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X-MEN『ニュー・ミュータンツ』も オンライン開催のサンディエゴ・コミコン、今年の注目は?

リアルサウンド

20/7/21(火) 10:00

 新型コロナウイルスの影響でこの夏予定されていたサンディエゴ・コミコン(以下、SDCC)のリアル開催が中止となりました。

参考:現地でのSDCCの様子も

 コミコン側は「ComicCon@Home」と銘打ち、オンライン開催に切り替えました。ファンとしては毎年SDCCでマーベル、DC映画の発表が行われるので、オンライン開催でもそうした発表があるのか? 気になるところです。

 結論から言うと、現状のプログラムのスケジュールを見る限り、残念ながら今回の“オンラインのSDCC”にはマーベル、DCの映画のパネル(プレゼンテーション)はなさそうです。しかし、その代わりになるような動きがいくつかあるし、土壇場で“オンラインのSDCC”において重要な映画まわりの発表が行われる可能性はまだあるので、今回はそうした事情・状況についてお話したいと思います。

 マーベル(特にMCU)、DC映画にとってなぜSDCCが重要なのか、ということをまずご説明しましょう。SDCCはその名前からわかるとおり、もともとはコミック(アメコミ)のコンベンション・イベントでした。アメコミの出版社、アーティスト、ファン、またアメコミに関連する業界が集まっての交流イベントです。ところがアメコミ原作の映画が主流になってくると、マーベルもDCも映画やTVドラマのプロモーションの場としてここを使うようになります。

 また、例えば『プレデター』や『ハロウィン』のようなSF、ホラー映画、『ハリー・ポッター』や『ロード・オブ・ザ・リング』のようなファンタジーものもSDCCに来るファン層と被るので、コミック以外のエンターテインメントも集まるように。SDCCは毎年7月に開催されますが、タイミングとしてもとても良いのです。というのも、こうした大作映画は基本的に夏興行、クリスマス興行の大作が多い。だから来夏公開作品にとってはちょうど1年前のキックオフになるし、クリスマス興行にとってはプロモーションの追い込みとして勢いづきます。ドラマにとっては、秋から新シーズンが始まるので、直近のアピールの場としては最適なんですね。そのような要因もあり、SDCCはコミックの祭典から、いわゆるジャンル映画の発表の場としての魅力を持つようになります。そうなると、映画会社はここに出演スターを呼んで派手なパネルを展開。昨年のSDCCではトム・クルーズ自らがやってきて『トップガン:マーヴェリック』の予告の初出し上映を行いました。トム・クルーズはSFアクション映画に多く出ているので、実はSDCCによく来てくれるセレブの一人だし、『トップガン』自体がサンディエゴの海軍基地が舞台なので、サンディエゴ=SDCCでまずお披露目したかったそうです。

 そうしてSDCCは、海外でも日本でも映画メディアが注目するイベントになりました。僕は2010年のSDCCから参加しているのですが、その時MCU:マーベル・スタジオのパネル会場に入ることができ、そこで『アベンジャーズ』の製作発表が行われ、ステージ上に全キャストが並ぶというシーンに立ち会うことができました。その時の会場の興奮はワールドカップやロックのコンサートのようでした。ファンはその場での興奮をすぐにSNSにあげるので、瞬く間にニュースは広がります。

 SDCCのパネルにおいて一番人気かつ重要なのが、ホールHとよばれる大ホールでのパネルです。そこに入るためには徹夜して並ばないと無理なことが多い。特に土曜日のホールHは、午前中にDC/ワーナー、夕方はMCU:マーベル・スタジオのパネルというゴールドカードなので、丸1日つぶして並ぶ覚悟がいります。

 特に2017年はDC=『ジャスティス・リーグ』、MCU=『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』のお披露目があったので、ここ数年で最も熱いホールHでした。ところが2018年はMCUがホールHのプレゼンをスキップします。理由は『アベンジャーズ/エンドゲーム』について少しでもネタばらしになることを避けるため、発表するものがなかったからです。逆に2019年はDCがスキップ。これはDCの親会社であるワーナーが『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』の方に力をいれていたのと、『ジョーカー』をアメコミ映画として売らないというスタンスだったためSDCCを見送ったと言われています。

 なので、2020年は3年ぶりに、ホールHでDCとMCUが揃うと期待されていました。しかし、前述した通りSDCC自体がオンラインに。そして現状発表されている“オンラインのSDCC”(無観客でパネルを実施し、それを動画配信する形をとるそうです)でもDC映画とMCUのパネルは予定されていません。誤解のないようにいっておくと、これはあくまで“映画”についてであって、DCコミックやマーベル・コミックの方のパネルはいくつか実施されるようだし、“オンラインのSDCC”用の限定グッズは通販されるようなので、“DCとマーベルが参加しない”ということではありません。“DC映画とMCUが参加しない”ということです。

 DC映画については、来年の『The Batman(原題)』『The Suicide Squad(原題)』から始まる新DC映画戦略(なお海外のメディアが使うDCEUという言葉はDC/ワーナーの公式の言葉ではないそうなので、このコラムではDC映画と呼称します)、MCUについてはフェーズ4の詳細が明らかになるだろうと胸を膨らませていたファンにとって残念な話です。ただ、MCUはオンラインになった瞬間SDCCを軽んじたというより、単純に“お見せできるものがない”のかもしれません。新型コロナウイルスで映画の撮影などが遅れているので、準備ができていないということでしょう。

 そして! ここに来て朗報が。まず“オンラインのSDCC”についてX-MEN映画の新作『The New Mutants(原題)』のパネルが実施されることが急遽発表! この作品について書くと、それだけで1コラムになってしまうので内容は割愛しますが、20世紀フォックスがディズニー傘下になる前に作っていた異色のX-MEN映画です。公開前に20世紀フォックスがディズニーに買収されたのでディズニーからの公開となりますが、マーベルおよびMCUもディズニー傘下なので「ディズニー発の、MCUではない、マーベル映画」という不思議なポジションなのです。この作品はMCUとしてカウントされない可能性もあり、それ故単独で“オンラインのSDCC”に参加できたのかもしれません。

 このこと自体にワクワクするのですが、僕がこのニュースで嬉しかったのは、電撃的に『ニュー・ミュータンツ』のパネルがあるとアナウンスされたことです。つまり、“オンラインのSDCC”は一旦スケジュールは発表されていますが、この先サプライズでなにかあるかもということを意味しています。

 一方、DCは8月22日午前10時(日本時間8月23日午前2時)から24時間、「DCファンドーム」というオンライン・イベントを開催することが決定! ここでこれからのDC映画や、ワーナーが立ち上げる配信サービスHBO Maxでリリースされるザック・スナイダー版『ジャスティス・リーグ』などの発表を行うそうです。DCオンリーのコミコンです。DCはこれがあるから今年の“オンラインのSDCC”を見送ったようです。DCファンにとっては、夢のような24時間でしょう。

 新型コロナウイルスはエンタメ業界にも大きな(大きすぎる)影響を与えました。来年、SDCCのリアル開催が実施されることを切に望みますが、こうしたオンラインを使った試みがどこまでファンを楽しませてくれるのかというのも注目していきたいと思います。 (文=杉山すぴ豊)

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