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「俳優業はつくづく不思議な仕事」WOWOW初主演作で高畑充希が感じた実感

ぴあ

高畑充希 撮影:SHIN ISHIKAWA(Sketch)

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天性の審美眼を持つ女性が心を奪われた、ある無名画家による1枚の絵。この出会いが美術界の混沌とした人間模様に火をつけ、関わる人々の人生を変えていくことに……。人気作家・原田マハのアートミステリー小説を、WOWOWが完全映像化した『連続ドラマW 異邦人-いりびと-』。稀代の美術収集家の孫娘にして、美術館の副館長を務める主人公・篁菜穂役で高畑充希がWOWOWでは初主演。1枚の絵に魅了されたことをきっかけに、京都画壇の秘められた深みにはまっていく菜穂の運命の行方は……? 濃密な作品世界の中心で難役を演じきった彼女に話を聞いた。

――アートミステリーという、独特のジャンルの小説が原作ですね。

高畑 「こんな作品です!」とひと言では説明しづらいし、よく分からない緊張感が高まっていく物語です。小説の面白さをどう形にできるか、ドキドキしながら撮影現場に入りました。撮影前は、作品の完成形を想像することが全くできませんでしたね。

――菜穂という役に関しても同じことが言えますか?

高畑 そうですね。どんな人なのか、どんな人になっていくのか、私にも分からなくて。監督と相談しながら、ワンシーンずつ積み上げていきました。

――秘めているものがあり、真意をつかませない女性でもあるように感じました。

高畑 周りとコミュニケーションを取れているようで取れていないし、絵のことしか考えていなかったりもして。みんながすごく反応するところで、菜穂だけは反応しないこともある。霞をつかむような気持ちで演じていました。全5話の中でどんどん変わっていく役でもありますが、撮影の順番がバラバラだったので難しかったです。

――ご自身と菜穂に共通点はありますか?

高畑 夢中になったり、妄想したりするときは、私も外の世界と全くコンタクトを取れなくなります。だいぶマシになったけど、「何を考えているのか分からない」と言われることもあったり(笑)。仕事でもプライベートでも、自分だけで楽しんじゃってる瞬間はあった気がしますね。でも、特にお仕事の場合はいろんな人と関わるし、ちゃんと線をつないでおかなきゃという意識は年々増しています。ひとりの世界に勝手に入らず、人ときちんと話そうと(笑)。

――そんな菜穂の夫であり、画廊の経営者である一輝を風間俊介さんが演じています。

高畑 風間さんは現場のムードメーカーでした。役柄上、重い何かを背負ってどんよりした気持ちでいることの多い私に代わり、場を盛り上げてくださいましたね。頼りっぱなしでした。ただ、実は意外と夫婦一緒のシーンって少ないんです。一輝さんは東京にいて、菜穂は京都にいる状態で話が進むので。いびつになっていく夫婦でもありますし。これまでに演じたことのない関係性だったので、すごく新鮮でした。

――おっしゃるとおり、なかなかいびつな夫婦ですよね。天性の審美眼を持つ菜穂への嫉妬が一輝にはありますし、夫婦の溝を決定的にする出来事も起き……。

高畑 優柔不断でどうしようもない旦那さんで(笑)。悪い人ではないけど、「ノー」と言えない人。監督とも、「菜穂はどうして好きになったんだろう?」という話はしました。ただ、最初からいびつなわけではなく、京都と東京で離れて暮らすことになり、ある出来事があり、距離がババッと開く。女性って、注ぐ愛情はすごく熱いけど、冷めたら一瞬だったりもしますから。特に菜穂は、どこか冷たい部分のある人ですし。憎んだわけでも嫌いになったわけでもなく、興味がなくなったんでしょうね。シャッターがガラガラ~ッと下り、「はい、過去! さようなら!」って(笑)。

役の幅が広がってきて、自分自身の新しい経験になっている

――東京にいる一輝は、菜穂のいる京都の街にすら嫉妬します。

高畑 京都が舞台であることは、物語の欠かせない要素になっていると思います。この作品で描かれる京都には柔らかい言葉で刃物を包むようなところがあり、その洗礼を受けてヒヤッとする瞬間が菜穂にも訪れる。だけど、入口さえ突破すれば、真の温かさが待っているんですよね。怖さも良さも映っていて、グラデーションのある京都になっていました。

――撮影期間中は京都に滞在なさっていたのでしょうか?

高畑 1カ月半ほど京都のホテルに住んでいました。地元も近いですし、もともと大好きで母とよく旅行に来ていました。そのときはどこも混んでいるイメージでしたが、コロナの影響もあって人が少なく、風景をよく見ることができたのは初めてでしたね。夏の時期だったので、緑の京都もいいなと思いました。

――京都に滞在することで、菜穂の気持ちにも近づけましたか?

高畑 菜穂の場合は、東京の喧騒を避ける名目とはいえ馴染みのない京都へとひとりで訪れることになる。いつもと違う環境でストレスがかかるという点では、慣れないホテルでの長期滞在と少しリンクした部分はあります。ホテルの居心地はすごく良かったんですが、やはり自宅とは違うので。

――望まない妊娠をする役と言えば、舞台『ウェイトレス』(※2021年3月上演)のジェナもそうでしたね。

高畑 そこだけ見ると似ていますよね。続くなあと思ってびっくりしました。演じる役柄がここ数年で変わってきた実感もありますし。単純に、学生役はそろそろつらいのもありますけど(笑)。

30歳前後って一般的にいろいろ考える時期で、そこにドラマがあるのかなとも思います。そうやって、年齢に合わせて役柄や作品が変化していくのは楽しいですね。もちろん10代と20代でも変わるし、今も変わり続けているし、この先もお母さん役がおばあさん役になったりする中、私自身の生き方や考えもどんどん変わっていきます。新たにいろいろなことを知ったり、新しいことに挑戦したり、その反面、何かを諦めたりすることもあるから。

望まない妊娠をしたことはないけど、その時々のモヤモヤやグチャグチャが作品にリンクしていくと思うと、つくづく不思議な仕事だなあと。でも、楽しく受け止めています。

――その楽しさも年々増していますか?

高畑 そうですね。苦しいときもありますけど、楽しいです。役の幅がより広がってきているので、自分自身の新しい経験にもなっている気がするから。やっぱり面白いです。

取材・文:渡邉ひかる 撮影:SHIN ISHIKAWA(Sketch)
ヘアメイク:犬木愛(AGEE)、スタイリスト:番場直美

衣装協力:トップス41,800円(ラム・シェ)、スカート64,900円(ルール ロジェット/ともにブランドニュース)、ピアス19,800円(アデル ビジュー/アトリエダブリュ)
右人差し指のリング132,000円、右中指のリング19,800円、左手のリング145,200円(すべてジジ/ホワイトオフィス)

『連続ドラマW 異邦人-いりびと-』
11月28日(日)放送・配信スタート(全5話)
放送:毎週日曜夜10時(第1話無料放送)【WOWOWプライム】
配信:第1話放送終了後配信スタート(無料トライアル実施中)【WOWOWオンデマンド】
※第2話放送終了後に全話一挙配信

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