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『イサム・ノグチ 発見の道』東京都美術館にて開催中 石彫作品や「あかり」などでその創作の足跡をたどる展覧会

ぴあ

イサム・ノグチ《黒い太陽》(1967-69) 国立国際美術館蔵 (C) 2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713

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20世紀を代表するアーティストイサム・ノグチ。彼は、日本人の父親と米国人の母親を持つち、両国との戦争や、アイデンティティの葛藤に苦しみながらも、生涯に渡って彫刻を追求してきた。彼の足跡をたどる展覧会『イサム・ノグチ 発見の道』が8月29日(日)まで開催されている。

本展の会場を訪れ、最初に目に入るのはイサム・ノグチが30年以上に渡って取り組んできた光の彫刻、「あかり」を使ったインスタレーション。大小150灯の「あかり」を組み合わせ、15分間隔でゆっくりと点滅を繰り返していく。「あかり」は、ノグチが岐阜県を訪れたときに出会った提灯が発想源となったもの。彼は生涯の間に「あかり」シリーズを200種類以上デザインし、現在も人気の照明として広く流通している。

第一章の「あかり」インスタレーション

本展ではこの巨大なインスタレーションのほかにも、「あかり」インスタレーションを展示。和紙に通された優しい光が会場を優しく包み込んでいる。

第二章の「あかり」インスタレーション

展覧会のタイトル「発見の道」は、イサム・ノグチが晩年に制作した石彫作品《発見の道》にちなんだもの。本展では、ノグチが彫刻を始め、独自の石彫に至るまでの長い道のりを3章構成でたどっていくものだ。

イサム・ノグチ《発見の道》(1983-84) 鹿児島県霧島アートの森蔵 (C) 2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713

第一章「彫刻の宇宙」は、1940年代から80年代までの主要な作品を「あかり」のインスタレーションとともに展示する。ゆっくりとした光の点滅により、彫刻の見え方が変わっていくところにも注目しよう。

イサム・ノグチ《化身》(1947年)(鋳造1972年) イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵(公益財団法人イサム・ノグチ日本財団に永久貸与) (C) 2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713

続く第二章「かろみの世界」は、ノグチが作品に取り込もうとした「かろみ(軽み)」に着目した作品が並ぶ。折り紙にインスパイアされ一枚のアルミ板から作り出された彫刻作品や、鮮やかな色の遊具彫刻の数々は、イサム・ノグチが様々な表現に果敢に挑戦していたことを示してくれる。

イサム・ノグチ《リス》(1988年)香川県立ミュージアム蔵 (C) 2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713
参考出品 フリーフォームソファ、フリーフォームオットマン

ちなみに、参考出品されているイサム・ノグチのデザインによるフリーフォームソファとオットマンは、自由に腰掛けることができる。椅子に腰掛け、低い視点から彫刻作品を眺めると、また新しい発見ができるはずだ。

そして、最終章「石の庭」は、彼が晩年に精力的に取り組んだ石彫の作品を展示する。ノグチは1964年、香川県牟礼町を訪れ石匠の和泉正敏と、当地の名物である庵治石と出会い、アトリエを構えることとなる。石の持つ美しさを十二分に引き出せる環境のもと、ノグチは石彫作品に精力的に取り組んだ。この章では、これまで彼のアトリエ(イサム家)に設置されていた石彫の一部が初めて美術館で展示される。

イサム・ノグチ《無題》(1987) イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵(公益財団法人イサム・ノグチ日本財団に永久貸与) (C) 2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E371
イサム・ノグチ《ねじれた柱》(1982-84) イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵(公益財団法人イサム・ノグチ日本財団に永久貸与) (C) 2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713

常に彫刻とは何かを問い続け、果敢に制作に挑んでいったイサム・ノグチ。彼の作り上げた世界を、しっかりと体感してみよう。

取材・文:浦島茂世

【開催情報】
『イサム・ノグチ 発見の道』
4月24日(土)~8月29日(日)、東京都美術館にて開催
※日時指定予約制

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