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ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像

20/2/29(土)

「シュヴァルの夢の理想宮」や「盗まれたカラヴァッジョ」のような、創作行為や美術品を核に家族の姿を浮き彫りにする映画の公開が続いている。このフィンランド映画もまた、一枚の絵との出会いがもたらす家族の再生の物語だ。 画廊の店じまいを考え始めていた老画商は、オークションの下見会で作者不詳の肖像画と出会う。一目で「大物の作品だ」と見抜いた彼は、人生最後の夢を叶えるべく、オークション開始までの限られた日数のなか、画家を特定する調査に乗り出す。無謀とも思える試みに協力するのは、学校では問題児だが実は商才に長けた孫息子。二人はロシアの大画家イリヤ・レーピンの作であることをつきとめる。そして、画家名を伏せたまま落札には成功するものの、落札価格の資金繰りに四苦八苦。しかも、孫の母親は父親に対する長年の鬱積を爆発させ、家族関係の危機が明かになる。さて作品の行方は、そして家族は……。 スリリングな展開にハラハラしながらも、画商仲間とのやり取りやオークションハウスの社長との駆け引きなど、アートマーケットの一端に触れられる楽しみもある。秋から冬にかけての北欧の光が美しく、雪景色のラストシーンに胸がほっこり。味わい深い作品である。

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