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スカパラが浸透させた“東京スカ”とは? 峯田和伸、Ken Yokoyamaらコラボ曲を振り返る

リアルサウンド

19/8/11(日) 8:00

 東京スカパラダイスオーケストラ(以下、スカパラ)が、デビュー30周年記念となる「歌モノ」シングル『リボン feat.桜井和寿(Mr.Children)』を、8月7日にリリースした。

(関連:【写真】『明日以外すべて燃やせ feat.宮本浩次』リリースインタビュー

 本作は、スカパラがゲストボーカルをフィーチャーし、メンバーが作曲を、谷中敦が作詞を手がける「歌モノ」シリーズの一つ。これまでにも田島貴男やチバユウスケ、奥田民生、峯田和伸ら一筋縄ではいかないボーカリストを多数招聘してきたが、今回はMr.Childrenの桜井和寿を迎え、ポジティブなパワーに満ち溢れた楽曲を作り上げている。

 スカパラの「歌モノ」シリーズが始まったのは、今から18年前。田島貴男をフィーチャーした通算20枚目のシングル「めくれたオレンジ」からである。さらに、チバユウスケを迎えた「カナリヤ鳴く空」、奥田民生との「美しく燃える森」と3枚連続でコラボ曲をリリースし、「歌モノシングル3部作」として大きな話題を集めた。

 その後もハナレグミやCHARAをフィーチャーした「歌モノシングル3部作その2」(2005年12月14日~2006年5月10日)を企画し、近年では尾崎世界観(クリープハイプ)、片平里菜、Ken Yokoyama、斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)、そして峯田和伸と「歌モノ」シングルを連続してリリースしている(Ken Yokoyamaとは2曲でコラボ)。またデビュー25周年には、スペシャルプロジェクトとして10-FEET、MONGOL800そしてASIAN KUNG-FU GENERATIONの3バンド共演した「バンドコラボ第1弾~第3弾」を行うなど、ジャンルを問わず様々なミュージシャンとの交流を積極的に行ってきた。

「元々僕らは「東京スカ」と銘打って、東京で鳴っている音楽をどんどんミックスして、ジャマイカのスカやレゲエのフィルターに通していくというスタイルでやってきたんです」

 以前スカパラにインタビュー(https://trendnews.yahoo.co.jp/archives/533288/)した時、自らの音楽性についてNARGOはそう話してくれたが、ギターやホーンセクションによる“ンチャ、ンチャ”という「スカ」や「レゲエ」特有の裏打ちのリズムを随所に散りばめ、古今東西あらゆる音楽を「東京スカ」に料理できるということを、彼らは楽曲そのものによって証明し続けてきたのである。

 例えば、斎藤宏介を迎えて制作された「白と黒のモントゥーノ」(2017年)は、当時スカパラが南米ツアーを行ない、そこで浴びるように聴いてきたラテンミュージックからの影響を、ダイレクトに反映させた楽曲。サビで歌とコーラスの掛け合いが入り、エンディングに向かってどんどん盛り上がっていく構成は、曲名の通りサルサの一形態である「モントゥーノ」を取り入れたものだ。Bメロからサビにかけて目まぐるしく転調していく中、抑揚たっぷりのメロディをハイトーンボイスで歌いこなす斎藤のことを、谷中は「体のいろいろなところにスイッチでもついてるんじゃないかって思うくらい(笑)、精度の高いシンガー」と絶賛し(参照:https://trendnews.yahoo.co.jp/archives/533288/)、NARGOは好きな野球を引き合いに出して、「投げるボールを全て打ち返してくれる超優秀なバッター」と評していたのだった(参照:https://www.cinra.net/review/201711-tokyoska?path=%2Freview%2F201711-tokyoska&page=1)。

 また、峯田和伸をフィーチャーした2018年リリースの「ちえのわ」は、曲決めから、谷中による歌詞、そしてバンドのアレンジメントまでほぼ24時間以内に仕上げた楽曲だという。とにかく印象的なのが、イントロからエンディングまで緩急自在に変化していくドラマティックな曲展開だ。長年、スカパラのエンジニアを務めている渡辺省二郎をして“これまでフィーチャーしてきたボーカリストの中で、最も声量があった”(参照:https://trendnews.yahoo.co.jp/archives/541536/)と言わしめた峯田のボーカルを最大限生かすため、リズムパターンには特にこだわったという。

 「彼の歌が始まるところでは音数を極力少なくして。その分サビでは思いっきり派手にするとか、ミニマムからマックスまでダイナミクスをものすごく付けました」と茂木欣一。「『白と黒のモントゥーノ』のときもそうでしたけど、メロディラインが変わるごとに、リズムパターンがどんどん変わっていくということを、この曲でもやっています」とも話していた(同上)。また、シンセ始まりという、スカパラにしては珍しいアプローチは「峯田くんとのコラボなら出来る」と判断した沖祐市による、80年代のプリンスを意識したもの。スペイシーな音色に導かれ、峯田の絶叫が圧倒的な存在感を放っている。“ちえのわのようにこんがらがった人間関係も、離れてしまったら味気ない”と綴る谷中の歌詞も、峯田の生きざまにぴったりだ。

 さらに、「歌モノ」シリーズの中でもとりわけ「異色の相手」だったのは、Ken Yokoyamaだろう。Hi-STANDARDでもソロ名義でも、ほぼ英詞を歌ってきたYokoyamaが、「道なき道、反骨の。」そして「さよならホテル」と2曲とも日本語の歌詞を歌っている姿は新鮮だった。

 「健くんもスカパラも、もう随分長く活動を続けてきたので、やっぱり後輩が増えてきます。そういう子たちへのメッセージを、ここでちゃんと送っておきたいっていうのはありました」と谷中は述懐していたが(同上)、〈俺たちの時代も未来は/見えなかった〉、“いいことばかりじゃないが/お前を連れてゆきたい〉と若い世代にエールを贈りつつ、〈悲しいこと振り切りたくて/走り続けているだけさ〉と綴る歌詞は、彼らとほぼ同世代である筆者にはグッとくるものがあった。

 そして今回の新曲「リボン」は、作詞はもちろん谷中で作曲はNARGOが担当。ファンファーレのように高らかに鳴り響くホーンセクションと、倍になったり半分になったり目まぐるしくテンポチェンジを繰り返しながら、一気に駆け抜けていくようなリズムセクションが特徴的だ。サビのコード進行は「カノン進行」の発展形で、その上に乗るメロディはスカパラにしては音数が多く、パワフルでケレン味のある桜井の歌声を一層引き立てている。

 「Paradise Has No Border」(楽園に垣根はない)を合言葉に、様々なジャンルのアーティストとコラボを続けながら「東京スカ」をお茶の間に浸透させ続けてきたスカパラ。そんな彼らが日本のポップスシーンの最高峰である、ミスチルの桜井とタッグを組んだことにより、「東京スカ」は名実ともに「日本の音楽」となったのだ。(黒田隆憲)

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