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盗まれたバイクでステージに戻ってきた般若、ライブへの熱い思い語りアルバムの年内リリースも宣言

ナタリー

盗まれたバイクで登場した般若。(撮影:Kenji.87)

般若が5月22日に東京・LIQUIDROOMでライブツアー「般若 LIVE TOUR 2021」東京公演を行った。

今年1月に新レーベル「やっちゃったエンタープライズ」を設立し、自身が立ち上げた昭和レコードから独立した般若。本公演は独立後初の有観客ワンマンライブであり、コロナ禍による制限の中、表立ったライブ活動を控えていた彼にとっては悲願のステージだ。開演時刻を少し過ぎた頃、昨年発表した最新アルバム「12發」の冒頭を飾る「INTRO」が流れてくると、般若はデンマーク製の電動自転車に乗って登場。このクールなバイクはライブ前日に地元・三軒茶屋で盗まれたものの、般若が盗難者に向かってSNSで呼びかけたところ、約1時間半後には戻ってきたという彼の愛車だ。般若のファンであれば、一連の出来事を当然知っており、会場の熱気は一気に高まった。

そこから般若は雪崩れ込むように2006年の作品「内部告発」から「理由」を披露。「連れてってやる イカれたショウへ」と歌うフックでは、一斉に客席の拳が上がり、ライブ序盤から般若はオーディエンスとの距離をグイグイと縮めていく。「最ッ低のMC」を披露する際には「バイクは戻ってきた、般若はステージに戻ってきた」と宣言。同曲のフックでビートがBUDDHA BRAND「人間発電所」に切り替わると、「そして天まで飛ばそう」というラインにつなげた。

この日の般若は、シンプルなワンポイントの白いTシャツにブルーデニム。飾らない出立ちでバックDJのDJ FUMIRATCHとともにショウを進めていく。「SORIMACHI」では高くジャンプし、時折自分の胸を拳で叩きながら全身全霊で観客に語りかける。余計なものが削ぎ落とされたステージからは、ひたすら般若の熱気が伝わってくる。「世界はお前が大ッ嫌い」「ホントのコト」といった楽曲を惜しげもなく1ヴァースごとに披露していった般若は、ライブ前半のハイライトとなる「土砂降りでも」「あの頃じゃねえ」を続けてパフォーマンス。ステージ上から放たれるエモーショナルなバイブスに会場全体の雰囲気もガラッと変わった。

「乱世」や「素敵なTomorrow」などを経て、般若は「いつもの道」「手」「最後のワンピース」と最新アルバムの楽曲を続けてパフォーマンス。ライブで披露されることで、般若自身の生い立ちや家族のことを歌った楽曲の世界観がより立体的になった。ライブも後半に差しかかるころ、この日初めてのゲストとしてSAMが登場。彼自身が体験した壮絶な実生活の話を交えて「なんとかなる」を般若とともに歌う。その後、般若はアグレッシブな「はいしんだ」を挟んで「やっちゃった」を披露。「やっちゃった」はストーリーテリング形式の人気曲だが、今回は特に芝居に力が入っており、俳優・般若としての魅力が遺憾なく発揮されていた。「やってやる」では客席から無数の拳が突き上げられ、故・山本KIDの映像がミュージックビデオで使用された「スーパースター」では「ありがとう、山本KID」のひと言も添えられた。「これはノリで書いた曲なんだけど、ひさびさに聴いたらいい曲だなと思って」と語って「月の真ん中」を歌った般若が「これも懐かしい曲、この曲知ってる?」と前置きして「心配すんな」を披露すると、会場はひときわ大きな拍手で包まれた。

ライブ終盤、般若は2005年発売のデビューアルバム「根こそぎ」に収録された「サイン」を歌い始める。途中で静寂が会場を覆うと、彼はピンスポットの明かりを浴びながら2ndヴァースをアカペラで歌唱。「覚悟?そんなカッコ良くねぇ 最高なんだ」というメッセージが、リリース当時と変わらず熱く響く。今回初の試みとして、親子で入場できるペアチケットと専用のスタンディング席を用意していた般若が「また、子供連れて遊びきてよ」と客席に声をかけ、「シングルマザー」を歌うと、ライブはいよいよクライマックスへ。ライブ前半で披露された「土砂降りでも」が再び流れ始め、般若はリミックスバージョンの歌詞を歌う。すると2ndヴァースではBenjazzy(BAD HOP)、そして最後のヴァースではMACCHO(OZROSAURUS)が登場し、ステージに並び立った3MCはその存在感で観客を圧倒した。

そして「少し明るくしてもらってもいいですか」と照明スタッフに呼びかけた般若は、「今日あんまりしゃべらなかったのは、泣いちゃうかもと思って」と切り出し、「20年以上やってきて、ライブをやるってこと自体がこんなにありがたいと思ったことはなかった」と語る。「野音や武道館でやったときよりも、今日のほうが重要だと思っている」と正直な気持ちを吐露した般若が「最後はこの曲と決めていた」と告げると、新レーベル立ち上げと同時に発表された「覚えてる」へ。渾身のフックを歌い終えた般若は、満場の拍手を浴びながらマイクを外した生の声で「俺が今までやってきたライブの中でも最高、俺もお前も、宇宙で一番最高」と語り、ステージをあとにした。MC中に「年内に必ずアルバムを出す」と宣言していた般若。彼のみなぎるエネルギーがいったいどのような作品として世に送り出されるのか、ファンは楽しみにしておこう。

なお東京公演の翌日に愛知公演を行った般若は、5月29日に静岡公演、6月26日に北海道・函館公演、27日に札幌公演、7月17日に大阪公演を行う。また東京公演の模様は、後日ABEMAで配信される予定で、詳細は決定次第アナウンスされる。

般若 LIVE TOUR 2021

2021年5月22日 LIQUIDROOM セットリスト

01. INTRO
02. 理由
03. SORIMACHI
04. 最ッ低のMC/人間発電所
05. 黙ってやれ
06. 世界はお前が大ッ嫌い
07. ホントのコト
08. 土砂降りでも
09. あの頃じゃねえ
10. 乱世
11. 2200年
12. 素敵なTomorrow
13. いつもの道
14. 最後のワンピース
15. 手
16. なんとかなるfeat SAM
17. はいしんだ
18. やっちゃった
19. やってやる
20. スーパースター
21. 月の真ん中
22. 心配すんな
23. ゼロ
24. サイン
25. シングルマザー
26. 土砂降りでも feat Benjazzy & MACCHO
27. 覚えてる

「般若 LIVE TOUR 2021」

2021年5月22日(土)東京都 LIQUIDROOM
2021年5月23日(日)愛知県 CLUB SANGO
2021年5月29日(土)静岡県 CLUB 51
2021年6月26日(土)北海道 函館club COCOA
2021年6月27日(日)北海道 MORROW ZONE
2021年7月17日(土)大阪府 梅田CLUB QUATTRO(※振替公演)

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