人間は何歳になっても新しい冒険に出ていい。 そんな前向きなメッセージと共に、人生の勇気を与えてくれる作品だ。 若い頃はモラハラ、老いてからは介護。長年にわたり夫に人生を縛られてきた83歳の女性・イーディが夫の死後、旅に出る。場所は父の愛したスコットランドの山。それは彼女にとって初めての登山だった。 皮肉屋で他人に心を開かなかったヒロインが、旅を通じて表情に明るさが差していく。 イーディを演じるシーラ・ハンコックの、愁いと寂しさと戸惑いと優しさと希望とが内包された、綿密で複雑で、それでいてチャーミングな演技。彼女を包み込む温かい世界。眺めているだけで幸せになれる。 登山が苦手な私も、山に行きたくなった。