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「ALTERNATIVE KYOTO(オルタナティブ・キョウト)」11月7日まで開催中 京都府6エリアを舞台に、地域の自然や文化と向き合うアート作品を展開

ぴあ

三谷正 《Stone >> Cube》

京都府の6つのエリアを舞台とした芸術祭「ALTERNATIVE KYOTO─もうひとつの京都─想像力という〈資本〉」が11月7日まで開催されている。オルタナティブ(「もうひとつの、別の」という意味)という言葉が示すとおり、これまでにない京都の一面を見せてくれる芸術祭だ。

「ALTERNATIVE KYOTO─もうひとつの京都─想像力という〈資本〉」は、京丹後、宮津・天橋立、与謝野、福知山、南丹、八幡の6エリアを会場に定めた広域な芸術祭。アーティスト全25組が地域とその文化を綿密にリサーチし、土地の魅力を引き出す作品を発表していく。本レポートでは、八幡、南丹、福知山のエリアを紹介する。

■八幡

歴史ある神社や巨大な団地などを擁する八幡エリアでは、石清水八幡宮や、松花堂庭園・美術館を会場に5組のアーティストが『放生 / 往還』をテーマに作品を発表する。

島袋道浩《再生》

島袋道浩は石清水八幡宮 頓宮に、役目を終えたビルの瓦礫を直立させ配置した《再生》を発表。直立した瓦礫には、ひとつひとつが異なった個性や表情が現れているように見える。

また、島袋の作品を取り囲むように石川竜一は写真作品《 Hōjōナウ!!-草-とらくがき》を展示。周辺の野草の写真に、展示場所のそばにある落書きを写し取って加えている。

石川竜一《 Hōjōナウ!!-草-とらくがき》の一部

八幡はスクラップ工場があり、不要な自動車が全国から集まる場所でもある。松花堂庭園内に展示されている石川竜一《 Hōjōナウ!!-C9-403-》は、八幡にある巨大な集合住宅・男山団地に暮らしていた独身男性の持ち物を自家用車から部屋の私物まですべてまとめてスクラップにしたものだ。

石川竜一《 Hōjōナウ!!-C9-403-》

松花堂庭園では、このほか佐々木香輔、藤生恭平、宮本一行が3つの川の合流地点である八幡の特徴を捉えたインスタレーションを発表している。

■南丹

南丹地域は、キリシタン大名の内藤ジョアンや、浄瑠璃をベースとしてうまれた丹波音頭など独自の歴史文化背景を持つ場所。この地域では6名のアーティストが駅前商店街などを使い、『南譚:介在する因子』というテーマで作品を展示する。

荒木悠《ROAD MOVIE》2014年

八木駅前にあるCafe Hiranoのテレビには、荒木悠の《ROAD MOVIE》が上映されている。店内は店主や常連客が語り合うほがらかな空間だ。

羊喘兒《昨日の商品、幽霊劇場:売荒野》
羊喘兒《昨日の商品、幽霊劇場:売荒野》

羊喘兒は数年前に閉店したものの、まだ商品が一部残されている金物屋店を舞台に作品を展開する。

このほか、八木駅周辺では元商店などを利用して4名のアーティストが作品を発表している。街を回遊し、作品を見ていくことで南丹エリアの文化に触れることができるはずだ。

また、八木駅から少し離れた場所にある清源寺にも、荒木悠の立体作品、映像作品の展示がある。この寺院には、江戸時代の僧侶で仏師の木喰による新仏像が多数残されている。荒木の作品とともに鑑賞しておきたい。

■福知山

城下町として栄えた福知山エリアでは、『余の光 ‒Light of my World‒』をテーマに、三谷正による展示と主に絵画や平面作品で構成された多様なアーティストによる展覧会が開催されている。

市の中心地にある旧銀鈴ビルは、かつてはパチンコ店として人々が集まっていた場所。京都と滋賀の県境に位置する共同アトリエ、山中suplexのメンバーらによる《余の光 ‒Light of my World‒》は、その空間を生かした作品が展示されている。

旧銀鈴ビル 展示風景
藤倉麻子《稜線の連なりと横の奥、街灯と建設とタイヤの厚み》

三谷正の《Stone >> Cube》は夜のみ鑑賞できる大型のインスタレーション。数十台のプロジェクターとスピーカーを使い、福知山城と、かつて城の一角であった伯耆丸公園が、大規模なプロジェクションマッピングで彩られる。

三谷正 《Stone >> Cube》
三谷正 《Stone >> Cube》

今回紹介した3エリア以外にも、宮津・天橋立エリア、京丹後エリア、与謝野エリアにも、アーティストたちがその土地とふれあい、作り出した作品が展示されている。

いわゆる「京都」ではない、自然や人々の営みがある京都で、その土地でしか見ることができないアーティストたちの作品に触れ、新しい京都を感じてみよう。

【開催情報】
「ALTERNATIVE KYOTO─もうひとつの京都─想像力という〈資本〉」
会期:9月24日〜11月7日(主に金土日祝、11月4日に開催。エリアによって異なる)
会場:京丹後、宮津・天橋立、与謝野、福知山、南丹、八幡の各エリア
料金:無料(一部入園料有り)
https://alternative-kyoto.jp/

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