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ライムベリーのプロデューサーが明かす「彼女たちが『YO』と言わない理由」

リアルサウンド

13/8/23(金) 14:30

rbs_ap_130710.jpg左からHIME、MIRI、HIKARU、YUKA

 アイドルラップユニット・ライムベリー。3MC&1DJで構成されたこの中高生4人組は、アイドルでありながら基本的には歌わず、ラップのみを行うことが特徴だ。

 アイドル界においても特殊なその魅力を武器に、昨年10月にタワーレコードのアイドル専門レーベル「T-Palette Records」に加入。先月には同レーベルから2枚目となるシングル「SUPERMCZTOKYO」をリリースし、オリコンインディーズ週間チャートで4位、そしてタワレコ全店総合シングル週間チャートで10位を獲得した。さらに今月11日に渋谷WWWにて開催された初めてのワンマンライブには、400人を越える超満員のファンを動員、大成功を収めている。

 そんな要注目のアイドルユニットのプロデューサー・E TICKET PRODUCTION氏に、ライムベリーのプロデュース全般について、話を聞いた。

――「PRODUCTION」と言いつつも、実際は桑島(桑島由一)さんお1人のことを指してるんですよね?

E TICKET PRODUCTION(以下、Eチケ):はい、僕は普段はライトノベルと呼ばれる小説やゲームシナリオを書いたり、作詞をしたりしています。E TICKET PRODUCTIONは音楽活動の名義ですね。

――具体的なプロデュースの内容を教えて貰えますか?

Eチケ:全ての楽曲の作詞作曲(DECKSTREAM『DECKSTREAM.JP』収録の『Blight Light』の作曲は除く)を手掛けています。「女の子による “明るく楽しいラップ”」というメインテーマを設定して、それに添ってメンバーの人数や役割、細かい世界観を構築して、さらにそこからブレないように、グッズやCDなどのデザインの方向性を決めています。グッズのデザインに関してはデザイナーさんに外注する以外に、自分自身で実際に行うことも多いです。

rbs_sample01.jpgイメージ写真には、フィギュアやファミコンといったポップなアイテムが散りばめられ、
ライムベリーの世界観が反映されている

――ラップの指導も行っている?

Eチケ:そうですね。まず僕が吹き込んだデモのラップをメンバーに送って、その後にリハを何回かやりながら、直接調整して行きます。デモ通りにやるというわけではなく、メンバーの特性に合わせてラップの仕方を変えたり。レコーディングにも立ち会い、指示します。それから、ライブもなるべく観て、お客さんとの掛け合いやステージング全般をチェックして、調整が必要な箇所があれば繰り返し行います。

――プロデューサーと言いつつも、曲を作るだけでなく、かなり多くの仕事をされてますね。

Eチケ:トータルのパッケージングが重要だと思っているので。全部自分でやりたい、ということではなくて、方向性を共有できるそれぞれの専門職の方がいたり、あるいはそこにコストが掛けられるなら、任せられる部分は人に任せたいです。

――「これだけはやらない」と決めていることはありますか?

Eチケ:MCが歌わない、ということです。女の子のラッパーが、デビュー当初はラップだけをしてたのに、活動の途中から歌物ばかりになっちゃうことがよくあるんですが、それは絶対避けようと。ニューシングルのカップリング曲「We did it」で歌っている箇所がありますが、あれはサンプリングネタみたいな感覚で入れたし、MCには歌わせてはいないのです。

――結成の経緯を教えて貰えますか?

Eチケ:07年くらいの「萌えブーム」の中で、「萌え+ロック」「萌え+メタル」みたいな音楽が流行ったんですが、「萌え+ヒップホップ」というのはなかったんですよ。元々ヒップホップが好きだったし、自分なら両方の文化を理解した上で作れるんじゃないかなと思って始めたのが、ライムベリーの前身ユニットとなったMOE-K-MCZです。で、とある知り合いの方からの勧めでタレント事務所を紹介して貰い、11年にMOEKのコンセプトと楽曲の一部を引き継いでライムベリーをやることになって。ただその時には既に萌え的なもの、アキバ的なものは使い古されていたので、そこを打ち出すのではなく、”可愛い女の子の元気なラップ”っていうのをより前に出して行くことにしました。

――ライムベリーをやるにあたって、日本語ラップファンからの批判が起こらないか、不安はなかったですか?

Eチケ:めちゃめちゃありましたよ!特にMOEKから引き継いだ曲「HEY!BROTHER」は一番”萌え”的な要素が残っていて、「ねえ、お兄ちゃん!」って連呼してますし、誤解は受けやすいだろうなと。嫌いな人はすごい嫌いだろうし。でもだからこそ、全ての曲作りにおいて、日本語ラップを好きな人が聴いて怒るようなものを作らないように意識してます。リスペクトしている気持ちを細部に込めて、丁寧に作るように。分かりやすいところでは、「ヨーヨー」「チェケラ」とか安易に言わせない。それと、ラップを知らない人が作るラップにしないとか。

――というと?

Eチケ:ラップを知らない人が作ると、吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」みたいな、「ナントカナントカナントカで、ナントカナントカナントカよ」、みたいなフロウになりがちなので、そうならないように。あと、もちろん韻も一生懸命考えて踏むことと、さっきも言ったように、サビで歌わないこと。サビで歌うと最終的に全部歌う方向にいきそうだし、ラップのいいとこ取りをしている印象がするんですよ。そうじゃなくて、ラップだけにこだわってやり続けることに意味を見出すようにしています。日本語ラップの中にもいろんなジャンルが出て来てるので、アイドルのラップも受け入れやすくはなってるのかなと思います。

ライムベリー「MAGIC PARTY」Live@TIF2012

――代表曲である「MAGIC PARTY」ではボーイズ・タウン・ギャングの「君の瞳に恋してる」、「RHYMEBERRY IZ NO.1」ではBeastie Boysの「Ch-Check It Out」をサンプリングしたりと、マニアックな曲ではなく、いわゆる大ネタを使うことが多いですよね。

Eチケ:大ネタって単純に楽しいじゃないですか。男がやると狙いすぎでも、可愛い女の子がやると笑って許してくれるんじゃないかなと思って。

――「にゃんにゃん」というフレーズも多いですよね。

Eチケ:「HEY!BROTHER」の間奏の「にゃんにゃか」は、デモの段階ではいとうせいこう&TINNIE PUNXの「東京ブロンクス」のボイスサンプリングだったんです。本番では外すことになったんですが、リハーサルの時にメンバーがその部分を「にゃんにゃか」って自分なりの歌詞で歌い出して。可愛いので採用しました。「MAGIC PARTY」は元々MOEKの時に最後のサンプリングのところで「手を振りたいね」って話してて。単に手を振るだけじゃ寂しいから「にゃーにゃー」にしようと思い付きでやってたのを引き継ぎました。
次回「『可愛いラップ』を突き詰めたい ライムベリーが進む道」に続く
(取材・文=岡島紳士)

etp_pic.jpgE TICKET PRODUCTION(桑島由一 yoshikazu kuwashima)。
ライムベリーの作詞作曲、世界観構築、デザイン(及びデザイン監修)などを担当し、クリエティブな面での全てをプロデュースしている。
オフィシャルTwitter

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