Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

SEBASTIAN X、メジャーデビューの意義とは? 柴 那典が今後の可能性を読む

リアルサウンド

14/10/21(火) 15:00

140918_sebastianx_a.jpg

 

 SEBASTIAN Xが、10月22日にリリースするミニアルバム『イェーイ』でメジャーデビューを果たす。

 ボーカル永原真夏の類まれなる存在感と躍動感あふれるカラフルな曲調で、着実に支持の輪を広げてきた4人。ギターレスの編成ながらパワフルな迫力に満ちたサウンド、ピュアな生命力のようなものを感じさせる歌声と、他のバンドにはない独特な魅力を放ってきた。

SEBASTIAN X / イェーイ (Music Video / フルサイズ)

 結成から6年、これまでDIYなスタンスで活動を繰り広げてきたSEBASTIAN X。果たしてこのタイミングでのメジャー進出の意義はどこにあるのか? バンドはこの先どう変わっていくのか? この記事ではそのあたりを読み解いていこう。

 筆者が初めてSEBASTIAN Xのライブを観たのは、2011年12月。1stアルバム『FUTURES』を引っさげてのリリースツアーのファイナル公演、渋谷クラブクアトロでのことだ。満員の観客を前に、純白のドレスを身にまとった永原真夏ら4人が見せたのは、お客さん全員を笑顔にするようなハイテンションなステージだった。

 そして、その時に初めて開催を告知した野外イベント「TOKYO春告ジャンボリー」は、バンドのアイデンティティを改めて広く伝える大きなきっかけとなった。その名の通り春の東京を舞台に、2012年・2013年には上野・水上野外音楽堂で、2014年には日比谷野外大音楽堂で開催されたこの自主企画イベント。メンバー自らがブッキングや会場の装飾を手掛けるDIYのスタイルの運営も大きな特徴になった。バンドはもちろん、弾き語り、ブラスバンド、スティールパンまで、その年その年でジャンルやスタイルの枠組みを超えた個性的なラインナップが実現し、そして、カラフルな装飾の中、お客さんがお酒を飲んだり踊ったりしながら思い思いに音楽を楽しんでいた。その陽気でチアフルなムードが、そのままSEBASTIAN Xの自由で開放的な音楽性とリンクして伝わっていったのだ。

SEBASTIAN X / ヒバリオペラ [ LIVE DVD「TOKYO春告ジャンボリー2013」より]

 2014年の「TOKYO春告ジャンボリー」では、SEBASTIAN Xはイベントのテーマソングとしてシングル『スーダラ節 / 春になったら会いにきて』をリリースしている。ミニアルバム『イェーイ』にも収録されているこの“スーダラ節”はBLACK BOTTOM BRASS BANDのホーン隊とのコラボによるもの。両者の交流も春告ジャンボリーをきっかけに生まれたものだ。

SEBASTIAN X /スーダラ節(Music Video/フルサイズ)

 そして6月28日、代官山UNITで行われた盟友Wiennersとの2マンライブで、エイベックス内に設立された新レーベル「ONECIRCLE」からのメジャーデビューを発表。発表のために新曲を書き下ろし、映像作家・エリザベス宮地の撮影したミュージックビデオと共に発表された。

「SEBASTIAN X メジャーデビュー発表!!」

 これまで、マイクやスピーカーを一切使わない完全生音アコースティックライブ「サウンド・オブ・ミューッジック」を不定期で行ってきた彼ら。この曲には、そこで培ってきたナチュラルで地に足の着いた感性も垣間見える。

SEBASTIAN X / 生音ライブ”サウンド・オブ・ミュージック”ドキュメンタリー

 こうして見てきたように、単に音楽を作って演奏するだけでなく、様々な趣向を凝らしてイベントや企画を行ってきたのがSEBASTIAN Xというバンドの大きな特徴だ。特に永原真夏は、アートワークやグッズのデザインをしたり、詩集『三千世界の兎たちへ』を発行したり、映画監督としてデビューしたりと、音楽という枠組みを超えて様々なカルチャーのフィールドでマルチな活動を見せてきた。

 そんなバンドがメジャー進出を果たしたことの意味合いはどこにあるのか。そのキーポイントは、表題曲「イェーイ」でバンド初のプロデューサーとしてクラムボン・ミトを迎えた、というところに見出すことができる。

 というのも、クラムボンこそ、まさにDIYなスタンスと幅広いカルチャーへの越境を見せながらメジャーデビュー、15周年を迎えたSEBASTIAN Xの“先輩格”にあたるバンドと言えるからだ。

 山梨・小淵沢に自身のスタジオを持ち、また自前のサウンドシステムを持って幼稚園や酒蔵などライブハウス以外の場所を回るツアーをするなど独自のスタンスで活動してきた彼ら。ミトが数々のアニメ楽曲を手掛ける一方、ボーカリストの原田郁子は、カフェ・食堂・ギャラリーの複合スペース「吉祥寺キチム」を姉妹で経営したりもしている。おそらく、彼らのようなスタンスを見習いつつ、より自由で幅広い活動を行っていくことを見据えてのメジャーデビューなのではないだろうか。

 また、所属するレーベルがエイベックスとなることに驚いた古くからのファンもいるかもしれないが、実は「ONECIRCLE」は、the pillowsやKEMURIなど実力派のバンドが数多く所属するレーベル。インディー時代の僚友The Flickersなども新たなレーベルメイトとなる。

 「メジャー第一作目、こんなに自由に作らせてもらえるなんて…思いもしませんでした。エイベックスの懐の深さよ…」と特設サイトでは永原真夏もコメントしていたが、バンドにとってもプラスの環境となっているようだ。

 時代の風向きやスタイルの盛衰にかかわらず、プリミティブな生命力を持った音楽を追求し続けてきたSEBASTIAN X。その可能性は、この『イェーイ』をきっかけに、まだまだ開けていきそうな予感がする。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

■リリース情報
『イェーイ』
発売:2014年10月22日
[CD+DVD盤]初回生産分のみ”飛び出す”紙ジャケット仕様 ¥2000(税抜)
[通常盤(CDのみ)] ¥1500(税抜)
〈CD収録曲〉
1.イェーイ(Produced byミトfromクラムボン)
2.ラブレターフロム地球
3.スーダラ節
4.ぼくはおばけさ
5.ライダースは22世紀を目指す
6.イェーイ(玉屋2060% HYPER MUSASHINO REMIX)

〈DVD収録曲〉
『SEBASTIAN X ライブベストセレクション 2014春夏』

【2014/6/28 代官山UNIT】
1.ROSE GARDEN,BABY BLUE
2.光のたてがみ
3.DNA
4.メジャーデビュー発表!
5.ワンダフルワールド
6.GO BACK TO MONSTER

【2014/4/19日比谷野外音楽堂『TOKYO春告ジャンボリー2014』】
7.サディスティック・カシオペア
8.世界の果てまで連れてって!
9.ヒバリオペラ

■ライブ情報
「SEBASTIAN Xワンマンツアー2014」
11月9日(日) 福岡Graf
11月15日(土) 名古屋APOLLO BASE
11月21日(金) 大阪Music Club JANUS
11月23日(日) 仙台PARK SQUARE
11月28日(金) 東京キネマ倶楽部

チケットは各プレイガイドでチケット先行発売開始
詳しくはSEBASTIAN XオフィシャルHPにて
10/11(土)より各プレイガイドにて一般発売開始

■SEBASTIAN X HP
http://sebastianx.info/

■『イェーイ』特設ページ
http://avex.jp/sebastianx/

■ONECIRCLE HP
http://onecircle.jp/

アプリで読む