鉄道ファン、なかでもSLのファンは涙が出るほど嬉しいのではないだろうか。 第2次世界大戦中の独ソ戦のごくごく小さな闘いを、かなりの製作費をかけて再現する戦争映画だが、主役は蒸気機関車だ。 ソ連はほとんどの青年が前線へ行ってしまったため、鉄道輸送の業務を若い女性にさせなければならない。動員された2人の女学生の眼を通して、戦争と軍と「男たち」が描かれる。 最初はバラバラの男女たちが、いつしかチームとしてのまとまりを得る。そこに軍が謎の司令を出して……。恋にまで発展しない「思い」とか、裏切りとか、いろいろな要素を積みながら列車は走る。 河に橋をかける時間がないので、凍った河の上にそのまま線路を敷いて、そこを走っていたなんて、初めて知った。 そういえばソ連時代には、けっこう戦争映画があったなと思い出す。ハリウッド映画ほど洗練されてなく、野暮ったいのだけど、物量はすごかった。その伝統がいまも健在だ。