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BABYMETAL、結成10周年&最終楽章へ向かう様々なアクション BMTHら作品参加、大型音楽番組出演……2020年の動向を追う

リアルサウンド

20/12/21(月) 6:00

 BABYMETALが今年10月10日で結成10周年を迎えた。これを機に、年末から2021年前半にかけてのBABYMETALは大きな活動が続く。12月12日にはグループをサポートする『THE ONE』メンバー限定で“聖地”目黒鹿鳴館を舞台にしたパフォーマンスを含むオンラインライブ『STAY METAL STAY ROCK-MAY-KAN』を開催し、同月23日には初のベストアルバム『10 BABYMETAL YEARS』をリリース。2021年1月19日からは日本武道館で計10公演が行われる単独ライブ『10 BABYMETAL BUDOKAN』がスタートする。さらに、12月21日放送の『CDTVライブ!ライブ!クリスマススペシャル』(TBS系)を筆頭に、25日には『ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE 2020』(テレビ朝日系)、31日には『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)と大型音楽番組への出演が続く。これまでは海外ツアーをベースに、ライブを軸にした活動が中心であり、テレビ番組出演は数えるほどしかなかった彼女たちだが、この年末は10周年を機にBABYMETALをお茶の間で目にする機会が一気に増えることになる。

 思えば今年1月25日、26日に3rdアルバム『METAL GALAXY』を携えたワールドツアーの一環として、『METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW「LEGEND – METAL GALAXY」』と題した日本追加公演を行なった際、エンディングにてBABYMETALの“最終楽章”『METAL RESISTANCE EPISODE X』に関しての告知がアナウンスされた。あの時点では「2020年のBABYMETALはどんな活動を見せてくれるのか……」と、期待と不安が入り混じった複雑な感情を抱いたが……実際のところはご存知のとおり、ここ日本も2月以降に感染拡大が本格化した新型コロナウイルスの影響で、2月〜3月初頭に実施された欧州ツアーを除き、3月後半から予定していたアジアツアーと6月からの欧州ツアーを断念せざるを得ない状況に陥る。

 その間にも、5月13日には昨年10月のLA公演を収めた『LIVE AT THE FORUM』、9月9日には今年1月の幕張公演を収録した『LEGEND – METAL GALAXY』がそれぞれBlu-ray&DVD化(後者はライブCDも発売)。グループの公式YouTubeアカウントでは4月に東京ドーム公演(2016年9月開催)、5月にイギリス・Wembley Arena公演(2016年4月開催)、6月には広島グリーンアリーナ公演(2017年12月開催)と過去のライブ映像が限定公開されるなど、“ステイホーム”期間にライブへの飢餓感が増し続けるファンに向けてさまざまなコンテンツが提供された。特にYouTubeでの過去ライブ配信をきっかけに、BABYMETALのフルライブを目にしたという方も多かったのではないだろうか。

 予定されていたワールドツアーが行えず、表立った活動が途絶えてしまったBABYMETALだが、その間も彼女たちは秘密裏に“次のアクション”を準備していた。その代表的な例が、7月に公開されたコリィ・テイラー(Slipknot、Stone Sour)のMV「CMFT Must Be Stopped (feat. Tech N9ne & Kid Bookie)」へのカメオ出演と、10月末にリリースされたBring Me The Horizonの新曲「Kingslayer ft. BABYMETAL」へのゲスト参加だろう。前者はコリィの初ソロアルバム『CMFT』からの先行配信曲で、MVにはロブ・ハルフォード(Judas Priest)、ラーズ・ウルリッヒ(Metallica)、マリリン・マンソンなどの重鎮とともに、ここ日本からはBABYMETALとマキシマムザ亮君(マキシマム ザ ホルモン)が参加。出演はほんの数秒だが、久しぶりに“動く”BABYMETALの最新の姿を目にできてうれしかったというファンも少なくないはずだ。

Corey Taylor – CMFT Must Be Stopped (feat. Tech N9ne & Kid Bookie) [OFFICIAL VIDEO]

 そして後者の「Kingslayer ft. BABYMETAL」だが、こちらはBring Me The Horizonの最新EP『Post Human: Survival Horror』収録の1曲。BABYMETALは同EPにてヤングブラッドやNova Twins、エイミー・リー(Evanescence)とともにフィーチャリングアーティストとして参加しており、昨年11月の日本での共演以来となるBring Me The Horizonとのタッグをひとつの楽曲の中で存分に楽しむことができる。レコーディング作品としては『METAL GALAXY』以来約1年ぶりの新作となるこの曲はBABYMETALの純然たる新曲とは言えないかもしれないが、それでも日本語と英語を織り交ぜた歌唱と、肉感的なモダンメタルサウンドとエフェクトの効いたデジタルサウンドとの融合は非常にBABYMETAL的でもあり、10周年イヤーのサプライズとしては十分な1曲といえる。

Bring Me The Horizon – Kingslayer (Lyric Video) ft. BABYMETAL

 以上のような活動で、コアなリスナーや耳の早い音楽ファンへ向けて数々のコンテンツを提供してくれたBABYMETAL。そんな彼女たちが節目のタイミングにさまざまな音楽番組に出演することは、単なる集大成以上の目的が感じられる。過去にも『ミュージックステーション』など地上波の音楽番組に出演する機会はあったが、それも数えられる程度。特に今回は『NHK紅白歌合戦』という国民的大型音楽番組への出演が含まれており、ここで初めてBABYMETALのパフォーマンスを目撃するという方もかなりいることだろう。世界中の音楽ファンを魅了した唯一無二のパフォーマンスが、お茶の間の向こうでどう支持されるのか。そして、そこで心を動かされた人たちが前後してリリースされるベストアルバム『10 BABYMETAL YEARS』や過去の作品へと向かってくれるのか。BABYMETALが「世界を魅了する国民的アーティスト」へとのぼり詰めることができる、非常に大きなチャンスと言えるだろう。なお、彼女たちは『CDTVライブ!ライブ!クリスマススペシャル』では「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」、『ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE 2020』では「Distortion (feat. Alissa White-Gluz)」を披露する予定。『紅白』ではどの曲を選ぶのかにも注目が集まる。

 2020年を『紅白』初出場で締めくくったあと、2021年のBABYMETALは『10 BABYMETAL BUDOKAN』にて幕開け。今のところ1月19日、20日と2月16日、17日、19日、20日の6公演のみスケジュールが発表されており、残り4公演に関しては追って詳細がアナウンスされる。BABYMETALが武道館でライブを行うのは、2014年3月1日、2日の『BABYMETAL – 赤い夜 LEGEND “巨大コルセット祭り” ~天下一メタル武道会ファイナル~』『BABYMETAL – 黒い夜 LEGEND “DOOMSDAY” 〜召喚の儀〜』以来、実に7年ぶりのこと。前回は「METAL RESISTANCE EPISODE I」の締めくくりとなる節目の2公演だったが、果たして今回はどんなステージを10公演にわたり見せてくれるのか。結成10周年、そして「METAL RESISTANCE EPISODE X」という“最終楽章”という節目が重なることもあり、その内容は非常に気になるところだ。

 直近の日本単独公演となる今年1月の『METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW「LEGEND – METAL GALAXY」』が2公演ともセットリストが一切被らない、非常にコンセプチュアルな内容だったが、あれは最新アルバム『METAL GALAXY』の世界観を体現したもの。今回はベストアルバム『10 BABYMETAL YEARS』発表直後ということもあり、やはり10年間の総決算的な内容になるのだろうか……その興味や期待は高まるばかりで、開催1カ月前から尽きることはない。

 このコロナ禍で思うように海外での活動も行えない中、“最終楽章”を迎えたBABYMETALがここからどんな活動をしていくのかは、正直まったく想像ができない。“神のみぞ知る”という言葉がこんなにもしっくりきて、かつこんなにも恨めしいと思えて仕方ない。しかし、時間は有限だ。今は年末の音楽特番を楽しみにしつつ、1月からの武道館公演が無事行われることを願うばかりだ。そうこうしているうちに、きっと新たなる“お告げ”が届けられるはずだから。

■西廣智一(にしびろともかず)Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

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