気を持つ白石が振り切った演技で見せる狂気的な姿は、当時のSNSでも評判を集める。そこから立て続けに『だから私は推しました』(NHK総合)、『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(読売テレビ・日本テレビ系)とホラーやサスペンス要素の強い役に抜擢された。そして2020年には、つのだじろう原作の王道ホラー『恐怖新聞』(東海テレビ・フジテレビ系)で「オトナの土ドラ」枠に主演として帰ってくる。キラキラとした瞳にぽってりとした唇が魅力の白石は、自身の持つ清廉潔白なイメージを残しつつも役を見事にこなし、追い詰められ恐怖に慄く姿さえも美しい。白石はこうして、ホラー系女優のイメージを確固たるものにした。

令和のヤンチャ娘 “ヤンキー系女優”山本舞香

 これまで様々な役をこなしてきた山本舞香だが、やはりハマリ役といえば『チア☆ダン』(TBS系)のヤンキー高校生・柴田茉希や、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(2018年)のコギャル・伊藤芹香、『今日から俺は!!劇場版』(2020年)のヤンキー娘・森川涼子ではないだろうか。山本は、明るめに染めた髪がよく似合い、アーモンド型の大きな瞳に宿る強い目力や、ニッと笑ったときの美しい口元が印象的だ。こうした要素の一つひとつがまた、ヤンキーキャラにマッチしているのだろう。他にもツッパリとまではいかないが、『恋は雨上がりのように』(2018年)で気の強い少女を演じ、山本と言えば歯に衣着せぬ物言いが似合うキャラクターであることを確立している。キツそうな見た目に相容れず、幼さの残る声色にどこか可愛らしさや親近感を感じ、思わず応援したくなる存在だ。

一生懸命だけどちょっぴり残念!? “頑張り屋の元気っ娘”小芝風花

 いつも元気いっぱい、どんな時も真っ直ぐ頑張っているのになぜか空回りしてしまう。そんな切ない空回りキャラを独特の声色とキュートな表情で演じているのが小芝風花だ。『トクサツガガガ』(NHK総合)では、特撮オタクであることをひた隠しに生きる主人公の苦悩とオタクのもつ熱量のすさまじさを演じ切り、評判を呼ぶ。その後『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ)で明智(中村倫也)に恋心を寄せ、探偵業を手助けしようと奮闘するもなかなか上手くいかない助手役を、『妖怪シェアハウス』(テレビ朝日系)では失恋、借金、失職の三重苦状態で妖怪の住むシェアハウスに転がり込む女性を演じた。

 ドラマの中ではいつもテンションが高く爛々と目を輝かせてしゃかりきに話す小芝だが、役を離れたところでは意外に落ち着いたトーンで話しており、ギャップに驚かされる。次作となるドラマ『書類を男にしただけで』(TBS系)では、「男で天下取ってやる!」と性別を偽り、男として入社し、女性であることがバレないように奮闘する主人公を演じることも発表されている。一生懸命なのになぜか一筋縄ではいかない、そんなキャラクターの独特の空気感は、小芝の個性が作り上げたものであり、今後も様々な場面で活躍してくれることだろう。

 もちろん特定の役には収まらず、様々な役で実力を見せる女優も多いが、若手のうちにキャラクターが定まっていればインパクトを残しやすく、ブレイクするきっかけになることも事実だろう。彼女たちがこれから成長していくにつれさらに殻を破り、これまでのキャラクターと違う役で名を馳せる時がくるのが今から楽しみだ。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
オトナの土ドラ『恐怖新聞』
東海テレビ・フジテレビ系にて、毎週土曜23:40〜放送
出演 :白石聖、佐藤大樹、駿河太郎、横田栄司、片山友希、坂口涼太郎、猪野学、黒木瞳
企画:市野直親(東海テレビ)
原作:つのだじろう『恐怖新聞』
シリーズ構成:乙一
脚本:高山直也
音楽:兼松衆
プロデューサー:後藤勝利(東海テレビ)、小松貴子、齋藤寛之、竹内絵唱(松竹株式会社)
協力プロデューサー:松本圭右(東海テレビ)
演出:中田秀夫、服部大二、井上昌典
制作:東海テレビ放送、松竹株式会社
(c)東海テレビ
公式Twitter:https://twitter.com/tokaitv_dodra
公式Instagram:https://www.instagram.com/dodra_tokaitv/

『書類を男にしただけで』
TBS系にて、10月11日(日)14:00〜14:54放送(※一部地域をのぞく)
出演:小芝風花、竜星涼、水沢エレナ、奥野壮、高橋メアリージュン、デビット伊東、友近
脚本:飯野陽子
プロデュース:中西真央
演出:石井康晴
製作著作:TBS
(c)TBS
公式Twitter:https://twitter.com/yuki_minowa
公式Instagram:https://www.instagram.com/shorui_otoko/

■公開情報
『とんかつDJアゲ太郎』
10月30日(金)全国ロードショー
出演:北村匠海、山本舞香、伊藤健太郎、加藤諒、浅香航大、栗原類、前原滉、池間夏海、片岡礼子、ブラザートム、伊勢谷友介
原作:『とんかつDJアゲ太郎』原案:イーピャオ/漫画:小山ゆうじろう(集英社ジャンプ・コミックス刊)
監督・脚本:二宮健
脚本協力:喜安浩平
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2020イーピャオ・小山ゆうじろう/集英社・映画「とんかつDJアゲ太郎」製作委員会
公式サイト:agaru-movie-tda.jp
公式Twitter:@tonkatsuDJmovie

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