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平辻哲也 発信する!映画館 ~シネコン・SNSの時代に~

横浜駅直結! 心が旅するシネコン「T・ジョイ横浜」。最大の売りは神奈川県初のドルビーシネマ

隔週連載

第40回

20/7/5(日)

横浜駅直結の「JR横浜タワー」に6月24日、オープンした全9スクリーンのシネコン「T・ジョイ横浜」は横浜市民、待望の映画館だ。改札を抜けて、約5分とアクセス至便。コンセプトは「心が旅する映画館」だ。

横浜駅は新宿駅、渋谷駅、池袋駅に次いで、世界4位の乗降客数を誇る巨大ターミナル駅。その横浜駅西口の新たなランドマーク「JR横浜タワー」はファッション、雑貨、飲食店など115店舗が出店する「NEWoMan(ニュウマン)横浜」、惣菜店や飲食店61店舗が入る「CIAL(シァル)横浜」(地下1〜3階)が入居し、ビル全体が丸ごと新しい街のような商業施設だ。

その8〜10階の3フロアに誕生したT・ジョイ横浜は、全9スクリーン、合計1230席(車椅子スペース18席含む)。全スクリーンはレーザープロジェクター、3Dデジタル対応。最大の売りは最先端の映像技術と立体音響技術により、スクリーン上の世界にいるような没入感を体験できる「DOLBY CINEMA(ドルビーシネマ)」(325席+車椅子2席)だ。

首都圏では、館内を全面改装した丸の内ピカデリーで初めて導入され、映画ファンから高い評価を集めているが、「T・ジョイ横浜」では設計の段階から、音響、映像に最適化されたシアターデザインを目指した。3階分の空間をぶち抜き、全体に傾斜が設けられ、どこからでも極上の映像体験が味わえる。

ドルビーシネマのオススメはK列。前の座席との間隔が最も長く、ゆったり観られる

「コンセプトは『心が旅する映画館』。いつもの駅で、どこまでも遠くへ。横浜駅は1日の乗降客数約250万人の駅。ここから、映画のいろんな世界に旅立っていって欲しい、という願いを込めています」。

こう話すのは、運営する「株式会社ティ・ジョイ」事業推進チーム長の原晋也さんだ。2000年創業の「T・ジョイ」は今年20周年という節目の年。ここ10年では横浜ブルク13(2010年3月、松竹マルチプレックスシアターズ、東急レクレーションとの共同事業体)、T・ジョイ京都(2010年5月)、T・ジョイ博多(2011年3月)など“駅チカ”のシネコンを数多く手掛けており、19番目に誕生したT・ジョイ横浜はその集大成となる。

事業推進チーム長の原晋也さん

こだわったのは映画館としてのクオリティー。メインシアターのドルビーシネマを始め、全スクリーンRGBの4Kレーザーを、T・ジョイとしては初めて導入。これまで以上の高輝度、ハイコントラストな映像表現を実現した。「当社では、その時選択できる一番いいものを、と考えています。細かい話ですが、スクリーンの色、材質、映写窓も一番クオリティーが高いものを選んでいます」と話す。

左右対称のシンプルな廊下。キューブリック監督作を彷彿させる美しいデザイン
9階のラウンジ。大型ビジョンも完備し、待合室として、イベントスペースとしても使える

全体としてはシンプルなデザインが特徴。旅に出たい気持ちにさせる演出が随所にある。9階には、大型ビジョンを兼ね備えたラウンジもあり、あたかも空港やリゾートホテルみたいな気分が味わえる。ここでは、アフタートークのイベントなども考えているという。

T・ジョイ横浜もコロナ禍に見舞われ、オープンが当初の5月30日から大きくずれ込んだ。全興連のガイドラインに沿った対策だけではなく、デルフィーノ社による抗菌コートなど独自の対策も実施。オンライン映画予約サービス「KINEZO(キネゾー)」もリニューアル。T・ジョイ横浜では秋以降、スマホアプリのKINEZOとSuicaを連携することで、自動発券機を通すことなく、スマホやSuicaを機械にタッチするだけで、各スクリーンに直接入れるようになる。コロナ禍でソーシャル・ディスタンスの大切さが言われる中、非接触型の入場システムは効果を発揮しそうだ。

1日の上映本数は20本前後を予定。目下、日本初上映となるドルビーシアター版『ベイビー・ドライバー』を始め、人気舞台を映像化した「ゲキ✕シネ」シリーズの『薔薇とサムライ』、『ソニック・ザ・ムービー』、『ランボー ラスト・ブラッド』『ドクター・ドリトル』『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』といった新作、スタジオジブリ作品や人気作『TIGER & BUNNY』シリーズなどアニメ旧作などを混じえて上映。駅チカの利点を生かし、レイトショーは23時台終映までフル回転だ。

「配給会社も徐々に新作も出していただけるようになっているので、夏に向けて、お客さんを迎える体制を作っておかないと。作品が先か、お客さんが来ることが先か、ということもありますが、各社協力し合っていかないと進めない。歴代最高興収を記録した昨年に戻るのは相当難しいことだと思いますが、せめて7〜8割には戻りたいですね」と原さん。コロナ禍の中、観客に安心を届けながら、新しい映画体験を提供していく考えだ。

映画館データ

T・ジョイ横浜

住所:神奈川県横浜市西区南幸一丁目1番1号JR横浜タワー内8階
電話:045-534-5680
公式サイト:T・ジョイ横浜

プロフィール

平辻哲也(ひらつじ・てつや)

1968年、東京生まれ、千葉育ち。映画ジャーナリスト。法政大学卒業後、報知新聞社に入社。映画記者として活躍、10年以上芸能デスクをつとめ、2015年に退社。以降はフリーで活動。趣味はサッカー観戦と自転車。

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