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EXILE TRIBE『RISING SUN TO THE WORLD』掲げたニューシングル 充実の楽曲に滲む“エンタテインメントの未来に向けた覚悟”

リアルサウンド

21/1/1(金) 6:00

 2021年1月1日、EXILE TRIBEによるコンセプトシングル『RISING SUN TO THE WORLD』が発売された。

 本作は、2011年に東日本大震災の復興へ向けて“日本を元気に”という想いを込めて制作されたEXILEの楽曲「Rising Sun」を前身としており、新型コロナウイルス感染拡大の災禍を受けて新たな決意とテーマを掲げた一作となっている。

 収録曲は「RISING SUN TO THE WORLD」という共通のテーマをもとに制作されたEXILE「RED PHOENIX」、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE「RISING SOUL」、そしてJr.EXILEによる「WAY TO THE GLORY」の3曲と、『RISING SUN TO THE WORLD』のテーマ曲「Overture -RISING SUN TO THE WORLD-」。今回はそれぞれの楽曲の主な魅力、そしてシングルとしての魅力について掘り下げていく。

 EXILE「RED PHOENIX」は、デビュー20年目、そしてEXILE ATSUSHI勇退という大きな節目と転換期を迎えた2020年を経て、“新生EXILE”の形を明確に提示する楽曲となっている。熱いロックサウンドに乗せて、“ゼロからの復活・再構築”を高らかに歌うという力強い音像は、今のEXILEの“攻め”のモードを鮮明に伝える。また、センターに立つEXILE TAKAHIROと、両サイドで支えるEXILE SHOKICHI、EXILE NESMITHという3ボーカル体制となった彼らのボーカルラインには、この“攻め”のロックスタイルが非常にマッチしているようにも感じる。そういう点からも、前身的楽曲である「Rising Sun」が新しく生まれ変わったかのような、象徴的な1曲だ。

EXILE / RED PHOENIX(from Single「RISING SUN TO THE WORLD」/ EXILE TRIBE)

 三代目 J SOUL BROTHERS「RISING SOUL」はスタイリッシュな印象を与えるシンセポップサウンドが特徴的な1曲だ。常にクラブミュージックのトレンドを新しく取り入れ、ポップなダンスナンバーに昇華してきた彼らだが、昨年リリースされた「Movin’on」やこの「RISING SOUL」においても実にしなやかな変化を遂げつつ、それでいて揺るぎない存在感を発揮している。そのスター性こそが、国民的グループたる所以なのかもしれない。また、80年代ディスコの空気を纏ったサウンドはあくまでクールだが、一方で「RED PHOENIX」とも同じく熱い歌詞にも注目してほしい。デビュー10周年を迎えた彼らのさらなる進化への意志、またそれと同時に多くの人へ夢を与えるポップスターであり続けようとする想いが、彼らの中に“碧い炎”として燃え上がっていることを、この曲は示している。

三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE / RISING SOUL (Music Video)

 GENERATIONS from EXILE TRIBE、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE、FANTASTICS from EXILE TRIBE、BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBEの4グループが集結したJr.EXILEによる「WAY TO THE GLORY」は、まさに次世代の“風”を感じさせるような爽やかなポップナンバーだ。音像として「RED PHOENIX」が熱く、「RISING SOUL」がクールであるとするなら、この曲は一貫して柔らかく優しい。唯一、BALLISTIK BOYZのMC陣である海沼流星、松井利樹、奥田力也のパートがない点だけは惜しまれるが、その他の点ではボーカルラインにおいても個性の彩りと緩急が感じられる歌割りがなされており、どこまでも心地よい煌めきのある歌声を楽しめる。そして、聴く人と同じ目線に立ち、いつの日かまた会える日に向けて〈歩き出そう〉と繰り返し語り掛ける歌詞も、20代の若い世代が多いグループらしい、等身大の親愛が表現されており、楽曲にマッチしている。また、4グループ混同で踊る姿とメンバーの笑顔に溢れたMVも必見だ。

Jr.EXILE / WAY TO THE GLORY (Music Video)

 ここまでに紹介した別々のグループ3組による3曲はそれぞれ大きく音楽性が異なってはいるが、1つの作品としても実に彩り豊かであり、音色がバランスよく配置されていることが分かる。また、シングルの1曲目には“『RISING SUN TO THE WORLD』のテーマ曲”として壮大なオーケストラのインストゥルメンタル「Overture -RISING SUN TO THE WORLD-」が収録されている。これはきっと1月28日から開催される予定の全国ドームツアー『EXILE TRIBE LIVE TOUR 2021 “RISING SUN TO THE WORLD”』への序曲なのだろう。まだまだ予断を許さない状況ではあるため、今後の動向も気になるところではあるが、少なくともこの作品とツアーに賭ける“決死”の覚悟がこの1曲の中にも表れているように感じられた。

 誰もが予想し得なかった1年となり、エンタテインメントを発信する立場として重い苦難を強いられた2020年を超え、EXILE TRIBEは“日本を元気に。そして、日本の元気で、世界を元気に。”という壮大なメッセ―ジを改めて提示した。そして、その第一歩としてのシングル『RISING SUN TO THE WORLD』は彼らの“今”と“未来”を映し出す強い意志の力に溢れた作品となった。

■日高 愛
1989年生まれの会社員。

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