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『スカーレット』さだと圭介が川原家に来訪 “日常”に向き合い続ける武志と喜美子

リアルサウンド

20/3/20(金) 12:00

 喜美子(戸田恵梨香)は理香子(早織)に皿をプレゼントしようと病院を訪れる。しかしその時、闘病中の智也(久保田直樹)の容体が急変する。『スカーレット』第143話では、さだ(羽野晶紀)と圭介(溝端淳平)が川原家を訪れた。

参考:『スカーレット』第144話では、八郎(松下洸平)が武志(伊藤健太郎)の友人に息子の思いを伝える

 大崎先生(稲垣吾郎)の処置も虚しく智也は亡くなってしまう。喜美子は、武志(伊藤健太郎)を連れて病院へ行こうとするが、そんな時に思わぬ来客が。「きみちゃ~~~~ん」と遠くで響く声。荒木荘時代の雇い主・荒木さだと、荒木荘の住人・圭介がやってきた。

 さだはやってくるなり、相変わらずのマシンガントークを炸裂させる。久しぶりの登場だが、当時の荒木荘を思い出させるような空気感は相変わらずだ。さだは京都の服飾学校の顧問をしながら、がん患者向けの下着のデザインに着手している。喜美子の初恋の人である圭介は、今や和歌山の大病院の小児科部長。2人はちや子(水野美紀)から武志の現在を聞き、やってきた。

 圭介は、喜美子に励ましの言葉を送る。「ただの慰めに聞こえるかも分からんけど、医学の進歩はすごいで。治療法も治療薬もどんどん新しいもんが出てきてる。今は不治の病やいわれるような病気でも、何年かたったら治ります言われるかもしれん。『白血病? 治るでそんなん』って言われる日がきっと来るって僕は信じてる。こんなことぐらいしか……よう言わんけど……」。

 武志の病気が発覚してから、喜美子の元には様々な知人が訪れる。普通のドラマなら、その縦糸の関係を撚り合わせて事態が解決するように進んでいくのかもしれない。しかし、『スカーレット』では、そういった2段飛ばしな解決法は選択しない。あくまで、喜美子の人生の中の日常を丹念に描くことを主題に置いている。

 圭介とさだが去った後、喜美子は武志に智也が亡くなったことを伝える決心をする。「うまいこといったらな。見せに行くいう約束してんねん。ほな、智也のお母ちゃんに見せに行くわ。やるで」と武志。そんな日常に正面から向き合おうとする武志と喜美子。沈んだ顔をした八郎にかける「いや……もう沈むなや」「上がってこい上がってこい」という言葉は、我々視聴者にも向けられているように感じる。

 そして、喜美子たちは日常を重ねていく。月日が経ち、武志は徐々にバイトの回数も減っていく。最初は週4回だったシフトも週1回へ減ってしまった。それでも辞めずに日常に向き合っているさまに、日常の希望が垣間見える。

(文=安田周平)

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