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町山智浩の映画塾開催、「ブロークバック・マウンテン」のテーマは映画秘宝に通ずる

ナタリー

20/2/7(金) 11:14

町山智浩

イベント「WOWOW 町山智浩の映画塾!」が、2月6日に東京・ユーロライブで開催された。

アカデミー賞特集と銘打たれた本イベントでは、町山智浩が過去の受賞作4作品をピックアップし、制作者の意図や時代背景などを、3時間弱かけてたっぷり解説。今回はレジーナ・キングが助演女優賞に輝いた「ビール・ストリートの恋人たち」、作品賞など6冠の「シカゴ」、ダニエル・デイ=ルイスが主演男優賞、ブレンダ・フリッカーが助演女優賞を受賞した「マイ・レフトフット」、アン・リーの監督賞など3冠の「ブロークバック・マウンテン」が取り上げられた。

2002年の「シカゴ」は、ボブ・フォッシーによるミュージカルを、ロブ・マーシャルが映画化した作品。本作では、ロキシー役のレニー・ゼルウィガーが主演女優賞にノミネートされ、ヴェルマ役のキャサリン・ゼタ=ジョーンズが助演女優賞を受賞した。当初はゼタ=ジョーンズがロキシーを演じるはずだったそうで、町山は「でも彼女は『オール・ザット・ジャズ』を歌う役がいい、あの曲がこの映画で一番いいから、と言ったんです。出番が少なくなるとしても、そっちを選んでオスカーを獲りました」と説明。さらに「レ・ミゼラブル」で「夢やぶれて」を歌ったアン・ハサウェイを例に挙げ「ミュージカル映画では、一番いい曲をちゃんと歌えばオスカーが獲れる」とポイントを述べる。

ゼルウィガーは今年度「ジュディ 虹の彼方に」で主演女優賞にノミネートされていることから、町山は「『ジュディ』では1曲、彼女が素晴らしい曲を歌い通すシーンがあります。“これでアカデミー賞を獲る!”っていう映画になってるんです。アン・ハサウェイやキャサリン・ゼタ=ジョーンズを観て、『こうしないとアカデミー賞を獲れない』って思ったんでしょうね(笑)」と彼女の新作もアピールした。

ヒース・レジャーとジェイク・ギレンホール演じるカウボーイたちの禁断の愛を描く「ブロークバック・マウンテン」の解説パートでは、町山が「僕は、これは同性愛の話ではないと思っています。アメリカ社会に隠されている家父長制度や男性性を指摘しつつ、そんなカウボーイ神話に取り憑かれている人へのアンチテーゼなんです。もっとも男らしく描かれているのはレジャー演じるイニスですが、力で男性が優位に立つ時代でもなくなり始め、居場所がなくなっているんです」と考えを明かす。

同作で描かれる“大人になれない男たちと、そのせいで悲しい思いをする女性”の例として「映画秘宝みたいなものですよ! 子供の頃からブルース・リーや怪獣映画が好きで、男同士でフィギュアの話をして盛り上がっている間に、奥さんが『しょうがねえな』と言いながら酒の肴を作ってくれている、みたいな(笑)」と主張した町山。最後に「あと『エクスペンダブルズ』だよ! ジェイソン・ステイサムもきっと『ごめん、エクスペンダブルズ4の撮影があるんだ……(シルヴェスター・)スタローンに呼ばれちゃって……』とか言って、奥さんに『それ仕事じゃないでしょ!』って言われてるよ」と話して笑いを起こした。

そのほか町山は、「ビール・ストリートの恋人たち」の原作が執筆された時代背景から読み解く、恋愛描写に込められたこだわりを解説。「マイ・レフトフット」のパートでは、デイ=ルイスの驚くべき役作りについて語った。なお本イベントの模様は、「映画塾」のサイトで3月以降に順次公開。取り上げた4作品は順次WOWOWで放送される。

町山は、2月10日にWOWOWで放送される「生中継!第92回アカデミー賞授賞式」に、スタジオゲストとして生出演する。

生中継!第92回アカデミー賞授賞式

WOWOWプライム 2020年2月10日(月)8:30~
※同時通訳
※字幕版は同日21:00~放送

ビール・ストリートの恋人たち(字幕版)

WOWOWシネマ 2020年2月8日(土)22:15~ほか

シカゴ(2002年)

吹替版:WOWOWプライム 2020年2月10日(月)15:00~
字幕版:WOWOWシネマ 2020年3月13日(金)9:00~

マイ・レフトフット(字幕版)

WOWOWシネマ 2020年3月9日(月)21:00~

ブロークバック・マウンテン(字幕版)

WOWOWシネマ 2020年3月18日(水)9:00~

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