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カーリー・レイ・ジェプセン、圧倒的な“爽快感”が残った3年半ぶりの来日公演を見て

リアルサウンド

19/10/16(水) 18:00

 Welcome Back,Carly! 前回の来日公演から3年半ぶり、ニューアルバム『Dedicated』が世界中でロングヒット中のカーリー・レイ・ジェプセンが日本に帰って来た。観る者全てを元気にするパワー全開で駆け抜けたジャパンツアー。ツアー初日の10月7日、東京・NHKホールの模様を振り返ろう。

 開演時間の19時ジャスト、場内暗転と共に4人編成のバンドが登場して引き締まったダンスビートを叩きだし、間髪入れずにカーリーがステージに飛び込んでくる鮮やかなオープニング。カーリーはカラフルなイエロー、ピンク、ブルーのフリンジのついたワンピース、網タイツに黒のショートブーツ。前回の来日時は黒髪だったから、輝くようなプラチナブロンドのヘアーを日本のファンが見るのはこの日が初めてのはず。小柄な体をポンポン弾ませてステップを踏みながら、ステージいっぱいを使うパフォーマンスに場内の空気はいきなり沸騰。1曲目「No Drug Like Me」から前作アルバムのタイトルチューン「Emotion」へ、間奏ではしゃがみこんで最前列のファンとハイタッチ! カーリーのポジティブなキュートさが序盤から全開だ。

 「So Excited!そしてThank You For Coming!」 早口の英語の意味は完全にわからなくとも、彼女が日本に来ることをとても楽しみにしていた気持ちはよくわかる。ステージセットはお立ち台があるくらいでシンプルそのものだが、代わりに後方のLEDスクリーンが大活躍。美しい都会の夜景をバックに歌う「Run Away With Me」は、キーボーディストがサックスにチェンジしてご機嫌なブロウを聴かす。「Julien」ではスクリーンの中のミラーボールと本物のミラーボールがシンクロし、広いNHKホールをディスコに変えた。ギタリストがスティックを取り出してデジタルパーカッションを叩いてる。4人ともイケメンで、パフォーマンスもかっこいいバンドだ。

 ちょっぴりダークで切ない「Happy Not Knowing」のあと、6曲目に早くも「Call Me Maybe」が登場し、イントロが鳴っただけで大歓声が沸き上がる。なんたって2012年に世界中でNo.1を記録したメガヒット曲だ。キャッチーを絵に描いたようなティーンポップの傑作で、もちろん日本の観客ももれなく歌う。カーリーがマイクを客席に向けっぱなしでニコニコしてる。「Call Me Maybe」はディスコをモダンにチューンアップしたようなサウンドだが、続く最新ヒット「Now That I Found You」はばりばりのEDMチューン。この曲はミュージックビデオが楽しくて、カーリーが猫まみれになるシーンが最高だが、ライブでもくるくる回って踊って実に楽しそう。「Gimme Love」では自ら手拍子を求め、「Feels Right」ではミドルテンポのファンキーなビートに乗りパワフルなハイトーンを響かせる。バンドとの一体感も素晴らしい。

 中盤で演奏された「Fever」「First Time」「Store」の3曲は、2017年の日本編集盤『カット・トゥ・ザ・フィーリング~エモーション・サイドB+』などに収録された曲で、明るくノスタルジックな80’sポップ感をたたえた「First Time」や、ちょっぴりセンチメンタルなグッドメロディを持つ「Store」など、カーリーにはオリジナルアルバム以外にもいい曲がたくさんある。「Store」のサビでは〈goin’ to the store〉の歌詞に合わせてメンバー揃って足踏み行進を、さらに悪乗りしてニューアルバムからの「Too Much」では、メンバー全員ブロンドのウィッグを頭に乗せて演奏するファニーなパフォーマンス。なぜ全員ブロンドなのか? は、「Too Much」のミュージックビデオを見れば謎が解けるはず。やることなすこと、いちいちチャーミングだ。

 2015年度最大の洋楽ヒット「I Really Like You」のサビは、もちろんNHKホールいっぱいの大合唱だ。カーリーも目いっぱいの熱いパフォーマンスでそれに応える。『Dedicated』に収録された、ソウルにレゲエを加えた風味のメロウチューン「Everything He Needs」は、アップテンポのダンスチューン中心のセットリストの中での一幅の清涼剤。一転して「Boy Problems」はお立ち台のディスコクイーンのごとく腰や手を振りながらで会場を盛り上げ、2018年のヒットチューン「Party For One」へなだれ込む。クラップ、ジャンプ、掛け声、笑顔でオーディエンスを煽るその姿は、神々しいディーバよりもアメフトのチアリーダーみたいな親しみやすさに溢れてる。それこそがデビューの頃から変わらないカーリーの魅力だ。

 アンコールはニューアルバムからの「Real Love」で、カーリーの楽曲の中ではメロウなタイプに入るだろう。力強いビートに寄り添う切ないファルセットがいい感じ。「Let’s Get Lost」は思い切りハジけたロックチューンで、サックスプレイヤーが最前線に飛び出してカーリーと絡み、サックスを持ったまま寝転がってブレイクダンス! 巧いのはもちろん、マニアックな80’sっぽいシンセや電子ドラムの音、センスのいいカッティングやスラップ奏法、そして楽しいパフォーマンスも一緒にこなすこのバンド、只者じゃない。そしていよいよラストチューン、明るくハッピーな「Cut To The Feeling」ではまたしても会場いっぱいの大合唱の中、盛大に銀テープを発射するグランドフィナーレ。「Thank You,Good Night!」と投げキッスをばらまきながらステージを降りるカーリーに向けて贈られる、愛に溢れた声援と拍手。灯りのともった場内のざわめきが静まらない。楽しい夢を見ていたような気分だ。

 時計を見れば8時18分。80分弱のステージに21曲を詰め込み、全力疾走で駆け抜けたパフォーマンスには痛快という言葉がよく似合う。実はカーリーの楽曲には切ないリリックも少なくないが、最後に残るのは圧倒的な爽快感。<ユニバーサル ミュージック>のオフィシャルサイトによると、この日カーリーは「日本は私の第二の故郷、大好きな場所」とMCで言ってくれたそうだ。Thank You,Carly。See You Soon! 次は3年半も待たせないでおくれ。

(取材・文=宮本英夫/ライブ写真=Alex Perkins)

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