Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

武田航平 オレニ撮ラセロ!

NOISEMAKER・AGとコロナ禍のエンタメについて語る!

不定期連載

第98回

今回は、武田さんが激推しするロックバンド、NOISEMAKERのボーカル・AGさんが2年ぶりに登場! 会わない間にすっかり世間は様変わり。この2年間のお互いの環境や心境の変化のほか、コロナ禍だからこそ生まれたというAGさんのアイデアや気持ちなど、語り尽くします!

AGのモチベーションは、とにかく止まらない!

武田 AGくんが率いるNOISEMAKER主催で、地元北海道で行うはずだったフェス『KITAKAZE ROCK FES.』が新型コロナの流行で2年連続中止を余儀なくされているんだよね。新型コロナのせいで過酷な状況に陥っている人はたくさんいるけれど、主催フェスを飛ばさなきゃいけないのも、かなり過酷だったんじゃないかな。

AG あのね、俺らはマグロなんですよ。

武田 止まったら死んじゃう?(笑)。

AG そう。止まれないんだよ。止まっちゃうと、息できないみたいな(笑)。新型コロナが流行した影響で暇になるかなと思っていたんだけれど、俺の場合は逆に忙しくなったんだよね。なんかこう、やることが多いなって。

武田 AGくんはもともと、絵を描いたりアパレル制作をやっていたりした影響もあったんじゃない? 自分たちでいろんなものをつくってきたからこそ、表現を止められなくなっているというかね。そうするとやっぱり、基本的に自力というか、生きる力がないとさ、精力的な活動はできないでしょ。

AG もともと地元の北海道で、まわりにデザインとかをやってくれる人がいなかったんだよね。だから自分たちでやるしかないなと思ってはじめたんだ。その延長線上で、コロナ禍になっても続けているだけなんだよね。でもやっぱり新型コロナが流行してから一番つらかったのは、生のライブができなかったことかな。

オンラインライブで、お客さんがいることの重みを感じた

武田 俳優もオンラインでの試みはわりと多かったんだけど、アーティストとして、オンラインにおける限界を感じることはあった?

AG あるある。まずコロナ禍になって、フェスだけじゃなくて昨夏から昨秋にかけて予定していたツアー『H.U.E. TOUR』が延期になったんだよね。それで、開催する予定だったEX THEATER ROPPONGIで無観客で収録してオンライン配信したんだけど、ビデオカメラに向かってMCするのは今までになかったことだから、「どこに向かって言っているんだろう」って思ったよ。もちろん、今できる最大限のことはやっておきたいけど、自分たちとしては、いい経験にはなったものの、もうやりたくないなっていうのが正直な気持ち。ライブはお客さんひとりひとりが歯車になって回してくれて、どんどん熱くなっていくっていうのが醍醐味だと思うから。だから、俺らだけじゃ成り立たないなって。今やっとツアーができるようになってきて、改めてお客さんがいてくださることの重みを感じるね。

武田 バンドのライブのように一喜一憂はそんなに多くないけれど、たとえば俳優の世界でも、舞台はお客さんがいるからエネルギーが生まれているのは同じだと思う。生とオンラインの差はAGくんの言う通り間違いなくあって、オンラインの会議でさえ、きっと対面の会議とは熱量が変わるよね。それはバンドのライブだと、より顕著に熱量の差は出るんだろうなって思うし。けど、進まなきゃっていうのは、NOISEMAKERのメンバー間で決めたことなの?

AG もちろんもちろん。本音を言えば、自分たちは最初、オンラインライブはあまり気が進まなかったんだけど、見たいって言ってくれるファンの声を聞いて、やりたい!って思ったんだよね。

武田 そう思うと、エンタメの根底の部分で、「人を喜ばせたい」って気持ちに突き動かされたってことなのかな。表現って自分たち主導でやっていくことではありつつも、やっぱり見てくれたり、支えてくれたりする人がいるおかげで成り立っているんだよね。こういう相互効果が健全だしすごくいいなって、新型コロナのおかげでより思うことができたな。その上で、難しいなって感じるんだよね。NOISEMAKERのオンラインライブを見させてもらったけど、AGがいかに、ここに熱量を伝えなきゃって一生懸命になっているかは画面を通してもよくわかるよ。

コロナ禍だからこそ、新たなライブが生まれた

武田 ちなみに、開催中の『NOISEMANIA PREMIUM HALL TOUR』では、ショーみたいに、ダンサーさんや映像を使ったりだとか、今までのライブとは違う方向に舵を切っているよね。もともと、いろんなことをやってみたいって思っているんだろうなとは感じていたけど、コロナ禍によってさらにその思いが白熱したり、新たな考えが生まれたりしたの?

AG 声も出せないしモッシュもダイブもできないってルールをあえて逆手に取って、ライブハウスじゃなくてホールで着席しながら、お客さんが楽しんでくれるものはなんだろうと考えたんだよね。そこで、ショーみたいなものをやってみようってアイデアが生まれて。だから、新型コロナが流行していなかったら、ホールでツアーを開催することはなかったと思う。コロナ禍になったからこそ生まれたものだと思って、俺自身はポジティブに捉えているよ。「今できるからやっておこう」と思ったし、これがハマったら今後もホールツアーをするかもしれない。俺らにとっては一つのチャレンジだね。

武田 東京公演は終わって、次は大阪公演を控えているよね。生のライブを見に来てくれる人たちがいて、よかったなって思うことはある?

AG なんていえばいいのかな…生きている理由じゃないけどさ、来てくれた人の喜んでいる姿とか、中には泣いている人がいたりだとか、そういう姿を見ると、やっていてよかったなって。NOISEMAKERのライブは今、声出しやモッシュ、ダイブは禁止されているけど、それ以外はやっていいの。ジャンプしたりとかね。それでさえも、「えっ」みたいな表情を浮かべるお客さんもいるんだよ。そういう、それぞれの考え方の違いがあるなかで、皆の心をどう掴むかって考えるのはすごく難しいね…。でも、人の気持ちって目には見えないけど飛んでくるのはわかるから。オンラインとかデジタルとかあるけど、やっぱり生のライブにはかなわないなって思うよ。

リアルで向き合うことのよさを、伝えていきたい!

武田 絶対にそうだよね。前回、この連載のゲストにお笑い芸人「アインシュタイン」の河井ゆずるさんが来てくれたときも、やっぱり生のライブはオンラインにかなわないって同じように口を揃えて言うし、ステージに立つ側からは、声に出さなくても、みんなが楽しんでくれているって絶対にわかるものだよね。

AG そうそう、見ていてわかる。お客さん、いい目してるもん(笑)。

武田 あはは! 俺も音楽ライブは最近やっと行くようになって、この状況で限界まで楽しもうって思っていて。本来求めているものとは違っていても、同じ空間にいるぶん、一緒にいる人達が同じ景色を目指せるじゃん? そこはやっぱり、ライブっていいなって思う瞬間だったな。俳優でいえば舞台も同じで、一緒の空間にいるからこそ共有できるものがあるっていうのはいいよね。

AG そうだね。ルールを守ることで次につなげているし、俺らもみんなが守ってくれていることに助けられているよ。あとはもう、こういう自粛ムードがいつまで続くかだよね。次につなげようと頑張っている中で、攻めの姿勢になる人もいれば、守りの姿勢を貫く人もいるし。世界中にいろんな情報があって、正解を見極めるのは難しいからこそ、何を信じるかは自分で決めるしかないもんね。それは最近すごく思ってる。

武田 難しいな〜。オンラインやVRをつかって表現をする機会は多くなっているけれど、やっぱり生で、本物がやるってことにはかなわないと俺は思う。バーチャルが優れている、って思いが進んでいく世界もおそらくあるけど、リアルを求めて生きていきたいのは俺にもAGくんにも共通することだよね。

AG そうだね。俺はアナログに返ってくると思う。たとえば俺の展示会の絵もさ、最初は売れないと思っていたけど、たくさんの人が来て手にとってくれたんだよ。だから、人間って結局生のものにたどり着くのかなって。

武田 そうであると信じたい部分もあるよね。自分で見るとか、リアルで向き合うことに回帰する。

AG 俺たちはリアルで向き合うことに意味を見出してきた世代だからかもしれないけどね。令和の時代に生まれた子は、大人になってバーチャルのほうがいいと思うのかもしれないし。

武田 そうなる未来も予想できるけど、リアルのよさを失っちゃいけないよね。俺らが子どものころは、人と直接向き合うことが大切って言われていたけれど、それができない現実が直面しているから。だからこそ俺たちが、生のよさを伝え続けなきゃいけないね。

次回は、コロナ禍のエンタメをさらに深く語っていただきます! 今後のお二人のコラボのお話もあるかも?

プロフィール

AG

北海道出身。札幌発の4人組オルタナティブロックバンド・NOISEMAKERでボーカルを務める。最新シングル『APEX』発売中。11月23日(火・祝)には『NOISEMANIA PREMIUM HALL TOUR』大阪公演を森ノ宮ピロティホールで開催予定。

武田航平

1986年1月14日、東京都出身。2001年に芸能界入り、同年に第14回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」審査員特別賞を受賞した。『仮面ライダーキバ』『仮面ライダービルド』などで人気を博し、現在はドラマ、映画、舞台と幅広く活躍中。2021年はドラマ『24 JAPAN』(テレビ朝日)、『理想のオトコ』(テレビ東京)、FODオリジナルドラマ『スイートリベンジ』(フジテレビ)などに出演。

写真/大塚秀美、ヘアメイク/田中宏昌(allure)、取材・文/イワイユウ、撮影機材協力/Nikon(「ニコン Z 5」)

アプリで読む