Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

『35歳の少女』柴咲コウの“10歳の演技”から目が離せない 『オレンジデイズ』を想起させる瞬間も

リアルサウンド

20/10/17(土) 6:00

 日本テレビ系連続ドラマ『35歳の少女』で、5年ぶりに民放連続ドラマ主演を務める柴咲コウ。25年ぶりに目覚めた“35歳の少女”という難役での熱演に様々な声が飛び交っている。そこで今回、改めて『35歳の少女』第1話での演技も踏まえながら、柴咲コウの演技力を掘り下げてみたい。

 『35歳の少女』は、『家政婦のミタ』『同期のサクラ』(日本テレビ系)などで知られる遊川和彦のオリジナル脚本作。柴咲と遊川は、『○○妻』(日本テレビ系)以来5年ぶりのタッグとなる。1995年、不慮の事故で突然長い眠りについた10歳の少女・時岡望美(柴咲コウ/10歳時:鎌田英怜奈)が、心は10歳で身体は35歳の状態で目覚めることから物語は動き出す。10歳当時の家族はバラバラで、初恋の少年・広瀬結人(坂口健太郎)はある事故をきっかけに夢をあきらめた大人になっているなど、自分だけでなく、全てが変わったしまった世界で、当惑いながらも生きる望美の成長を描く。

 柴咲のイメージと言えば、「クール」と答える人も多いのではないだろうか。『Dr.コトー診療所』(フジテレビ系)では、周りが何を言おうとコトー先生(吉岡秀隆)を信じ献身的に支える看護師役や、NHK大河ドラマで主演を務めた『おんな城主 直虎』での戦国時代の女城主役など、カッコいい女性の役が似合う女優だが、時折見せる屈託のなさがなによりの柴咲の魅力。クールさ・真面目さの奥底にある人間味を表現する上手さが、柴咲が長年第一線で活躍できた理由だろう。

 「体は35歳、心は10歳」という難役を柴咲がどう演じるかに注目が集まった第1話。泣きじゃくる演技が、本当の10歳みたいだと話題となっていたが、演技で印象的だったのはそこだけではない。目覚めから泣くまでに至る10歳らしい繊細な心の動きの演技が光った回となった。変に驚いたり、ショックを受けたりするのではなく、ことの次第がまだ飲み込めていない表情を見せたり、外の世界に興味津々で目を動かして状況を見回したりといった細かい仕草が、作品の設定をよりリアリスティックなものにしていた。

 そして、当時の初恋の人であった結人(坂口健太郎)を見る姿も面白い。おじさんになってしまった結人に驚いたり、結人が話すと一切目線を逸らさず話を好奇心旺盛に聞く姿なども、まさに子供らしく、リアクションの演技も奥深い。こうした表情だけで見せる、小さな積み重ねがあってこそ、理想の未来像とはかけ離れた辛い現実に、望美が泣き叫ぶ第1話のラストのインパクトに繋がってくる。10月9日放送の『ZIP!』(日本テレビ系)で柴咲は「体は35歳なんだけど、心は10歳というのを表現するために、姿勢をちょっと猫背ぎみにしたりだとか、内に入るような感じを想像しています」と語っている。

 今回のようにほぼ言葉を発さずに心の感情を表に出す演技は、柴咲の出世作である2004年の『オレンジデイズ』(TBS系)での聴覚障害を持つ女子大生・沙絵役を思い出す。手話だけで、強気な性格を表現する演技に感心させられたものだが、手話だけでは伝わらない感情を爆発させた時の行動と、『35歳の少女』での10歳の女の子が感情を爆発させた時の泣く姿は、どこか共通するものを感じた。

 第1話以降、目覚めた沙絵が現世に慣れていくにつれ、柴咲はどのような10歳の演技を見せるのだろうか。少しずつ成長していく繊細な変化に期待したい。また、理想通りにはいかない、切ない展開を得意とする遊川がどんな物語を柴咲にぶつけてくるのか、そして柴咲がそれにどう応えるのか、今後の展開も注目だ。 

■放送情報
『35歳の少女』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜22:54放送
出演:柴咲コウ、坂口健太郎、橋本愛、田中哲司、富田靖子、竜星涼、鈴木保奈美、細田善彦、大友花恋
脚本:遊川和彦
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:大平太、諸田景子
演出:猪股隆一ほか
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/shojo35/
公式Twitter:@shojo35

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む