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こまつ座「戦後“命”の三部作”」山崎一×伊勢佳世『父と暮せば』開幕

ぴあ

こまつ座『父と暮せば』チラシ

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作家・劇作家の井上ひさしに関係する作品を専門に上演し続けている制作集団・こまつ座。その中には様々なレパートリーがあるが、初演から四半世紀を超えて上演されているライフワーク作品『父と暮せば』が5月21日(金)より紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて開幕する。

舞台は、原爆投下から3年後の広島。図書館で働くひとり暮らしの福吉美津江のもとへ、父・竹造があらわれる。竹造は、美津江がほのかに抱いた恋を実らせようとして、美津江の“恋の応援団長”としてあらわれたのだという。「うちはしあわせになってはいけんのじゃ 」と父の言葉を拒絶する美津江と、娘のかたくなな心を解き放とうとする竹造。そして、父と娘の壮絶な命の会話が展開していく……。

『父と暮せば』前回公演より 撮影:谷古宇正彦

1994年の初演からキャスト交代を経て上演され続けている本作だが、2018年からは山崎一と伊勢佳世の新キャストに。物語に色を添える幅広い役柄を演じる山崎は、新たな父・竹造を見事に演じきり第26回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞している。そして、どんな役にも自然体に染まる伊勢は、真面目で聡明な娘・美津江をリアルに体現。演出は初演から携わってきた鵜山仁が担う。

なお、本作の対となる作品『母と暮せば』が今年7月に上演され、2作連続上演が実現する。こちらは長崎で被爆した母と亡き息子の幽霊の交流を描く物語だが、井上の構想を受け継いだ山田洋次監督が映画作品として2015年に公開。そして2018年に山田監督の監修、畑澤聖悟の脚本、栗山民也の演出により舞台化されたが、今回も初演に続き富田靖子・松下洸平の出演で再演される。なお、井上は生前、沖縄を舞台とする作品も構想していたが、その遺志を蓬莱隆太が継いで書き下ろした『木の上の軍隊』を加えた3作は、山田監督により「戦後“命”の三部作」と命名されている。今年は核兵器禁止条約が発効された年でもある。今後も継承すべき井上作品に込められたメッセージをそれぞれの視点で感じ取ってほしい。

文:伊藤由紀子

公演情報
こまつ座『父と暮せば』
作:井上ひさし
演出:鵜山仁
出演:山崎一 / 伊勢佳世

【東京公演】
2021年5月21日(金)~2021年5月30日(日)
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA

【愛知公演】
2021年6月3日(木)
会場:幸田町民会館つばきホール

【岩手公演】
2021年6月6日(日)
会場:一関文化センター大ホール

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