三宅信太郎 「ふと気がつくとそこは遊園地だった」
19/12/3(火)
タテヨコ比が変調をきたしたような人物や、動物なのか怪物なのか判然としない謎の生きもの、奇態な風景などが画面に所狭しと並ぶ作品で知られるのが三宅信太郎である。新作展のテーマは遊園地と聞いて画風にぴったりと思ったら、まさにその通り。そこに居るだけで心が躍るような空間が出現している。
ジェットコースターに観覧車、メリーゴーラウンドに飲食の屋台、チケット売場までが絵に描かれたり、ダンボール造りの立体作品に仕立てられたりしている。実際に遊園地を歩いているような気分にさせられるのだけど、観ていてふと心の底がかすかに疼く。こんな愉快な作品に触れているのに、どこか物哀しい気分にもさせられるのだ。そういえば遊園地ってなぜか哀愁を帯びていて、複雑な感情に襲われる場所だったということまで思い出した。遊園地が私たちにもたらす感情まで再現しているという意味で、これはとことんリアルな作品群なのだ。
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