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22歳で決めた35歳での引退 五郎丸が全力でラストシーズンを駆け抜ける

ぴあ

20/12/17(木) 7:00

五郎丸歩

まさか、13年前に引退を決めていたとは。早稲田大を卒業し、ヤマハ発動機ジュビロとプロ契約を結んだ際、22歳のルーキーはすでに35歳で引退すると決めていたと言う。12月16日、記者会見に臨んだ五郎丸歩は衝撃の事実を語った。

「『35歳まで第一線でやる』と決意して契約をしました。ここ数か月やここ数年ではなく、長いスパンで考えてきた結果。その気持ちが変わらなかった」

なぜ、35歳なのか?

「なんででしょうね(笑)。22歳の自分に聞いてみないとわからない。当時はパフォーマンスの限界が35歳だと考えていたのかもしれませんね」

ブレずに自分を貫き通す五郎丸らしいエピソードだが、決して頑固なまでに引退に固執していたわけではない。

「3歳から始めてきたラグビーやめる寂しさはあります。ただ32年間全力で走ってきた私には全力で戦う気力、体力はあと1年しか残っていません」

また五郎丸はこうも言った。

「自分に感情がなければ、まだできるかもしれない。ただ気力の部分が衰えていると感じた。35歳で現役を退くことが自分にとってもチームにとってもベストな選択だと信じています」

『ジャパンラグビートップリーグ』は今季限りで最後となる。来季には華々しく新リーグがスタートする。「もう1年やろうという気は起らなかったのか」と質問が飛ぶと、次のように答えた。

「『新リーグで1年やってみたらどうだ』とも言われましたが、22歳で決めた通りに『トップリーグ』とともに去るというのが自分らしいかなと」

では、なぜこのタイミングでの引退発表となったのか。『ジャパンラグビートップリーグ2021』はちょうど1カ月後の1月16日(土)に開幕する。

「こういう発表はシーズンが終わった後にやるのが本来の形だと私も理解しています。でも、昨季は新型コロナウイルスによって、6試合でリーグが中止になった。今季ももしかしたら中断してしまうかもしれないと思い、これまで応援してくれた方々への私なりの礼儀として、このタイミングでの発表になりました」

ラグビーというチームスポーツを愛し、ラグビーの神様から愛された男は常々「日本でラグビーを文化にしたい」と語ってきた。『ラグビーワールドカップ2015』で日本が南アフリカに勝利した“世紀の大金星”以降の活況に五郎丸は目を細める。

「日本代表のジャージーを着たいと思う子どもたちが増えたことを本当にうれしく思う。『RWC2015』で多くの人がラグビーを知ってくれた。それから多くの方に応援してもらいました。私は出なかったが、『RWC2019』が大成功に終わって本当にありがたかった」

ここ最近の日本ラグビー界の進化には、五郎丸自身も驚いていると言う。

「日本のラグビーはこの数年で大きく変わりました。(フランス・クレルモンへ移籍した)松島幸太朗や(ニュージーランド・ハイランダーズへ移籍する)姫野和樹が海外でプレーし、海外で活躍している。私が小さい時には考えられないこと。日本ラグビーは年々世界レベルに上がっている」

これまで一番印象に残っているゲームという引退会見の定番質問を問われると、「日本のラグビーを変えた南アフリカ戦、大敗した次のスコットランド戦、ヤマハで入れ替え戦を戦ったのも……一番は選べません」と苦笑し、早稲田大のでの一番の思い出を聞かれると、「また一番ですか……。早稲田に入学するまで日本一になったことはないので、『大学選手権』で(3度)日本一になったこと。また(2005年度の)『日本選手権』(2回戦)で社会人のトヨタ自動車に勝ったこと。この勝利は『RWC2015』に大きくつながったと思っている」と振り返った。

また、恩師エディー・ジョーンズヘッドコーチへの思いを質問されると、「間違いなく自分の人生を変えてくれたひとり。『RWC2023』で日本がエディーHCのイングランドと対戦すると決まったことは宿命を感じます。ラグビーの生まれたイングランドに勝てば、日本ラグビーの価値はさらに上がる」と口にした。

引退を発表したが、まだ現役のプレイヤーである。1か月後の『ジャパンラグビートップリーグ2021』開幕へ向けて万全の準備を進めている。

「コンディションはバッチリ。でも私だけではなく、全員がコンディションはバッチリだと思う。現役選手としてまずやるべきことはレギュラーを取ること。今週末にはエコパでトレーニングゲームがありますが、まずはそこでしっかりしたプレーでみなさんへ感謝の気持ちを伝えたい」

後輩たちに何かを伝えていきたいなんて考えてはいない。五郎丸はいちプレイヤーであることを強調した。

「年下の選手たちに残すなんて考えていない。下も上もない。同じフィールドでやる選手。まずレギュラー争うのがプロとしてやるべきこと」

レギュラーを取れば、目指すはひとつだ。

「ヤマハが初めて日本一になったのは(2014年度の)『日本選手権』。『トップリーグ』はまだ取っていない。このタイトルを取ることがこのチームが大きくなる一歩や二歩になる」

最後に五郎丸は「本当にありがとうございます。ラストワンシーズン、全力で戦っていきます」と誓った。

ヤマハ発動機は12月19日(土)・エコパスタジアムでNTTコミュニケーションズシャイニングアークスとのトレーニングマッチを実施。年が明けて1月16日(土)・ノエビアスタジアム神戸での『トップリーグ』開幕戦で神戸製鋼コベルコスティーラーズと対戦、翌週23日(土)・ヤマハスタジアム(磐田)でのNTTドコモレッドハリケーンズ戦でホーム開幕戦を迎える。トレーニングマッチは入場無料。『トップリーグ』第1・2節のチケットは発売中。

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