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m-flo、20年の長い旅路は“KYO”のためにーー原点から未来までを体感したアニバーサリーライブ

リアルサウンド

19/11/28(木) 7:00

 m-floが5年ぶり9枚目となるオリジナルアルバム『KYO』を提げて、11月22日~23日にZepp Tokyoにて開催した20周年ライブ『m-flo 20th Anniversary Live “KYO”』は、多面的な魅力を描き出す新旧30曲のパフォーマンスの中に、彼らが歩んできたドラマティックな道筋と豊かな音楽性が溢れ出る、メモリアルな2Daysとなった。

(関連:m-flo、ライブ写真はこちら

 ステージの上方に設置された横長の巨大スクリーンに、オレンジ色のサークルが表示されると、アルバム『KYO』の冒頭と同じように英語のナレーションが流れ始め、サークルがその音声に合わせて動き始める。会場を埋め尽くした幅広い層のファンたちが、これから始まるミュージックジャーニーへの期待に大きな歓声をあげた。ステージは二段組になっており、後列には☆Taku TakahashiのDJ機材をはじめ、シンセサイザーやドラムセットが組まれている。前列は、LISAとVERBALがパフォーマンスを披露する場だ。DJミキサーのインジケーターのようなLEDが、ステージを横断して上下に4本配置されていて、まるでセット全体がひとつのシステムのようだ。

 いよいよメンバーが登場すると、VERBALの「Zepp Tokyo!」という叫びとともに『KYO』からm-flo流のトラップソング「E.T.」がドロップされる。初披露される最新型のm-floの姿に、オーディエンスからは早くも大歓声が巻き起こった。そのまま、2001年に“21世紀へのアプローチの曲”というテーマで発表された「prism」、2018年に“火星旅行”というテーマで発表されたダンスチューン「MARS DRIVE」で、会場は一気にm-floワールドへと誘われる。新旧織り交ぜたセットリストは、この日のために☆Takuを中心に練り上げられたもので、緩急を付けながらオーディエンスを熱狂させるそのDJ的手腕も、m-floのライブならではの魅力となっていた。

 続く「juXtapoz」では、歌心のある変則的なトラップビートの上で現在のLISAのテクニカルなボーカルを聴かせ、2000年リリースの「How You Like Me Now?」では色鮮やかに当時の記憶を蘇らせる。そして、アーバン&メロウなジャパーニーズ・ヒップホップ/R&Bの名曲「been so long」では会場全体での大合唱となり、フロアは早くも1度目のピークを迎える。驚くべきはオーディエンスの反応で、幅広い年齢層のファンが一体となってm-floの楽曲を歌っている姿に、メンバーたちも笑顔が止まらない様子。m-floがこうしてステージに立つ姿を、誰もが心待ちにしていたのだ。

 LISAが自ら書いたにも関わらず、「次の曲は難しい、失敗したらもう一度やるね」と言って披露されたのは、高度なリズム感覚を必要とするラブバラードの新曲「EKTO」。オーディエンスの温かい反応に自信を得たこともあったのだろう、LISAはその難曲を完璧に歌い上げ、大きな拍手喝采を浴びた。

 インストのビートによるインタールードを挟んだ後は、”loves”シリーズのコーナーへ。”loves”シリーズは、LISAの脱退後、毎回異なるゲストボーカルを迎えるというコンセプトで活動していた頃の楽曲群で、日本の音楽シーンにおいてフィーチャリングという手法の可能性を提示したことでも評価されている。ステージに現れたのは、これまでに複数回、同シリーズに参加してきたEmyli、YOSHIKA、日之内エミの3人。LISAも含めた4ボーカルで「love comes and goes」を歌い上げた。さらに、”loves”アーティストたちと、跳ねるようなビートがファンキーな「Loop In My Heart」、The 45 King「The 900 Number」を大胆にサンプリングしたことでも話題となった「DOPEMAN?」を続けて披露。会場をお祭り状態にしたところで、盟友・Crystal Kayが登場し、同シリーズがスタートするきっかけとなった「REEEWIND!」をはじめ、「Love Don’t Cry」「Boyfriend -partII-」と、懐かしの楽曲もドロップ。盛大なファンファーレで幕を開ける超パーティーチューン「gET oN!」では、VERBALがGoProから提供されたという超ロングセルフィー棒を使って、さらに観客を煽る一幕も。☆Takuがブースから下段のステージに降りてきてラップを披露すると、盛大な歓声が巻き起こり、Minami(CREAM)を迎えて披露されたビッグルームハウス「Perfect Place」で会場は熱狂的なダンスフロアへと化した。

 ミステリアスな雰囲気のチルトラップ「STRSTRK」からは雰囲気が一転し、再びLISAが合流。LISAは、インターナショナルスクール時代に一緒に聖歌隊で歌っていた頃から、実は☆Takuが美声の持ち主であったことを明かし、ファンから初期の隠れた名曲と謳われているm-flo流グラウンドビート「orbit-3」へ。そこからJP THE WAVYをゲストに迎えた「Toxic Sweet feat.JP THE WAVY」や、日之内エミとの「Summer Time Love」など、リラックスしたムードの楽曲を続ける。そして、ラテン界のスーパースターJ.Balvinとフィーチャリングした最新曲「HUMAN LOST feat. J.Balvin」で、初期から現在へと続く、m-floのブラックミュージックへのアプローチの歴史を見事に繋いでみせた。

 スペーシーなサウンドに内省的なリリックを載せた新曲「against all gods」を披露した後は、メンバーたちが今回のアルバム『KYO』のコンセプトについて、言葉を尽くして説明する。VERBALが最初に発案した「KYO」というタイトルには、響、京、共、境、強、狂、今日、鏡、協、興など、様々な意味が込められており、パラレルユニバースを表現したとのこと。m-floはJ-POPにクラブミュージックのあらゆるビートを盛り込んだことでシーンの一線へと踊り出たが、LISAがソロ活動に専念するために脱退し、その後はVERBALと☆Takuが先述したように“loves”シリーズへと形態を変えて活動を継続、実質上の休止期間を経て、2017年にようやく3人が再結集した。個々の人々の歩む道筋にパラレルワールドが存在するなら、今あるこの瞬間は、それぞれがベストだと考えた道を選択した結果なのだとVERBALは言う。再び3人で“今日”という日を迎えるために、全ては不可欠な経験だったのだ、と。当初、LISAはそのコンセプトが何を意味するのか、掴み難かったと言うが、「KYO-TO-KYO」のリリックを書き上げた瞬間、すっと理解できたとのこと。「KYO-TO-KYO」は、m-floがたどり着いた精神的な境地を表した楽曲だ。ループするピアノとシンプルなビートの上で紡がれるLISAとVERBALのスピリチュアルなリリックには、m-floメンバーの旅の軌跡がたしかに刻まれていた。

 本編ラストを飾ったのは、m-floの代表曲にして、J-POPに2ステップを持ち込んだ名曲「come again」だ。ミラーボールが回転する煌びやかな空間で、多様な音楽ファンたちが一体となって踊る光景は、夢のように幸福なものだった。

 昔のスペースオペラを思わせるアニメ映像で、アンコールを煽った後は、再びメンバーが登場。もう1人のlovesアーティストとしてmelody.を迎えると、メロディアスなドラムンベース「miss you」を披露。続けて、YOSHIKAとともにノンビートのバラード「let go」で会場をしっとりとしたムードに塗り替えて、最後のMCへ。VERBALは「再始動してからアルバムを作り上げるまで、2年間がかかったけれど、それは僕らにとって必要な時間だった」と、今日を迎えるまでの日々を振り返り、☆Takuは「今日、みなさんが集まってくれたことは本当に、本当に意味のあること。改めて感謝させてください」と頭を下げた。そして、LISAが「一回、辞めてしまってごめんなさい。もう2度とm-floを辞めません」と言うと、会場には温かい拍手が溢れ、それは長く鳴り止むことがなかった。その後、会場に集まった全員でカウントダウンして、ラストチューンの「No Question」へ。約3時間に及ぶミュージックジャーニーは、ジャンル、世代、そして国籍までを軽やかに飛び越え、オーディエンスに色とりどりの景色を見せて、ついには多幸感に溢れるユートピアへと辿り着いた。あらゆるシーン、あらゆるアーティスト、そしてあらゆるミュージック・ラバーを紡ぐ交差点にして、ミュージシャンズ・ミュージシャンたるm-floの原点から未来までを体感する、奇跡的なライブだったと言えよう。

 なお、このライブのセットリストは、各種ストリーミングサービスにて配信中(https://avex.lnk.to/m-flo_kyo-setlist)だ。m-floともう一度、一緒に旅立ちたい方は、ぜひチェックしてみてほしい。(松田広宣)

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