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ネクライトーキー、ズーカラデル、SPARK!!SOUND!!SHOW!!、Novelbright…フェスでさらなる飛躍を予感させるバンドたち

リアルサウンド

19/12/13(金) 7:00

 今年の『COUNTDOWN JAPAN』の公式ホームページにて、「最終先行となる6次先行では、15万人を超える方にご希望に添えないという通知を出すことになってしまいました」というお詫びのコメントが掲載された。これはつまるところ、それほどまでに“ロックフェス”が支持されていることを意味するのだと思う。実際、アーティストの人気をはかるうえで、今でもフェスは大きな指標の一つとなっているし、若手バンドが存在感を示すための場所としても機能している。

(関連:King Gnu、ネクライトーキー……2019年バンドシーンの傾向を『バズリズム02』恒例企画から考察

 そこで、この記事では2019年にフェスを中心に大きく躍進し、2020年にさらなる飛躍を予感させるバンドをいくつか取り上げてみたい。

 まず、最初に名前を挙げたいのがネクライトーキーである。出世作「オシャレ大作戦」が発表されたのは2018年。その頃から徐々に存在感を示しはじめ、2019年から本格的にフェスを中心に人気を博すようになった。実際、観客の乗せ方や魅せ方が2018年から2019年にかけて洗練されたし、それに伴ってライブでの熱狂はより大きなものになったように感じる。代表曲の1つ「オシャレ大作戦」は、サビで四つ打ちと裏打ちハイハットを組み合わせた、いわゆる“フェス受けしやすいリズム“を盛り込んだ歌となっている。が、このバンドはいわゆる“踊らせるロックバンド”とは趣が異なる。例えば、「許せ!服部」では間奏のパートで息のあったバンドアンサンブルを披露し、予定調和を崩すような攻撃的なリズムを披露する。そして、このようなトリッキーなバンドサウンドを披露しているときの方が、ネクライトーキーのライブの熱狂度が高いのだ。曲ごとのつなぎ方も見事なもの。演奏そのものでオーディエンスを熱狂させる屈指のライブバンドであり、2020年のフェスでもさらなる飛躍が予感される。

 次に名前を挙げたいのがズーカラデル。昨年と今年で出演するフェスの本数が大きく増加したバンドの一組だ。ズーカラデルは定型的なノリ方を強制させるのではなく、各々が好きなように楽しむことを肯定するバンドである。実際、バンドが鳴らすリズムはゆったりとしており、ノリ方に対する自由度が高い。そのため、歌詞にコミットメントするように拳を突き上げる観客もいれば、腕を組みながらじっとバンドメンバーに熱い眼差しを送る観客もいる。特にフェスの場合、頭より上に手を上げる動きを促すバンドが多い中で、ズーカラデルはそこにこだわらない。オーセンティックなロックを自信を持って響かせている。バンド全体もどことなくマイペースな雰囲気であり、その生き急いでいない様子がロックフェスのステージでの空気に通じているような気がする。彼らが来年さらなる躍進をするのではないかと期待できるのは、観客が自由に楽しめるポップスが彼らにしかない武器となっており、自分たちの立ち位置を確実に作っていっているからである。

 SPARK!!SOUND!!SHOW!!も、今年フェスを中心に大きく存在感を示すようになったバンドの一組ではないだろうか。ステージ外にある建物やフェンスによじ登るような、アグレッシブなパフォーマンスが彼らの大きな魅力のひとつ。昨今のロックバンドは、SNSの影響もあってか目立つ場所で尖ったパフォーマンスを控えることが多くなった。“良い子でいること”に努め、余計な言葉は口にしないバンドも増えてきた。そんな中、SPARK!!SOUND!!SHOW!!は“自分たちができることを全力でやる”、という気概を感じさせる。そしてそれは“よじ登る”という絵的なパフォーマンスだけでなく、バンドサウンドにも通じている。ライブでよく披露される「南無」では、タイトル通り、お経のような言葉を取り入れ、ラップのようなフロウで言葉をまくしたてる。かと思えば、ダンスチューンのようなバキバキのシンセサイザーの音を取り入れているし、ノイズに近い音を響かせながらゴリゴリに突き抜けていく。他のバンドにはないミクスチャーを垣間見せるわけだ。“良い子なバンド”ならわざわざ選択しないような攻めを作品に盛り込むのである。そういう選択をお構いなしにできるからこそ、SPARK!!SOUND!!SHOW!!は、ロック、フェスシーンにおいて大きな存在感を示しているのかもしれない。

 最後に紹介したいのは、Novelbright。2019年にSNSを中心に話題となり、多数のメディアでも取り上げられるようになった。今年の冬フェスにも多数出演が決定しており、来年以降も注目の的となることが想起される。バンドの大きな武器は、高音域を綺麗に響かせる竹中雄大のボーカル。実際、SNSで話題になった大きな要素は、澄み切ったボーカルの表現力や、メロディにあったように感じる。思えば、今年の音楽シーン全体においても、King GnuやOfficial髭男dismのような、印象的なメロディで存在感を示したバンドの躍進が顕著だった。もちろん、そこだけがウリではないのは百も承知だが、近年は“四つ打ち”や“シティポップ”という言葉がフェスやバンドシーンでのキーワードとなっていた。しかし、King GnuやOfficial髭男dism、あるいはあいみょんなどもそうだが、今、共通してフェスで存在感を示しているアーティストの特徴を並べるならば、メロディに共通点を見いだせる。平たい言葉でいえば、いわゆるJ-POP的なキャッチーさのあるメロディで、90年代のセンスを受け継ぎながら今風のサウンドで進化させたアーティストの存在が目立つ。もちろん、単にフェスの現場が“メロディ史上主義”になったという安易な話ではないが、フェスが乱立する中で色分けが顕著になったり、開催日ごとに出演するアーティストをジャンルで分けることが当たり前となってきた。そのため、特定の音楽を求めているリスナーはそのジャンルに特化したフェスに行くようになったことで、『COUNTDOWN JAPAN』のような多様なラインナップが集うフェスのメインステージに立つのは、メロディにおいて存在感を示すアーティストとなり、同時に、そういうアーティストを好む観客が増加したのではないか。そう考えると、Novelbrightが持つボーカルとメロディという武器こそが、2020年のメガフェスの空気ともっとも親和性があり、さらなる飛躍を遂げるのかもしれない。

 今や、音楽のジャンルや出演するバンドの方向性でフェスを語ることが困難になっている。結局のところ、自分を含めた“メディアが語る流行りの音楽話”は無視して、自分たちのやりたいことを貫いたバンドこそが、2020年のフェスでも存在感を示すのではないか。そんなことを思うのである。(ロッキン・ライフの中の人)

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