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箱根・ポーラ美術館が誇る名画の数々を渋谷で堪能『ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス』Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中

ぴあ

ピエール・オーギュスト・ルノワール《レースの帽子の少女》 1891年

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Bunkamura ザ・ミュージアムにて、11月23日(火・祝)まで開催されている『ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス』。印象派のモネやルノワール、フォーヴィスムのマティスやヴラマンク、エコール・ド・パリのシャガールやモディリアーニなど、19世紀後半から20世紀にかけてパリで活躍した28名の画家の作品が紹介される。

ポーラ美術館は箱根・仙石原に、2002年に開館した美術館。約1万点に及ぶコレクションのなかでも、特に西洋絵画は印象派からポスト印象派を経て20世紀絵画にいたるまで体系的に収集されており、国内でも屈指の内容と評価も高い。

本展はこのポーラ美術館の西洋絵画コレクションから特に人気の高いフランスで活躍した画家28名を選出。「時代を映す、輝く女性像」、「画家たちが愛したパリ」、「フランス各地への旅」という3つのテーマに基づいた74点の作品を、時系列に沿って4章仕立てで紹介するものだ。

展示風景より

第1章は「都市と自然」。急速に近代化が進み、人々の価値観が大きく変化していた19世紀後半のフランス。パリを中心に鉄道が敷設されると、人々の活動範囲が大きく広がり、画家たちの風景画にも変化が現れていった。

モネやルノワール、ピサロら印象派の画家たちは、当時の最先端のファッションに身を包む女性や、煙がたなびく工場を描きこんだ風景画など、19世紀後半の「いま」をつぶさに描き出している。

(左):クロード・モネ《グランド・ジャット島》1878年 (右):クロード・モネ《セーヌ河の支流からみたアルジャントゥイユ》1872年
(左):ピエール・オーギュスト・ルノワール《髪かざり》1888年 (右):ウェブスター社 銀製化粧セット 1900〜1905年

続く第2章は「日常の輝き」と題し、印象派の表現手法を研究しさらに発展させていった、19世紀末の「ポスト印象派」の画家たち、セザンヌやゴッホ、ボナール、シニャックらを紹介する。彼らは、それぞれに理想の美を追求し、独自の表現を獲得していった。

(左):ピエール・ボナール《ミモザのある階段》1946年頃 (中央):ピエール・ボナール《地中海の庭》1917-18年 (右):ポール・セザンヌ《プロヴァンスの風景》1879-82年

この当時、点描技法でその名を知られたスーラの画風に強く影響を受け、シニャックやクロス、プティジャンなど多くの画家たちが点描技法に取り組んでいた。本展で展示される点描作品を通してみると、画家により点描の大きさや描き方に個性が出てくることなどにも気づくことができる。

第2章 展示風景より

そして展示は20世紀へと進む。第3章「新しさを求めて」は、20世紀になって勃興した強烈な色彩のフォーヴィスム、ブラックやピカソによって確立されたキュビスムを、第4章「芸術の都」は、モディリアーニやヴラマンク、パスキンなど第一次世界大戦後に世界各地からパリにやってきた画家たち、いわゆるエコール・ド・パリの画家に焦点を当てる。

アンリ・マティス 《襟巻の女》1936年

本展の見どころは、絵画作品に加えてもう一つ。ポーラ美術館が収蔵するアール・ヌーヴォー、アール・デコの化粧道具12件だ。当時の化粧道具を絵画作品とともに鑑賞することで、当時の女性たちの装いの意識や、画家たちの社会風俗をどのように見ていたのかも推察することができるのが楽しい。

(左):アルフレッド・シスレー《ロワン河畔、朝》1891年 (右):エミール・ガレ《女神文香水瓶》1884年
(左):エナメル金彩バラ文香水瓶 19世紀後半 (右):ピエール・オーギュスト・ルノワール《レースの帽子の少女》 1891年

展覧会タイトル「甘美なるフランス(La douce France)」とは、豊かなフランスとその文化の賛美するために古くから使われてきた表現だ。ぜひ、展覧会でこの「甘美なるフランス」をたっぷりと堪能してほしい。

構成・文:浦島茂世

【開催情報】
『ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス』
2021年9月18日(土)~ 11月23日(火・祝)、Bunkamuraザ・ミュージアムにて開催
※会期中の土日祝日および11月15日(月)~11月23日(火・祝)はオンラインによる入場日時予約が必要。

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