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『犬夜叉』屈指の人気キャラ、“初恋キラー”殺生丸の魅力 『半妖の夜叉姫』では“妻”が明らかに?

リアルサウンド

20/11/14(土) 10:00

 2020年5月、思わぬ形でたくさんの女性が失恋する羽目になった。高橋留美子の同名漫画を原作とした大ヒットTVアニメ『犬夜叉』の続編放送が決定し、その主人公が人気キャラクター・殺生丸の“娘”たちであることが分かったからだ。『忍たま乱太郎』の土井先生や『幽☆遊☆白書』の蔵馬らと並び、“初恋キラー”と呼ばれた殺生丸が妻子持ちに。一体お相手はだれ?という疑問がすぐに浮かんだが、続編『半妖の夜叉姫』では今のところ“妻”は明らかになっていない。

 『犬夜叉』は1996年から約11年間にわたり『週刊少年サンデー(小学館)』で連載され、2000年からTVアニメ化もされた冒険活劇。妖怪の父と人間の母から生まれた半妖の犬夜叉と現代から戦国時代にタイムスリップした日暮かごめが、妖力を高めあらゆる願いを叶えるという“四魂の玉”のかけらを集める旅に出かける。2人は旅先で同じく四魂の玉を狙う妖怪たちと戦いを繰り広げていくのだが、そんな彼らの前に突然現れるのが犬夜叉の異母兄・殺生丸だ。

 殺生丸は犬夜叉と違い完全な妖怪で、圧倒的な強さを誇る。それゆえに四魂の玉に興味はないが、犬夜叉が西国を支配していた大妖怪の父・犬の大将から受け継がれた妖刀“鉄砕牙”を狙っていた。殺生丸も父から名刀の“天生牙”を与えられてはいたのだが、それは死者を蘇らせることができるだけで現世のものは切れない。強さにこだわる殺生丸にとって天生牙は意味のないもので、半妖である弟の方に父が攻めの刀を託したことが彼のプライドをいたく傷つけたのだ。だから殺生丸は当初かなり性格が歪んでおり、人間だろうが妖怪だろうが役に立たないものは構わず殺害する冷酷な一面があった。

 そんな彼が『犬夜叉』随一の人気キャラになった理由は、まず何よりもその美しいビジュアル。元々長髪の美形キャラは女性視聴者から人気を集める傾向にあり、殺生丸は中性的な顔立ちなのに戦闘能力が高いというギャップがより乙女心をくすぐった。肩にかけているふわふわのファーや額に付いた月の模様も彼のチャームポイントだ。また、殺生丸の妻の最有力候補として挙がっている天涯孤独の少女・りんの影響も大きい。りんは犬夜叉と鉄砕牙を巡って壮絶な戦いを繰り広げた後、深い傷を負った殺生丸を懸命に看病。その出来事が殺生丸の心を動かし、彼は人食い狼に襲われ命を落としたりんのために初めて天生牙を使う。さらに、殺生丸を愛した妖怪・神楽の死を侮辱したものに怒りをあらわにするなど、心のあたたかさを取り戻していくのだ。

 そもそも父が犬夜叉に鉄砕牙を託したのは犬夜叉が人間さえも慈しむ心を持っていたからであり、人間や半妖怪を見下していた殺生丸に“癒しの刀”である天生牙を与えたのも、他者を思いやる心や守るべき人を持つ大切さを伝えたかったという理由に他ならない。そんな父の思惑通りに成長した殺生丸は、影の主人公だったと言っても過言ではないだろう。殺生丸が大人の女性ではなく、当時アニメを観ていた子供と同じくらいの年齢であるりんの力で変わっていくという設定も彼が“初恋キラー”と呼ばれる所以なのかもしれない。殺生丸&りんのやり取りに思わずキュンとしていた視聴者も多いようだ。

 最終回から半年後の世界が描かれた『半妖の夜叉姫』第1話では、みんなの“推しカプ”である2人の姿は健在。犬夜叉たちが妖怪・根の首の討伐に当たる中、殺生丸はそっとりんのいる場所を守っていた。りんも変わらず殺生丸を慕っている様子。「幸せそうで何より」と誰もが思っていたが、物語の舞台が殺生丸の双子の娘“とわ”と“せつな”の時代に変わると殺生丸やりんはおろか、元気な姿で最初に登場した犬夜叉やかごめ、弥勒と珊瑚の姿も確認できない。それに子世代のとわとせつな、さらには犬夜叉とかごめの娘“もろは”は両親のことを何も知らないという。

 前作はハッピーエンドで幕を閉じたはずなのに、これは一体どうしたことか。何より現代にタイムスリップしたとわが戦国時代に帰ってきた際、時代樹の中に眠っていた女の子の姿が話題となった。かごめとする説もあるが、髪の毛のハネ方具合を見ればりんとする説の方が有力だろう。しかも、桔梗の姿を借りた時代樹の精霊は、とわたちに父・殺生丸を倒せと命令。どうやら西国を治めた犬の大将に対し、東国を支配していた獣王・麒麟丸は時空を歪めて、世を末法末世で飲み込みすべて無に返そうとしているのだが、殺生丸は麒麟丸と同じ道を歩んでいるという。なぜ他者を思いやる心を持った殺生丸が平和を脅かそうとするのか。彼なりの理由があることは間違いないが、かつては冷酷な一面を持っていただけにファンからは不安視する声も挙がっている。

 だが同時に、とわとせつなの母がりんであれば、想像の範疇だった殺生丸とりんのアフターストーリーが描かれることに高揚感があるのも事実だ。願わくば、前作のようにハッピーエンドで終わってほしい。『犬夜叉』は迫力のある戦闘場面だけではなく、登場人物の恋愛ドラマも見どころの一つ。珊瑚の弟・琥珀や、息子・翡翠も魅力的な男性に成長し、殺生丸の髪色を受け継いだとわ、ふわふわのファーを受け継いだせつなとの恋愛模様もいささか気になるところだ。

※記事初出時、一部に記述の誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■放送情報
『半妖の夜叉姫』
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週土曜17:30~放送
※一部地域を除く
監督:佐藤照雄
シリーズ構成:隅沢克之
メインキャラクターデザイン:高橋留美子 
アニメーションキャラクターデザイン:菱沼義仁
音楽:和田薫
アニメーション制作:サンライズ
製作:サンライズ、小学館、読売テレビ
(c)高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ 2020
公式サイト:hanyo-yashahime.com
公式Twitter:@hanyo_yashahime

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