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SHINeeと2PM、韓国の音楽活動との違いは? “日本ローカライズ”曲の魅力を考察

リアルサウンド

18/8/13(月) 14:00

 現在、数多くの韓国のアイドルやアーティストたちが日本のミュージックシーンに進出している。今やその数は数え切れないほどだ。彼らは日本で活動するときは、日本語歌詞や日本向けのオリジナル曲を歌うことが多い。そこが英語などで歌う洋楽のアーティストとは違う部分だ。

 これまでBoA、東方神起などが日本で成功を収めたが、彼らはK-POPではなくJ-POPというジャンルで勝負をかけていた。この成功があったからこそ、日本における現在のK-POPの地位があると言っても過言ではないだろう。その“成功体験”をなぞったからなのか、日本におけるK-POPというのは、かなり日本向けにローカライズされていると感じている。

 今回は、同じようなタイミングに日本デビューを果たし、日本でも成功を収めているSHINeeと2PMを取り上げながら、各グループにおける、日本オリジナル曲の魅力について考えてみたい。

韓国と日本、2つの顔を持つSHINee

SHINee 샤이니 ‘누난 너무 예뻐 (Replay)’ MV

 SHINeeの日本デビュー曲は、韓国においてのデビュー曲と同じ「Replay -君は僕のeverything-」の日本語バージョンだった。その後、2012年リリースの4枚目のシングル「Sherlock」までは、韓国楽曲の日本語バージョンをシングルとしてリリースしている。アルバムには日本オリジナル楽曲もあったが、シングルで日本オリジナル曲が出てくるのは、同年に発売した5枚目のシングル「Dazzling Girl」が最初になる。

 韓国におけるSHINeeの立ち位置は、最新の音楽性とファション性を兼ね備えた“コンテンポラリーバンド”。いわゆる王道のアイドルというよりも、アート性の高いグループなのだ。しかし、日本におけるSHINeeには“おしゃれでポップなアイドル”というイメージを強く感じる。

SHINee – 「Dazzling Girl」 Music Video (short ver.)

 サウンドにおいて「Dazzling Girl」は、わかりやすくキャッチーなサビを持つかなり良質なJ-POPだ。この曲以降もJ-POP路線を突き進んでおり、韓国のSHINeeが好きでファンになった層には、日本における“アイドル”な彼らに馴染めない部分でもあるようだ。ただ、ここはK-POPとJ-POPの2つのSHINeeが楽しめると思えば、なかなか得した気分だ。何よりもSHINee自身が日本におけるJ-POPな自分たちを楽しんでいるように見える。日本で8月1日にリリースされた新曲「Sunny side」は、SHINeeのメンバーが“自分たちの気持ちをちゃんとファンに伝えたい”という思いで、自ら作詞した日本語曲になっている。

 時間が経つにつれ、SHINeeの韓日の音楽性の乖離は少なくなったように思える。韓国の最新アルバム『The Story Of Light』においては、むしろ韓国曲が日本に寄せているようにさえ思える。SHINeeの日韓の音楽はどんどん混じり合い、新しい世界にたどり着くのかもしれない。

しっかりJ-POPに溶け込んだ2PM

2PM 『Take off short ver.』

 SHINeeより少し早く日本でデビューした2PMは2011年5月にデビューシングル「Take off」をリリースする(2010年に『01:59PM〜JAPAN SPECIAL EDITION〜』をリリースしているが、これは韓国の1枚目のアルバムの日本仕様なので、今回はシングルを取り上げることにする)。この曲は韓国でリリースした曲の日本語版ではなく、全くのオリジナル曲だ。

 MVは宇宙船のような白いセットに、白い衣装にまとった2PMのメンバーが、フューチャー感溢れるイントロから〈君に出会ったのは〜〉と歌い始める。かなり爽やかな楽曲だ。当時の韓国での2PMはダークカラーの衣装をまとい、筋肉隆々な身体の線を強調した男っぽく荒々しい“野獣アイドル”というイメージで売っていただけに、正反対の路線に変えてきたことになる。

2PM “I’ll Be Back” M/V

 JYPエンターテインメント・ジャパンの代表であるソン・ジウン氏は、「10年に2PMが日本進出した際には、サウンド面をかなり大胆にローカライズしました。2PMの場合はすでに韓国でトップになっていましたから、日本と韓国の活動を差別化する意味もあったんです」とインタビューで答えている。実際にそれは成功し、2PMは日本でデビューしてすぐに受け入れられたのだ。

 日本でも“野獣アイドル”というキャッチコピーが定着している2PMだが、それが確実に定着したのは2枚目のシングル曲「I’m your man」からだろう。この曲で「Take off」とは違う路線に変え、韓国に近いワイルドでセクシーなイメージで売り出し人気を定着させた。同曲の“ネクタイダンス”は韓国でも話題になり、韓国の音楽番組でも披露されている。

違う音楽性を素直に楽しんでみる

 今回は日本オリジナル曲をピックアップしてみたが、もう一つの日本ローカライズの問題は「韓国詞の日本ローカライズ」、つまり日本語訳詞にもある。多くのファンは韓国語で慣れ親しんでいた曲が日本語になると“違和感”を感じるものなのだ。

 韓国語と日本語は似たような単語もあり、よく似ている言語と言える。しかし、韓国語の歌詞をそのまま日本語にするのは実に難しい。なぜなら、いくら似通っていても、同じ単語における韓国語の音の数と、日本語の音の数は違うことが多いからだ。それをできるだけ同じ韻を踏ませて、違和感のないように日本語詞に仕上げるのは、なかなか苦労しているだろうと思う。

 前回のSEVENTEENの記事で少し触れたが、サウンドや歌詞においては、K-POPファンにとってこの“日本ローカイズ”は受け入れがたいことも多い。大抵の場合、ファンが好きなのはJ-POPではなくK-POPであるからだ。

 しかし、視点を変えて考えてみると、韓国と日本で異なる2つの音楽を聴くことができるという側面もある。そう考えれば、日本向けにローカライズされたK-POP楽曲もより楽しむことができるのではないだろうか。

■西門香央里
東京在住のフォトライター。K-POP、韓国トレンド、旅行、グルメ、カルチャーなどを中心にWebメディアなどで活動中。年3~4回の渡韓でエネルギーを蓄えている。いつまでも年齢不詳でありたい通年おかっぱの人。座右の銘は「努力は裏切らない」。
寄稿媒体:いまトピ、エキサイト、TABIZINE、SHELBEE…等
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