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江口のりこVS堺雅人に期待大! 屈指の曲者女優は『半沢直樹』をどこまでかき回す?

リアルサウンド

20/8/16(日) 10:00

 7年ぶりに帰ってきた、堺雅人主演の連続ドラマ『半沢直樹』(TBS系)。今シリーズも高視聴率をマークし、前回第4話の終盤から新章となる「銀翼のイカロス」篇に突入。半沢と対立する国土交通大臣・白井亜希子役の江口のりこの登場に、早くも嵐の予感とSNS上では期待する声が上がり、注目を集めている。曲者女優が半沢をどうかき回してくるのか、予想してみたい。

 江口のりこは、NHK朝の連続テレビ小説『マッサン』や『時効警察』(テレビ朝日系)、映画『ユリ子のアロマ』など、これまで200本以上の作品に出演する、実力派名バイプレイヤー。彼女のイメージと言えば、常に何か機嫌が悪そうだったり、口を開けば淡々と正論を吐くなど、彼女が登場するだけで場の空気がピリッと変わり、予定調和や無礼講が一切通じない、そんな不思議な存在感がある女優だ。

 兵庫出身の江口は、19歳のときに、映画女優になることを志し上京。柄本明が座長を務める「劇団東京乾電池」の研究生の果てに入団以降、下北沢で住み込みの新聞配達をしながら稽古に励む毎日を送ってきたという。江口のバイプレーヤーぶりは、地道かつ長大な努力の中で培われてきたものなのだ。

 最近では、2016年の『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)での地味で真面目な校閲部員役や、2019年の『これは経費で落ちません!』(NHK総合)での経理部に中途入社してきた帰国子女の麻吹美華役など、組織内での一キャラクターとしての演技で注目を集めてきた江口。常に正しさを指摘し、融通のきかなさは場の空気を乱すが、一転味方に付けると、これほど頼もしい援軍はいない。そんな役柄だ。ほかにも、映画『あさひなぐ』での尼寺で薙刀を教えるスパルタ僧侶や、ドラマ『海月姫』(フジテレビ系)で関西弁を話すインド人役など、エキセントリックな役にも関わらず、物語を引き締める名バイプレイヤーぶりを見せるのも江口ならでは。

 また江口が面白いのは、『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)に出演した際に、友人の矢部太郎に「会った時はだいたい誰かの悪口を言ってますね」と暴露されていたり、TBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』に出演した際に、安住からの「江口さんのよくないところは、自分が喜んでるのに、全然伝わらないこと」という発言に、「なんか怒ってるんですか?とか、現場で全然怒ってないのにそういうことを聞くから、だからそこでイラっとしちゃう」と返すと、アシスタントに「ところどころで見せる笑顔がキュンときますね」と言われ、「じゃあ、いいか」と相づちを打ったりと、演じる役柄と変わらないように見えるところが面白い。インタビューでは、「役者は、別人になるのが仕事と捉えている人もいるが」という質問に「それは私には無理。どんな役を演じていても結局は自分でしかない。だからこそ、いろいろと試しながら役を『探す』。その作業が私は好き」と答えるように(参照:vol.62 女優 江口のりこ 芝居で人生楽しくなった|朝日新聞×マイナビ転職)、江口が演じる役が、どれも江口自身だからこそ魅力のある演技ができるのだろう。

 さて、新章に突入した『半沢直樹』では、新たに国土交通大臣に就任した白井亜希子役に。白井が会見で帝国航空の改革を提案し、再建チーム「帝国航空再生タスクフォース」を立ち上げ、債権を保有している銀行に、一律7割の債権放棄を検討していると発表。自力再建できなければ、半沢が務める東京中央銀行は、500億の債権を手放すことになる。半沢はどう立ち向かっていくのか。今回の敵は、伏魔殿と呼ばれる帝国航空の内部、そして対国政という、これまでにない最大の強敵だ。

 白井役のモデルが誰なのかはご想像に任せるとして、これまでの江口は、最初はクールなキャラとして登場するが、大臣ということもあり晴れやかな顔で登場し、「い・ま・じゃ・な・い」という歯が浮くようなギャグを入れてくる愛想の良さが逆に不気味で、確実に怖い存在であることを証明している。これまでの半沢に登場した悪役は、やりすぎるぐらいの顔芸で嫌な奴を強調していたが、江口は静かな怖さであったり、半沢得意の勢いで押し切る話術に対し、「で?」「だから?」と感情論をものともせず正論でシビアな決断を下す、夫婦喧嘩のような怖さが半沢を襲い、半沢の苦戦が予想される。

 また、おそらくラスボスとも言える進政党の重鎮・箕部啓治を演じる柄本明と言えば、江口が所属する劇団の主催であり、江口の師匠。前半は半沢VS歌舞伎だったものが、半沢VS東京乾電池という、ただでは転ばない下北沢演劇の成り上がり劇団との対決が興味深い。ただ、もしかすると、嫌味な存在だが、正当な理由があれば半沢の援軍になることも考えられる。

 すでに柄本はドラマ『銀と金』(テレビ東京系)でも見せた顔芸を見せていたが、江口のポーカーフェイスがどこまで今後崩れるのかも見もの。後編の視聴率は、江口の演技がいかに視聴者のイライラをピークまで達せるか、そこにかかっているだろう。本日放送の第5話は注目の回になりそうだ。

■放送情報
日曜劇場『半沢直樹』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:堺雅人、上戸彩、及川光博、片岡愛之助、賀来賢人、今田美桜、池田成志、山崎銀之丞、土田英生、戸次重幸、井上芳雄、南野陽子、古田新太、井川遥、尾上松也、市川猿之助、北大路欣也(特別出演)、香川照之、江口のりこ、筒井道隆、柄本明
演出:福澤克雄、田中健太、松木彩
原作:池井戸潤『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』(ダイヤモンド社)、『半沢直樹3 ロスジェネの逆襲』『半沢直樹4 銀翼のイカロス』(講談社文庫)
脚本:丑尾健太郎ほか
プロデューサー:伊與田英徳、川嶋龍太郎、青山貴洋
製作著作:TBS
(c)TBS

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