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佐藤寛太、どんな現場でも愛される“末っ子力” 劇団EXILEに吹き込んだ新しい風

リアルサウンド

21/1/28(木) 8:00

 ドラマ、映画、CM、舞台と幅広いステージで活躍を続けている劇団EXILE。本稿では、劇団EXILEのメンバー一人ひとりのフィルモグラフィをたどりながらその魅力を分析。最終回となる第9回目は、劇団EXILEの最年少・佐藤寛太について紹介していく。(編集部)

 劇団EXILEの一人一人に焦点を当てる連載も、これが最終回である。最後に紹介するのは、劇団の中でも最年少の佐藤寛太。ほかのメンバーよりも遅い、2015年という時期に劇団EXILE入りした佐藤は、時期的にも『ろくでなしBLUES』(日本テレビ系)や『シュガーレス』(日本テレビ系)などのようなヤンキーや不良キャラクターが活躍する群像劇にも出演していない。それはこれまでの劇団の活動からすると独特の立ち位置となっている。

 とはいえ、『HiGH&LOW』シリーズには出演。山王連合会の一員で、ドレッドヘアーがトレードマークの(後でそのトレードマークもバッサリ切ってしまうのだが)テッツを演じた。この役も、シリーズの登場人物の中では、人間味のある、どこか近所の商店街にいそうなキャラクターであり、やはり“不良”というものとはまた違う役を演じていた。

 もっとも、山王連合会は、『HiGH&LOW』の中でも、ほのぼのとした日常的な部分を担うところが大きく、山下健二郎演じるダン(D)、佐藤大樹演じるチハル(C)、そしてテッツの(T)の頭文字をとって、DTCの三人が主役のスピンオフ映画『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』にも佐藤は主演し、楽しそうな3人のかけあいを見せた。

『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』予告

 『HiGH&LOW』のテレビシリーズが始まった2015年には、日本のみならず、台湾や韓国でも映像化されている漫画『いたずらなKiss』の映画版『イタズラなKiss THE MOVIE ~ハイスクール編~』に主演。頭脳明晰、スポーツ万能の入江直樹を演じた。今観るると、最近は人懐っこそうな役の多い佐藤が、クールであまり感情をあらわにしないキャラクターを抑えたトーンで演じている姿が新鮮で、佐藤らしい入江直樹になっていた。シリーズとして、『イタズラなKiss THE MOVIE 2 ~キャンパス編~』『イタズラなKiss THE MOVIE 3 ~プロポーズ編~』も製作された。

 その後は、同世代のさまざまな事務所の若手俳優たちと漫画原作の恋愛ものや、青春ものに出演。映画『恋と嘘』は、自由恋愛が禁止され16歳以上の少年少女が政府から結婚相手を紹介される制度があるという架空の世の中の物語。佐藤はヒロインの仁坂葵(森川葵)の結婚相手となった高千穂蒼佑役で出演。ここでも、『イタキス』の入江直樹のような、イケメンで病院の御曹司だが、ぶっきらぼうで、少々冷たい感じのキャラクターを演じた。

 また映画『走れ!T校バスケット部』では、志尊淳、佐野勇斗、早見あかりなどと共演。志尊淳演じる主人公が転校先で出会うクラスメイトの牧園浩司役を演じたが、クラスで率先して発言する明るいお調子者というキャラクターが、普段から明るい佐藤に似合っていた。

『走れ!T校バスケット部』予告編

 こうした青春もの、ラブコメディへの出演は近年まで続き、2019年には、中国発の胸キュンラブストーリー『お嬢さま飄々拳 ~プリンセスと御曹司~』にも出演。日本人留学生で、ヒロインのピャオピャオに恋心を抱く月山旬を演じた。この月山旬という役が、日本のドラマや映画では観たことがないほどの、キラキラ具合で、ヒロインやその友人の心を一目で掴む王子様をしっかり演じていた。

 恋愛もので学生役を演じることの多かった佐藤だが、2018年からはテレビ東京の連続ドラマ『駐在刑事』に軽部翔平というキャリアの新米刑事役として出演。2020年のSeason2にも出演した。主人公の寺島進演じる「駐在さん」たちとのコミカルなやりとりがこのシリーズの空気を作っていると言ってもいいだろう。「休処 みやこ」の若女将の遼子(笛木優子)に好意を寄せており、恋のライバルたちとのやりとりも楽しい。一見して、若者向けの作品ではなく、かなり年齢層が高めの人向けの作品だと思われるが、そんな中でフレッシュな若者特融の奔放さで、寺島進演じる「駐在さん」をときに驚かせたり、あきれさせたりしながらも、どこか憎めない愛嬌を放つ役になっていた。

 中村倫也主演『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)でも、佐藤は新米刑事の高橋達臣を演じた。今度の役は、探偵の明智に憧れすぎて、刑事なのになんでもペラペラしゃべってしまうというキャラクター。明智と達臣の2人の関係性にも注目が集まっていた。当時放送されたメイキング映像を観たときも、現場で佐藤が先輩たちにあきれられながらも可愛がられている様子が伝わってきた。

 自分よりも年齢が上の人たちに、ときおり「しょうがないなあ」とあきれられながらも、愛嬌で許され、可愛がられる感じこそが、佐藤寛太の持ち味という気もする。インタビューなどで劇団EXILEの先輩たちと一緒のときも、そうした末っ子キャラの愛らしさをいかんなく発揮し、つっこまれたりしている姿を見る。劇団に新しい風やイメージをもたらした人物とも言えるだろう。実際こうして振り返ってみても、彼が演じる役は、これまでの先輩たちとは一味違っている。もっとも、LDHのアーティストたちも、若い世代はどんどん漫画原作のラブコメに出て「王子様」を演じているが、佐藤寛太はこうした流れの源流にいたのではないだろうか。

 2021年は坂元裕二の脚本による映画『花束みたいな恋をした』にも出演。この作品でも佐藤の持ち味をいかした役で登場しているので、ぜひともその姿を確認してほしい。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■公開情報
『花束みたいな恋をした』
1月29日(金)、TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
出演:菅田将暉、有村架純、清原果耶、細田佳央太、韓英恵、中崎敏、小久保寿人、瀧内公美、森優作、古川琴音、篠原悠伸、八木アリサ、押井守、Awesome City Club、PORIN、佐藤寛太、岡部たかし、オダギリジョー、戸田恵子、岩松了、小林薫
脚本:坂元裕二
監督:土井裕泰
製作プロダクション:フィルムメイカーズ、リトルモア
配給:東京テアトル、リトルモア
製作:『花束みたいな恋をした』製作委員会
(c)2021『花束みたいな恋をした』製作委員会
公式サイト:hana-koi.jp

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