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わーすた、スタジオライブ企画で見せるグループの真髄 独特な世界観とパフォーマンス力を解説

リアルサウンド

19/8/12(月) 20:00

「わーすたは結構コンセプチュアルなライブをしているんですけど、それを一般の方に観に来てもらうことは難しいことだとも思っていて――」

参考:わーすた、“わんだふるYEAR”で得た成長と新章のスタート「他のアイドルの中には埋もれたくない」

 2019年10月8日に代々木公園野外ステージで開催する『わーすた FREE LIVE“ゆうめいに、にゃる!!!!!”』へ向け、7月より毎月12日にYouTubeにて公開されているSTUDIO LIVE。そのことについて尋ねると、リーダーの廣川奈々聖はそう口開いた。

 6月27日から4日間に渡り全7公演行われた『わーすたKAWAIIくえすと』は、まさにそんなコンセプチュアルなライブだった。ステージ上のスクリーンに映し出されるRPGゲーム風の画面。突如現れる敵、次々と迫りくる試練……、その度にフロアのわーしっぷ(わーすたファンの総称)とともにコマンドを選択し、それによってセットリストと演出が変化していくというもの。最新アルバム『The Legend of WASUTA』といい、これまでもゲーム世界へといざなわれていくライブを幾度となく展開してきたわーすたらしい新感覚のライブだった。

 想像の斜め上を行くコンセプトを基にした楽曲と衣装……、そんなぶっ飛んだわーすたの世界観を体現したのものが、『わーすたKAWAIIくえすと』であるのなら、STUDIO LIVEはわーすたの音楽に対する真摯な姿勢を知らしめるに相応しいものだ。

「……だけどこのSTUDIO LIVEをきっかけに、ちゃんと音楽を大切にしながら面白いことをやってるグループなんだと、知ってもらえるだけでも大きな収穫だと思っています」

 廣川は力強く語った。

「とにかく楽しいです!」「めちゃくちゃ楽しんでやってます!」

 猫耳をつけた5人は口々にそう言った。6月某日、都内のスタジオでのことだ。STUDIO LIVEの収録はこの日、丸一日かけて収録された。

 60名あまりのフルオーケストラのレコーディングも可能な広々としたスタジオブース。ドラム、ギター、ベース、キーボードの楽器隊をバックに、わーすたの5人が歌い踊る。無数のカメラがパフォーマンスを捉え、隣のコントロールルームでは歌とバンドの熱い演奏がリアルタイムでレコーディングされていく。小細工なしのライブレコーディングである。

 「ちょっとした歌番組みたい(笑)」廣川に調子を訊くと笑顔を見せながら答えた。取り組む姿勢は真剣であるものの、程よい緊張感の中で存分に楽しみながら歌っていることは観ているこちらにも伝わってくる。

「MV撮影だと、まだ慣れていない中で歌って踊るんですけど、今回は歌い慣れた曲なのでそれとは全く違うし。何よりもやっぱり生バンドって楽しいなって。楽しさがピークのまま撮影できてるという感じです!」(廣川)

 映像チームとレコーディングチーム、そしてバンドによる機材のセッティング。スタジオの準備は朝から行われ、衣装に着替えメイクを終えたメンバーがお昼前にスタジオ入りする。スチール撮影を終えると、カメラとサウンド、各所の確認を含めてリハーサル。そして、すぐさま本番に入った。ライブレコーディングであるために、1曲通しで行われる。1曲につき大体3テイクほど。何度かの衣装替えを挟みながら、収録は驚くほどスムーズに進んでいき、彼女たちの体力とスキルの高さを目の当たりにした。

「ワンマン以上のハードさはあるなと思いつつ、すごい楽しい!」(小玉梨々華)

 喉や体の疲れを一切見せずに余裕すら感じさせる佇まい。休憩中もずっと和気藹々としている5人の姿が印象的だった。同時にグループとしての結束力の強さを感じたところでもある。もちろん、それがこの映像作品に現れていることはいうまでもないだろう。

 廣川は「歌番組」と言っていたが、いつもとは少し異なる環境のこの現場、ほかのメンバーはどういうモチベーションで臨んでいるのだろうか。

「ライブをしている気持ちではいるけど、“届けるための音楽”を作っているという感覚ですね」(三品瑠香)

「いつもはライブだからお客さんを煽ったりとか、生の反応やノリがあったりするけど、今回は収録なので。全員が同じ思いで、わーすたの曲を映像を通して、見ている皆さんに届けたいという気持ちで精一杯頑張っています」(坂元葉月)

 わーすたのスキルの魅力は、歌唱力や表現力はもちろんだが、なによりグルーヴ感にあると思っている。特にライブでは5人が創り出す、音源とはまた違う楽曲の表情に魅せられてしまう。メロディやリズムをただ譜面通りになぞるのではなく、その日その場の雰囲気を読み取りながらグルーヴを感覚的に生み出していく。歌やダンス、その間の取り方が絶妙なのだ。今回は生バンドということでそれがいつも以上に発揮されている。

「リアルタイムで演奏する音を聴きながら歌うというのは、“歌って踊る職業をやっているんだ”ということをものすごく実感するので、気持ちも引き締まります」(松田美里)

 そんな彼女たちのグルーヴを思う存分堪能できる曲が「最上級ぱらどっくす」だ。言葉が詰め込まれたAメロ、ちょっとつまづくようなBメロ、そして音の高低を変幻自在に操りながら突き抜けていくサビへと繋がる緩急が実に気持ち良い。対して「NEW にゃーくにゃくにゃ水族館2」はハマると抜けられないわーすたの大きな魅力である“トンデモ曲”……と思いきや、8bit風サウンドが生バンドアレンジになると、異様なまでに耳に残るキャッチー性が浮き彫りになる。

「私たちのちょっと変わった曲もバンドさんの手によって、また違う表情を見せてくれるんです。意外なカッコよさを発見できたり」(松田)

 そんな複雑極まりない楽曲を見事なまでに演奏するNEKONOTE BANDの凄腕っぷりも聴きどころだ。突飛なフレーズを華麗に弾くバンマス、岸田勇気(Key)を筆頭に、6弦ベースで堅実的にボトムを支えるtmsw(Ba)、精確なプレイでサウンドに厚み持たせていくきこり(Gt)。紅一点、むらたたむ(Dr)は2017年のわーすた初の生バンドライブからのメンバーでもあり、キて欲しいところにバシバシキメてくれるタイトなビートが心地良い。バンドメンバーのカメラアングルによる動画もそれぞれのチャンネルにアップされているのでそちらも是非チェックしてみてほしい。わーすた楽曲をこれまでとは違った側面から見ることができるはずだ。

「見どころを1曲選ぶとしたら、やっぱり「PLATONIC GIRL」ですかね。もともとゴリゴリのロックナンバーなんですけど、それをバンドでやっていただいて、カッコイイの次元を超えてるなというくらいすごいカッコよくなってます。奈々聖と瑠香の歌もめちゃめちゃカッコよくて。曲の良さが引き立ってると思いますね」(小玉梨々華)

 今回新たにアップされたのは、ボカロ曲「ロキ」で知られるみきとPが提供した「PLATONIC GIRL」。ライブでのアグレッシブさはそのままに巧妙なカメラワークによって、ライブ映像ともMVとも一味違う臨場感のある映像作品に仕上がっている。廣川と三品のスタンドマイクによるアクションと、3人のダンスが織りなす構図は、わーすたのアーティスティックでいなせな身熟しを存分に堪能できる。

「やっぱ良いですね、カメラで抜いてもらえるのは(笑)。普段は遠くでしか観てない方でも近くに感じてもらえるというのもこの動画の良いところです」(松田)

 わーすたの楽曲は不思議な強度を感じる。複雑な展開とか、カラフルなサウンドだとか、そうした表面的なことではなく、あの5人だからこそ成立する強さとでもいうべきものだ。アルバム『The Legend of WASUTA』のインタビューの際、彼女たちから強く感じたものがある。それは何よりも「自分たちの楽曲に絶対的な自信と誇りを持っている」ことだ。あたかも自分たちが苦しみながら楽曲を生み出して来たロックバンドのインタビューをしているような気分だった。(参考:わーすた、“わんだふるYEAR”で得た成長と新章のスタート「他のアイドルの中には埋もれたくない」)

「わーすたの曲って全部がいい曲で。歌詞を聴くとぶっ飛んでいて『なにを歌ってるんだ?』ってなる曲が多いんですけど、メロディは良いし、パフォーマンスで全てが合わさるとすごいんです。それが今回バンドさんの手が加わって、より素敵に仕上がったので。これはわーすたの楽曲が世の中の人に見つかっちゃうんじゃないかな」(坂元)

 奇をてらっているようで、どこか耳馴染みの良いメロディがやけに耳に残るキャッチーさ。一聴しただけでは訳がわからないながらも、呪文のように迫ってくる中毒性の高い詞世界。それを、抜群の歌唱力と類稀なる音楽センスで聴き手へ揺さぶりを掛けてくる説得力。さらに今回、NEKONOTE BANDという強力なパートナーによって、その威力は何倍にもなる。わーすたの真髄ここにあり。

 『わーすた STUDIO LIVE“ゆうめいに、にゃる!!!!!”』はまだ続く――。(冬将軍)

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