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ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏

20/2/11(火)

(C)2018 Mars Town Film Limited

衝撃的な小説という触れ込みの『サラ、神に背いた少年』(アーティストハウス刊)は読んではいないが、タイトルには記憶があった。映画になったのも、観なかったけど、憶えている。 そういうわけで、J.T.リロイには「感動した」経験も、「騙された」という怒りも何もなく、いきなりこの映画を観たが、リアルとフィクションをめぐる「現代の寓話」として、楽しめた。 青年の自伝的小説を書いた女性、作家を演じる少女、その小説を映画化する女優という、主要人物3人が、それぞれ劇中で演技をする二重構造で、3人の女優が、実にリアルに、まるでドキュメンタリー映画のように演じている。その演技合戦もみどころ。 「世間を騙した話」という「実話」をもとにしたこの映画が、どこまで「事実」なのかもまた疑問なのだけど、それを言い出すときりがない。 出版社の人間がまったく登場せず、出版社もこの「お芝居」に噛んでいたのか、出版社も騙されていたのか、そのあたりが、ちょっと気になった。美少年作家を演じさせれられた美少女の視界には、出版社はいなかったということなのだろうか。

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