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前田敦子「自分が一生続けられるものはお芝居しかない」 NODA・MAP初出演にむけての思い

ぴあ

前田敦子 撮影:藤田亜弓

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NODA・MAP第24回公演『フェイクスピア』が5月24日、東京芸術劇場プレイハウスにて開幕する。タイトルからして怪しさ全開の注目作に、3年ぶりの舞台出演となる前田敦子が参戦。かねてより野田秀樹の劇空間に魅せられていたという彼女は、「人生って何があるかわからない。嬉しいハプニング」と目を輝かせる。“憧れの場所”に立つ、熱き思いを語ってくれた。

一生 いっしょう 観客として観るものだと思っていた野田作品

――野田秀樹さんの新作公演に向けて、まずはワークショップに参加されたと伺っています。

はい、そうでした。私は一生、野田さんの作品は観客として観るものだと思っていたので、声をかけていただいてびっくりしましたね。野田さんが私のことをご存知だったことにまず感動しまして。だからこそワークショップに行くのには勇気が要りました。だいたいワークショップって何!? って思って、ネットで調べましたから(笑)。こんなに緊張したのは初めて!ってくらい、緊張して行きました。

――どんなことをされたのか、教えていただけますか?

一番最初に自分の呼び名を言うところから始まって。「あっちゃん、って呼んでください」って、初めて自分で“あっちゃん”って言いました(笑)。でもそうすると皆さんの気持ちがどんどんほぐれて、あっという間にひとつの が出来ていくんですよね。そのきっかけ作りが野田さんは本当にお上手だなと思いました。野田さんも「ヒデキって呼んでね!」って、皆と一緒になって全力でゲームに取り組んでくれて、その姿を見ていると、自分たちも楽しまないわけにはいかないでしょう! って気持ちになるんです。野田さんも一緒にやってくださったことで私はすごく安心して。もし何かをジャッジするように構えて見られていたら、緊張して何も出来なかったと思います。

もう何度も参加されて、野田さんの世界に慣れていらっしゃるアンサンブルの方達が、野田さんの「はい、これやって」のひと声でパン! と動けるのを見て、すごいな!と。皆さん、闘う戦士たち、キラーン!って感じで輝いていましたね(笑)。皆さんが口を揃えて「楽しいですよ!」とおっしゃるので、帰る時には、ああ、私もこの中に入りたいな〜と思いながら帰りました。全身で動き回ったから、使ったことのない筋肉を使ったんだろうな……ってくらい筋肉痛になりましたね(笑)。

――ワークショップ参加後に出演が決まったのですね。

そうなんです。ワークショップに参加して2日後くらいに出演のご連絡をいただいたんですが、その2日間は長かったですね。すごくドキドキしていました。ワークショップが終わる時間が来てももっとやりたい! と思うくらい楽し過ぎたので、絶対にこのチームに入りたい! と思っていたんですよね。

演じるのは誰もが知っている超有名人? でも詳細は・・・

――野田さんの新作はいつものごとく、謎に包まれています(笑)。今わかっているのは、恐山を舞台に、イタコが出てくるお話らしい……ということですが、前田さんがワークショップで経験した作品の感触、ご自身の役柄についてぜひともお聞きしたいです。

台本はまだこれから変わっていくみたいなので、ワークショップの時は仮の仮の仮、といった段階のものだと思います(笑)。でもおそらく役は変わらないと思うので……、私の役は、誰もが知っている超有名人だと思います。だから最初は、ある物語の一部を読むのかな?と思ったら、全然違って……。

――野田さんは公式サイトに「シェイクスピアではない」と書かれていますね。

そうですね、シェイクスピアじゃないですね。何かが違う(笑)。“言葉”がキーワードなのかな……って、そんなざっくりした感覚しか、まだわからなくて。台本は、野田さんが読んでくれただけで笑いが止まらなかったです。面白い!ってワクワクしました。でも、それもこれからどうなるかわからないので(笑)。ただ、最終的に目指すところは、なんとなく教えてもらいました。それを聞いて、すごいな…!と。

――その「すごいな…!」が気になります!

そうですよね(笑)。野田さんの伝えたいことが、最初に読んでくださった時に十分伝わってきて、すごいメッセージを届けたいんだな、と感じました。たとえば今の社会の状況とか、コロナ禍がどうとか、そういう生々しい感じではないんです。野田さんの世界観から、野田さんが届けたいもっと大きなメッセージ……。でもちょっと聞かせてもらっただけなので、正解はわからないです。

――本番の舞台を待つのみ、ということですね。前田さんは、野田さんの舞台をずっとご覧になっていたんですね。

はい、いつもすごいな〜!と感動して、全部が記憶に残っています。野田さんの舞台は忘れないですね。キャストの皆さんの迫力に圧倒されて、どうしてこんなに完璧なんだろう!?と。安易に「私も入りたい」なんて言えない、憧れの舞台だったんです。その舞台に自分が出ることになるなんて、不思議でしょうがなくて。人生ってホント、何があるかわからない、それをすごく実感しています。野田さんの作品は、最後にいつも「うわあ〜、嘘でしょう!?」って驚かされて、胸がいっぱいになります。最初から最後まで、展開が想像出来ないのが野田さんの世界だなって思いますね。その世界の一員にしっかりなれるよう、頑張りたいです。

――共演の方々とはワークショップでお会いになっているのでしょうか。

白石加代子さんとはワークショップでお会いして、もう台詞を聞いたとたん、その場にいる皆の背筋が伸びるように感じましたね。スコーンと響く声にとても惹きつけられて。いつか同じ舞台の上で白石さんを観てみたいと夢見ていたことが今回叶い、もう楽しみでしょうがないですね。

野田さんに誘ってもらわなかったらもう舞台はやらなかったかも

――前田さんは、蜷川幸雄さん演出の『太陽2068』(2014年)で初舞台を踏んで以降、岩松了さんや三浦大輔さんの演出舞台に出演して来られました。舞台経験を積む中で、表現することへの意識の変化などはありますか?

やるたびに、楽しいと思えて来ています。一番最初は「もう無理かもしれない!」って気持ちから始まったんですよね。自信が持てなくて。でも、その後に岩松さんが、また違う世界を教えてくれて。そして三浦さんが、「映画でやるようなことを舞台でやりたい」とおっしゃって、また新しいことをやらせてくださいました。毎回演劇のいろんな世界を知ることが出来て、幸せだなと思います。そして今回はNODA・MAPというカンパニーに入って、舞台に立つことが出来る。もう私これで、満足かもしれません(笑)。本当に今回は、野田さんの舞台じゃなかったら、勇気が出なくてやれなかったかもしれない。舞台に立つということは、現実から飛んでいくような感じがするじゃないですか。その大きなジャンプが、今の私に出来るだろうか……と、子供を産んだ後にすごく考えてしまったんですね。舞台というとても険しくて高い山に、簡単な気持ちで挑んではいけないなと。今回野田さんに「ワークショップに来ない?」と誘っていただけなかったら、私はもう舞台はやらなかったかもしれません。

――それは……、野田さん、よくぞ前田さんに声をかけてくださった、グッジョブ!と言いたいですね。

ハハハハハ! あきらめる前に、捕まえてくれたような感じですね。立ち止まりそうな私を、野田さんが拾ってくれました(笑)。この作品の東京公演千穐楽の前日が、ちょうど30歳の誕生日なんですよ。きっとその時は清々しい気持ちだろうなって。この作品をやっている最中に30歳を迎えられる、その喜びはすでに感じています。もう30代は、この勢いのまま突っ走っちゃうか〜! みたいな気分になれるかも(笑)。

――俳優としての理想像はありますか? こうなっていたい、といった目標などを教えてください。

そうですね、死ぬまで何かの作品に出たいと思っています。私の命が尽きるまで(笑)、引退したくない、それが人生の最終目標かも。どんな形でもいいし、舞台に立ち続けられるのなら立っていたい。途中であきらめるようなことはしたくないと思っています。自分が一生続けられるものって、お芝居しかないなと。ほかのものは、たぶん続かないと思うので。私が唯一、欲深くなれる職業なのかもしれないですね。

――この作品で30歳を迎えられ、また新たな表現への欲が生まれるかもしれませんね。世の中はまだまだ落ち着きませんが、観客の方々も、前田さんの挑戦を楽しみに観に来られることと思います。

本当に、無事に最後まで完走できることを祈って、頑張りたいです。すべてを忘れて集中できる、それがNODA・MAPの舞台だと思うので、観に来られる方もその時間だけはぜひ、その世界観に没頭していただきたいと思います。

取材・文:上野紀子 撮影:藤田亜弓
スタイリスト 清水けい子(アレンジメント K) ヘアメイク 菊地弥生(ひつじ)

ドレス NON TOKYO(ESTEEM PRESS)/シルバーピアス、リング VUGS/パールピアス carat a 共に(イセタンサローネ東京)/靴 スタイリスト私物 問い合わせ先:ESTEEM PRESS・03-5428-0928/イセタンサローネ東京・03-6434-7975



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公演情報

NODA・MAP第24回公演
『フェイクスピア』
作・演出:野田秀樹
出演:高橋一生 / 川平慈英 / 伊原剛志 / 前田敦子 / 村岡希美 / 白石加代子 / 野田秀樹 / 橋爪功 / 他

【東京公演】
2021年5月24日(月)~2021年7月11日(日)
会場:東京芸術劇場 プレイハウス

【大阪公演】
2021年7月15日(木)~2021年7月25日(日)
会場:新歌舞伎座

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