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『美食探偵』明智五郎は中村倫也だからこそできる役 小池栄子×小芝風花を救えるか?

リアルサウンド

20/5/11(月) 12:05

 『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)第5話。その冒頭では、無精髭を生やして髪はボサボサのやさぐれた姿で明智(中村倫也)は登場する。殺人を止めることはおろか犯人も救うことができず「僕は探偵失格だ」と漏らした、第4話での出来事が相当に堪えている様子なのだ。しかし、そんな傷心の明智の元にも容赦なくマリアからのエアメールが届く。第4話では明智の学生時代の友達が狙われたように、マリアはすでに明智の近くにいる人物に照準を当てはじめている。止まらない殺人計画。徐々に近づいていく明智とマリア……。

参考:【ほか場面写真多数】小春(横溝菜帆)を説得する中村倫也

 今回、マリアが殺人を手助けするターゲットとなってしまったのは、上遠野警部(北村有起哉)の小5の娘・小春(横溝菜帆)。乳製品アレルギーを持つ彼女はそれが原因でクラスメイトからいじめを受け、あろうことかクラスの担任にも無理やり給食を食べさせられる“給食ハラスメント”を受けていた。どこにも逃げ場がなくなってしまった小春は、ネット上に「死にたい」と書き込んだところマリアが目をつけ、給食を使った集団毒殺事件を持ちかけられる。

 「彼女は人生に絶望した人に希望を与えてくれる。しかし、それは歪んだ希望だ」。小春からマリアの情報を聞き出そうとする明智はそう彼女に伝える。確かにマリアは事実として、絶望のどん底にいる人を救おうと手を差し伸べている。しかし、そうして与える希望が殺人を伴うものであるというのが、まさしく“歪んだ希望”であると言えるだろう。

 そうしたマリアの行動を止めようとしながら、しかし抗いきれないでいる明智。第5話ではマリアを気にかけるあまりか、「(マリアから不穏なエアメールが届いたことを)どうして教えてくれなかったんですか?」と問う苺(小芝風花)には「きみに教える必要が?」と突き放すなど、“冷酷さ”を垣間見せる。毒殺計画が遂行されかけた教室でも、厳しく子どもたちを問い詰める明智の姿が印象的だっただろう。その冷酷さは一瞬、明智の本心を見えにくくしてしまう。

 マリアのことで頭がいっぱいで、苺のことをないがしろにしているように見えた第5話の明智の冷たい態度。しかしそのラストでは、彼はこのように苺に伝えた。

「心配はいらない。僕は、自分の身は自分で守る。君のことも、僕が守る」

 明智五郎は“名探偵”である。だから、徐々に近くの人物にターゲットが迫ってきていることから、今後苺にも危険が及ぶかもしれないこと、マリアから苺へ脅しがあったことにもすでに勘付いているのかもしれない。そうであれば、事件にマリアと明智の関係に近づこうとする苺を遠ざけようとした行動にも納得できる。

 時おり冷たさや心の距離を感じさせながらも、その奥に相手を思いやる愛情を垣間見せる明智の姿。そうした繊細な人物像を中村倫也が見事に体現し、普段の自由闊達さとその裏の哀愁が、明智五郎という人物の複雑な魅力を浮き彫りにしている。第5話のラストで映し出される、マリアがすぐ近くまで迫ってきているという描写。明智は苺を守りながら、果たしてマリアを救うことができるのだろうか。 (文=原航平)

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