リチャード・ジュエル
20/1/16(木)
クリント・イーストウッド監督の新作。今回も実話を元にしたストーリーだが、ひとつ違うのはこの主人公が冤罪の被害者なのにも関わらず、いまだに彼を犯人扱いしている人がいるという状況。イーストウッド監督はこの映画により彼の名誉を回復させたいと考えたという。サム・ロックウェルが素晴らしい。『スリー・ビルボード』や『バイス』などで彼のうまさは知っていたが、今回はそれに加えて、彼自身の人間的な魅力もすごく感じた。主人公の母役のキャシー・ベイツもよかったが、メディアの嫌な部分を代表した女性記者役のオリビア・ワイルドが実にいい演技を見せてくれた。これは国家権力とメディアというふたつの大きな力がひとりの市井の一般人に加わった時の怖さを描いていて、まったく現代でも変わらない。むしろSNSなどのさらに違った"力"が増えた現代の方が、動き出したら止まらない危うさを抱えていると感じて寒気を感じた。かなり、お薦めです。
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