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紅ゆずるによる劇中歌披露も!『エニシング・ゴーズ』製作発表記者会見が海上で開催

ぴあ

ブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』製作発表記者会見より、左から原田諒、愛加あゆ、廣瀬友祐、一路真輝、紅ゆずる、、陣内孝則、大野拓朗、平野綾、市川猿弥、陣内孝則

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元宝塚歌劇団星組トップスター紅ゆずるが主演するブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』の製作発表が7月3日、横浜港に停泊するクルーズ客船「にっぽん丸」で開催された。登壇者は紅のほか大野拓朗、廣瀬友祐、愛加あゆ、一路真輝、平野綾、市川猿弥、陣内孝則の出演者、演出・潤色を担当する原田諒。

『エニシング・ゴーズ』は1934年にブロードウェイで初演されたミュージカル。豪華客船を舞台に、ナイトクラブのスター歌手リノ、指名手配中のギャング・ムーンフェイスら個性的な登場人物が繰り広げる、恋ありスリルありドタバタありの楽しい物語だ。劇中にはタイトル曲のほか「ユー・アー・ザ・トップ」「フレンドシップ」などいまやジャズのスタンダードナンバーとなっている名曲が揃い、巨匠コール・ポーター最大のヒット作と呼ばれている。

日本でもこれまでに大地真央、瀬奈じゅん主演で上演されているが、このたび“三代目リノ”を演じるのが紅ゆずる。宝塚歌劇団退団後、初のミュージカル出演だが「男役の時にはとうてい見せることのなかったものがたくさん詰まっています。20年弱ずっと男役を突き詰めてきて、私は女性ですが突然「女性を演じて」と言われても「んっ」となってしまうのですが、リノという役はパワフルでエネルギッシュで、私自身にとても近いものがある。自分に流れる血をリノに活かせるだろうし、逆にリノから学ぶところもあります。リノという役が私なのか、私がリノなのか……というところまでいけたら」と気合い十分で意気込みを語った。

リノの友人で身分を隠して船に乗り込むギャング、ムーンフェイスに扮するのは陣内孝則。「“ミュージカル俳優の”陣内孝則です!」と挨拶をし、「ライバルは井上芳雄君と山崎育三郎君です。ご婦人方にキャーキャー言われるミュージカルスターになりたい」と語り会場を沸かせる一方で、「この作品を上演する劇場、明治座、御園座、新歌舞伎座、博多座という芝居小屋的な劇場のお客さまは目が肥えている。その方々を満足させなきゃという使命感を感じています」と気を引き締める。

ハーコート夫人役の一路真輝は「初演も再演も全部観ていますし、劇中歌を自分のコンサートでも歌ったりするほど楽曲が魅力的で素敵な作品。今回参加させていただくのがとても楽しみ」と語り、その娘・ホープを演じる愛加あゆも「ミュージカルの原点というべき作品に、今の自分が出演させていただくことを嬉しく思います」と心境を語った。一路は宝塚の後輩である紅、愛加について「私はかなり前に退団していますので、紅さんや愛加さんから発せられる宝塚のオーラを懐かしく思いながら接しています」とも。

リノが恋し、一方的に追いかけまわすビリー役は大野拓朗。「何かと不安な世の中ですが、何も考えずにたくさん笑って元気をもらえる作品。僕はリノとビリーが歌う「ユー・アー・ザ・トップ」という曲が大好きで、これはお互いをひたすら褒め合う歌なのですが、観に来た方が自分に置き換え、リノに褒めてもらっている気持ちになって元気や勇気をもらえるものになっていると思います」とアピール。ホープの婚約者、オークリー卿に扮する廣瀬友祐は「素敵な作品をお客さまに届けられるようにカンパニーの一員として精一杯頑張りたい」と意気込んだ。

ムーンフェイスの情婦のアーマを演じる平野綾は「私、今年になって舞台ではギャングの情婦の役しかやっていない!」と笑いつつ、「この時代のアメリカを象徴しているような女性でもあるので、アイコン的な存在としてコケティッシュに演じられたら」と話し、ビリーの上司・ホイットニー社長を演じる市川猿弥は「(尾上)松也くんとか尾上右近ちゃんとか、最近は歌舞伎界からミュージカル界への進出が目立っていますが……私は何で呼ばれたんだろう?」と嘯きながらも「少しでも爪痕を残して(歌舞伎界へ)帰りたい」と気合いを入れていた。

劇中曲『エニシング・ゴーズ』を披露するカンパニーの面々

劇中さまざまな事件を巻き起こすユニークな登場人物さながら、それぞれのコメントからも個性があふれるキャスト陣だが、彼らをまとめ、演出を手掛けるのは宝塚歌劇団の原田諒。「宝塚歌劇団所属の僕を演出に呼んでもらって、宝塚的なものを期待されているのかもしれませんが、あえてそういう意識は持っていません。本場NYのブロードウェイがクローズされている状況で、日本でこうして、もっともブロードウェイらしいコール・ポーターの楽曲を使ったミュージカルをやるというのは、とても意味のあることだと思う。作品自体、NYの大恐慌が終わった5年後の話で、町にも音楽にもパワーがみなぎっていた時代の話。暗い時代を打破する楽しく明るい作品です。今この時期にやることも運命のような気がします。舞台は不要不急と言われたり、中止を余儀なくされる昨今ですが、こんな時だからこそやっぱり心のうるおいになるものはすごく大事だと思う。それを肝に銘じ、観に来た方が「観てよかったな」と思えるものにしたい」と熱く語る。また主演の紅についても「男役くさくなく、自然に女性になっている上、男役当時から持っているコケティッシュで個性的な彼女らしさがいい意味でブレンドされている。とてもいいリノになるんじゃないかな。彼女の当たり役になると僕は思っている」と自信と期待を語った。

会見では紅が、豪華共演陣をコーラスに、劇中歌「エニシング・ゴーズ」も披露。パワフルでチャーミングな歌唱に本番への期待を誘った。豪華客船を舞台にした物語同様、海上で行われたゴージャスな製作発表は、最後に紅が「今はコロナ禍で皆さんもたいへん窮屈な思いをされていると思いますが、『エニシング・ゴーズ』をご観劇いただいているあいだだけは心を解放してほしい。そして「もっと頑張れるかも」とプラスに思ってもらえる作品にしたいと思っていますので、ぜひ劇場に足をお運びください」と締めて終了となった。なかなか旅行にも行きづらい昨今、ぜひ劇場で、豪華船旅の楽しさを味わってみては。

公演は8月1日から29日まで東京・明治座にて。チケットは発売中。その後愛知・御園座、大阪・新歌舞伎座、福岡・博多座でも上演される。

取材・文:平野祥恵

ブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』
2021年8月1日(日)~2021年8月29日(日)
会場:明治座
ほか、愛知、大阪、福岡公演あり
チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2170935

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