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川本三郎の『映画のメリーゴーラウンド』

山田洋次監督『下町の太陽』の話から、東野英治郎、『キューポラのある街』…、最後は井伏鱒二原作『本日休診』につながりました。

隔週連載

第41回

20/1/7(火)

 山田洋次監督の初期の代表作に『下町の太陽』がある。東京オリンピック直前の昭和三十九年の作品。倍賞千恵子のヒット曲『下町の太陽』から生まれている。
 倍賞千恵子演じる主人公は、墨田区の橘銀座あたりに住み、近くの石鹼工場で働いている。当時の言葉で言えば「女工さん」。
 この工場は、当時、東武電車の曳舟駅の近くにあった資生堂の向島工場と思われる。現在はなくなり工場の跡地にはマンションなどが建てられている。
 前回紹介した丸山誠治監督の『二人だけの橋』の水野久美演じる主人公も、向島の石鹼工場で働いている。この工場も、モデルはやはり向島の資生堂の工場だろう。
昭和三十年代までは、「女工さん」は若い女性の典型的な就職先だった。
 川頭義郎監督の昭和三十一年の作品『涙』では、若尾文子が浜松にあるハーモニカ工場で働く「女工さん」。
 浦山桐郎監督の昭和三十七年の作品『キューポラのある街』の吉永小百合は、中学校を卒業したら高校には進学せず社会に出る。卒業の前に、大きな電機会社の工場に見学に行く。優しい先輩(吉行和子)が工場を案内してくれる。若い「女工さん」がたくさん働いている。それを見て吉永小百合は励まされる。
 どの映画でも彼女たちが白い三角巾をかぶっているのが懐かしい。

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