街中で人から「大久保さん、ファンです♡」と声をかけられる機会って、私は少ないほうではないかと思います。まず第一に、気づかれないですから。

例えば、菜々緒さんのようなスタイルであれば目につくでしょうが、私ってどこにでもいる安心の昭和体型だし、身につけているモノもブランド品などは無く、至って普通の、なんなら毛玉が付いているようなモノを着ている時もあるから、まさか芸能人だとは思われなくて。

仮に気づいてもらえたとしても、「話しかけないで」という人を寄せ付けないオーラを出しているので、なかなか声はかけにくいみたいで。出川さんのような「おい出川ー！」みたいにいじられるキャクターじゃないですからね。基本、呼び捨てにされることはなくて、「大久保さん」と呼んでもらえます。これはこれで何か寂しいような、でも絡まれないので助かります。

ファンレターは、ぼちぼち貰います。多いのは、50代以降のおじさんからのガチ目の内容のもの。ちょっと前、定期的に送ってくれていたのが、70歳くらいの年金受給者のおじさんで、いつも全身ムキムキのランニング姿の写真が同封されていて。書き出しは、いつも「I Love 佳代子」という熱烈なテンションで。しかし途中から、必ず現政権への批判とか地球温暖化問題について書いてあったりするから、最初は戸惑いましたよ。もう慣れましたけど。

あと、50歳オーバーのバツイチおじさんから「女性として本当にタイプです。付き合いたいです。連絡ください」と電話番号がガッツリ書いてあるものとか。いや、いくら私でも電話しませんよ。さすがに相手の情報が少なすぎますからね。

でも、もし今後、仕事が少なくなって、毎日、暇で寂しくなってしまったら、電話をしちゃうかもしれませんけど。やはり「好き」と思ってくれる気持ちは、非常にありがたいし嬉しいですから。

あと、謎のファンレターと言えば、ダンプに轢かれた血まみれのドラえもんの絵が描いてあって、その横に「ファンです。頑張ってください」とメッセージが書かれたものとか。ファンと言ってくれるのは嬉しいですけど、普通に「この人、大丈夫かな？」と不信感と共に心配になりますよ。

あと、私はジャニーズの方達とよく仕事をしているのもあって、「大久保さん、Kis-My-Ft2の子たちは本当によくがんばっているので、見捨てないで育ててあげてください」とか「ふぉ~ゆ~をよろしくお願いします。みんな苦労人です。大久保さんなら分かってくれますよね？」みたいなジャニーズファンの方からのファンレターを貰う事が。

これは、もはやファンレターでは無い気もしますが。ファンの方達からしたら、私ってジャニーズの方達の「お母さん」みたいな存在なんでしょうね。だから、変な嫉妬とかされて文句を言われることもないから良いんですが。若いグラドルの子が、ジャニーズの方々と絡んで非難されたりするのを、時折目にしますが、その度に「おばさんで良かった、美人じゃなくて良かった」と。でも内心は、若干複雑な気持ちです。「大久保さんと玉森君、怪しくない？」とか「ふぉ~ゆ~、大久保さんの色気にやられちゃうんじゃない？」と女として見てもらえるほうが嬉しいんですけどね。

兎にも角にも、わざわざペンを持って書いてくれて、切手を貼ってポストへ投函してくれるという手間がかかったファンレターは嬉しい限り。今のところ、返信用の切手が入っていれば返事を送ったりしていますので、よろしくお願いいたします。

構成・文：松田義人（deco）

プロフィール

大久保佳代子おおくぼ・かよこ

1971年、愛知県生まれ。相方・光浦靖子とともに、1992年にオアシズを結成。OLと並行してお笑い芸人として活動をし、2010年以降はお笑い一本に。数多くのレギュラー、連載を持つ。
http://www.p-jinriki.com/talent/oasiz/